2017年07月29日

台湾親子留学2017 7日目―初めてのお休み

今日はサマースクールが始まってから、初のお休み。でも夕方には台風が来るって言うし、早めにやることやっちゃおう。

というわけで、朝ご飯は外へ。行ったのは「吃吐吧」(台北市中正區羅斯福路四段138-1號)。

ここ1年で公館は「トーストサンド激戦区」になった。火付け役は「土司吐司」(台北市中正區汀州路三段160巷4-3號)。去年来た時はここ一強だったのに、今年はその周辺にいくつもの新しいトーストサンド屋ができている。しかも、どれもそれなりに評判が良い。これは調査せねばならぬ。

で、最初に来たのが「吃吐吧」。今日は朝食後そのまま出かける予定なので、宿舎から一番遠いところに来てみた。

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ここは片面にチーズをのせて焼き上げたサンドイッチが売りの店。店頭の窯でチーズをじゅうっと焼いてくれる。日式照燒雞腿、花生起司、奶茶。

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しつこいかな?と思ってたけど、照り焼きチキンがかなり美味しくて幸せ。チキンが柔らかくてあっさり味なところに、こってりチーズがあうんだよね。ピーナツチーズも面白くて、「や、ここおいしいね。またBが来たら来ようね」と話す。朝から満足。

朝食を食べたらその足で、華山1914文化創意産業園区へ。ここで開催される「Culture & Coffee Festival in Taipei」へ。ありがたいことにご招待いただき、開場と同時に中へ。日本・台湾のハイセンスなコーヒー屋が一同に会するものすごい空間。外に行列を作っていた人たちがどんどん入ってきて、会場はすごい熱気に。

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ちょっとずつ試飲させてもらって感じたのは、台湾の方は酸味や苦みが強いコーヒーが好きなのかなあということ。バランスを欠いているのでは?というくらいエッジの効いた味もあり、テイストの違いを感じる。一方で、アイスコーヒーにびっくりするほど美味しくてオリジナリティを感じさせる物があったりする。なんだかとっても面白かった。

イベントを見た後はさっさと宿に帰還。その後も、お昼を食べに出たり、夕食の買い出しに行ったりしたけど、基本は籠城。夕方になって、さすがにこれじゃあ夜、眠れないな、ということで卓球をすることにする。

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宿舎のパブリックスペースには卓球台があり、身分証と引き換えにフロントでラケットとボールを借りられる。卓球台の横にはビリヤード台もある。利用は無料なので、こういう時に便利。

ラケットを借りて卓球台に行ってみると、考えることはみんな同じ。横のビリヤード台には中国語を話す親子。1時間の利用が終わった後に来たのは、英語を話すインド系?と思われる兄弟。他にも赤ん坊を抱いたお父さんが散歩に来たり、よちよち歩きの子とお姉さんがやってきてしばらくプレイを見たり。台風の日を所在なく宿舎で過ごす子供たちが三々五々集まってはいなくなる感じでおかしかった。

卓球を1時間やったらそれなりに良い運動になったので、研究員Aは嵐の中、ビールを買いに。噂のコレを買ってみた。

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夕食を食べて、所長は研究員Aの両親とスカイプしたり、研究員Bと話したり。寝るころになって台風が本格化。

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関東ではなかなかお目にかからない本格的な台風。すごいねー、と興奮気味の所長はなかなか眠れず。だけど、明日のためには眠らないといけません。

なんだか不思議なお休みの過ごし方だったけど、これはこれで面白い1日。明日は台風が抜けて晴れるかしら。何しようかな。明日を楽しみにできるって幸せだな。


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2017年07月28日

台湾親子留学2017 6日目―半日遠足の日

今日の所長(10歳)は、午後に遠足。楽しみにしすぎてか、朝4時ごろに起きて「眠れない」と騒ぎ、6時頃から2度寝という朝。バスに乗って出かけるのに大丈夫かな、と送り出す。

ちなみに今日の所長の日程はこちら。

午前中 授業
12時40分 教室集合
12時50分 出発
13時30分〜16時 「茶山房」(新北市三峽區民權街79號)で手作り石鹸体験
16時〜17時 バスで学校に帰る

親は17時に1階エントランスに迎えに来ること、とのことだったので少し早めに待機。すると巨大バスに乗って子どもたちが帰ってきた。

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バスから降りてきた所長はピカピカ笑顔。
「行きはすっごく気持ち悪くなったけど、帰りは大丈夫だった〜」
楽しいことがあると、君は強いな。

遠足では、石鹸工房の見学をした後に、手作り体験をしたらしい。作ったものは三つ。
1.入浴剤
2.石鹸に好きなスタンプで型押し
3.好きな型で石鹸を作る

所長の作品はこれ。

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工程を聞く限りちょっと子どもだまし?と思わなくもないが、所長はとっても楽しかったらしく、あれこれ目を輝かせて報告してくれた。ま、所長が楽しめたならそれが一番。良かった良かった。

行き帰りのバスは教室の席順で座ったので、仲良し3人組はバラバラ。所長の隣に座ったCちゃんはバスの中でもずっとiPadを見ていて、ほとんど言葉を交わさなかったそう。それってほんとどうなの?とまたもモヤモヤするが、私がモヤモヤしたところでどうしようもない。

所長はと言えば、「Aちゃんにいつもみんなで見てる面白いInstagramの名前を教えてもらったよ!」と意気揚々と教えてくれた。それがこちら。



世界中の小学生女子は、今、こんな動画に夢中になっているらしいですよ。なんかもう、時代が違うっていう感じ…。

【今日の研究員A】
おきらく研イベントの助っ人にして、「我的普通日記」作者のkeikoさんが来台。服飾デザイナーのヂェン先生こと鄭惠中先生のアトリエ兼ショップ(「惠中布衣文創工作室」 新北市中和區中山路三段179巷15號)に行くというのでくっついて行く。板橋駅から10分弱タクシーを乗ったところ。路地裏にひっそり佇む素敵オーラ満載のこちらがヂェン先生のアトリエ。

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中に入ると色の洪水。これが2フロアぎっしり!

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keikoさんとお連れさん、私の3人で、わーきゃー言いながら選んでは鏡で見て、試着して、あーだこーだ言って、を繰り返す。試着室がないことを知っていたら、もう少し着替えやすい服装で行ったのに、というのがかえすがえすも残念。だけど、悩みに悩みに悩んで買ったのがこれ。

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スカートに見えるけど実はズボン。シルエットが美しくて、肌触りも最高。来週にでも買い足しに行きたい欲望と格闘中…。

【おまけ】
夕食は、台湾大学の学生御用達という「七里亭」(台北市大安區羅斯福路三段333巷8號)でご飯をテイクアウト。現滷雞腿飯と塔香三杯雞飯。

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学生御用達だけあって、ご飯もおかずもがっつり多めのしっかり味。でも後味は悪くなくてとっても美味しい。お腹がはちきれんばかりの大盛りに加えて、紅茶1杯は無料サービスでついてくる。これで100元。学生街万歳。

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2017年07月27日

台湾親子留学2017 5日目―豪華ディナーの日

昨日一日ゆっくりして、元気を回復した研究員A。かわりに朝から元気の出ない所長。「なんか、疲れた〜」とベッドでぐずぐずして起き上がるのがしんどそう。そろそろ疲れが出る時期だよね。

【バス停へ向かう所長。足取りが重い。】
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しかし、学校に着いたらやっぱり元気な所長。どれだけ学校が好きなんだか。

今日はいろいろとあって授業開始後1時間くらい、研究員Aも学校に残る。休み時間になると、てんでに動き出す子どもたち。確かにスマホやiPadを見ている子が多いなあ。で、所長はと言うと、折り紙で作った12面体を投げっこして遊んだり、友達のスマホをみんなで眺めて何事かをくすくすと話したり。

【スマホを楽しむ仲良し3人組】
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外から見ていると、ここが台北のサマースクールだということを忘れるくらい自然な姿。楽しそうで良かった。

放課後、迎えに行くと「今日は宿題少ないよ」とのこと。「あとね、宿題を日本語で書いてたら「這是什麽?(これ何?)」って聞かれたの。「日本語」って答えたら「読んで」って言われてね。読んだら、みんな「え〜!」ってびっくりして笑ってた」。

へえ、みんな日本語に興味をもってくれたんだ。「それなら、みんなの名前をカタカナで書いてあげるといいよ。喜ぶよ。」「そう?」「そうだよ。私もアメリカの高校に留学していた時にお友達に書いてあげたら喜ばれたもん」。

ふうん、と不思議そうな顔でうなずいた所長。やっぱり高学年になると興味を持つことが変わるなあ。それでまた、つながりが広がるといいね。スマホだけ見ててても世界は広がらないからね。

【今日の研究員A】
昨日は疲れて何にもできなかったので、今日こそ宿舎で作業。手持ちの資料を見て、ネットで調べて、考えて、をしみじみ繰り返す。そんなの日本だってできるでしょ、と思われるかもしれないけど、やっぱり台湾だからこそ考えられること、感じることがあったりするので、これはこれで豊かな時間。しかし、所長を送って迎えに行くまでの時間って長いようで短く、調子が出てきたところで終了になってしまうのはけっこう痛い。

【おまけ】
サマースクールでお友達になったご家庭に「親戚が来るから一緒にご飯を食べない?」とお誘いいただく。会食会場は「海覇王」(中山店:台北市中山區中山北路三段59號)! 前を通るたびに「立派だよねー。入ってみたいけど高そうだよねー」とか呟くだけだった海鮮料理の店。

出てくる料理はめくるめく美食のオンパレードで大満足。

豚足とか。

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エビとか。

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桜エビのおこわとか。

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憧れの佛跳牆(ぶっとびスープ)とか。(初めて食べた!)

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他にももっともっともっと色々。全部おいしくてお腹がパンパン。

お話の方も中国語が出てこなかったらどうしようかな、と心配していたけれど、日本人ママさんとの話が盛り上がりすぎて他の方とはあまりお話しできず。ただ「中国で中国語を勉強したの?」と聞かれたのはちょっと面白かった。「発音が北京風だから」だそうで、ああやっぱり日本で基礎教育を受けるとそう聞こえるんだなあ、と。これでも大分、台湾化されてきているはずなんだけどな。

子どもたちも子どもたち同士で仲良しになり、ふたりでこそこそ会話を楽しんでいた。首都圏ベッドタウンに住む所長と、関西の山間部に住むお友達。それはそれでまた異文化交流だったらしく、お互いの小学校の違いなどに小さく驚きながら会話が続く感じが面白かった。

世界にはいろんな人がいる。だから、違う人と出会うのは楽しい。知らない世界を知れることが楽しい。自分の世界がすべてじゃないと知ることはわくわくする。

そんなことを感じられた一日だった。いろんな出会いが与えられている自分と所長の幸運に心から感謝。

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2017年07月26日

台湾親子留学2017 4日目―2回目だからこその心配事

朝からちょっと曇って、暑さが和らいだように感じられる台湾滞在4日目。

今日も所長(10歳)は元気。サマースクールでお友達になったおうちにいただいた台南直送の愛文マンゴーを食べ、意気揚々と出発。いや、本当においしかったです、これ。その辺のドリンク屋のマンゴー物が、あんまりおいしく感じられなくなってしまったくらい。本物ってすごい。

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学校に早く着いたので、先生に「所長は大丈夫ですか?」と聞いてみる。「みんなと仲良くやっていますよ。授業も熱心ですし」との答え。しかし、今年の先生はあっさりしていて、どうも様子がつかめない。去年の先生は「明るい小学校の先生」そのもので踊ったり歌ったり楽しさ全開だったけど、今年の先生はボソボソと話すばかりで表情も変わらない。

「授業でもあんな感じ?」と聞くと「いや〜」と曖昧な答えの所長。「っていうか、めっちゃガンガン進めてく先生なの。ノートが追い付かないくらい」。確かに去年は全然なかった宿題が、今年は大量に出る。今日など漢字52個も書き取りの課題が出ていた。所長がうまく先生の指示を聞き取れてないのでは? とちょっと不安。明日、先生に聞いてみるつもりだけど、なんとなく真意がつかみにくい先生なので話しにくいな。

と、研究員Aが微妙な思いを持つ中でも、所長はサマースクールを満喫している様子。放課後、迎えに行くと「今日も楽しかった〜」と笑顔。

昨日お友達になった二人に加えて、さらにお友達も増えたらしい。そんな仲間と、休み時間はにらめっこ、指相撲、腕相撲なんかをして遊んでいるとか。「言葉はどうしてるの?」と聞くと、「英語と中国のまぜこぜ言葉。あとジェスチャー」。ま、それでも仲良く遊べるなら問題なし。折り紙も持って行ってるけど、去年ほど大人気にはならず。この辺は低学年クラスとは違うところか。

もう一つ、去年と大きく違うのはクラスのほとんどの子がスマホを持っていること。休み時間はみんな自分のスマホで動画を見て時間を過ごしているらしい。それってどうなの?と思うも、クラスの中でスマホを持っていないのは、所長を含め3人だけ。だから、所長は香港人のお友達と二人でオーストラリア人のお友達のスマホを見ているとか。それが会話のとっかかりになるならいんだけど、なんか違う気もする…。ちょっとモヤモヤしている点。

高学年になったからか、年が変わったからか、なんとなく勝手の違う今年。参加2回目だからこそ出てくる心配事なのかもしれない。でも所長は楽しそうで、去年よりずっと難しいことをがんがん学んで、どんどん吸収している。だから、大丈夫なんだと思う。きっと。

【授業中にだらける女子2人】
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午後にあった文化クラスで墨絵?を体験してきた所長。うまく描けたと自画自賛していたけどどうでしょうか?

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【今日の研究員A】
今後の計画を立てるために手持ちの資料を見ながら一回頭の中を整理しよう、と宿舎に戻る。が、戻ったら疲れが出てぐったりしたままウトウトしてばかり。結局、何もしないまま、所長のお迎え時間になってしまった。痛恨なような、休息できて良かったような。でも、去年も到着1週目の半ばに体調を崩したし、ちょうど疲れが出てくる頃なのかも。できる範囲のことを楽しく、の精神で、休みたい時はちゃんと休んで明日以降に備えよう。

そんなわけで、お昼は宿舎のそばで。去年からずーっと気になっていたけど、からいものだしな、と入れずにいた「大嘴巴正宗重慶酸辣粉」(台北市中正區汀洲路三段183號)へ。看板メニューの酸辣粉。

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極太のジャガイモ春雨みたいなものを辛いタレと具で和えたもの。小辣にしたらそんなに辛くなく、醤油と酢で自分好みの味に調えるとおいしく食べられた。星5つ!みたいな感じではないけど、近所にあったら嬉しい。そんな感じのお店だった。清潔でおしゃれな店内なので、入りやすいのもいいと思う。


posted by 研究員A at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 台北親子留学2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

栖來光『在台灣尋找Y字路』(栖來ひかり『台湾、Y字路さがし』)

当ブログでは、現在台湾滞在中の研究員Aと所長(10歳)の親子留学日記が日々更新中ですが、今回は日本残留中の研究員Bがポストします。

今回取り上げるのは、今年1月に刊行されてから静かに話題になり続けている、台湾在住のライター・栖來光(栖來ひかり)さんの著書、『在台灣尋找Y字路(台湾、Y字路さがし)』(玉山社,2017: 玉山社のページ博客來Facebook)。日本語と中国語の両方で読めるように書かれたこの本は、台北を中心に、台湾の街の中にふと現れる45の「Y字路」をめぐって、その地をめぐる歴史やさまざまなエピソード、著者の思いを綴った文章がまとめられたものです。随分前から紹介したいと思っていたのですが、ようやくご紹介します。

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執筆の経緯は、フォーカス台湾の記事によると、著者の栖來さんが台北市同安街で見つけたY字路の写真を会員制交流サイトに投稿したのがきっかけだったとのこと。この投稿に対してコメントを受け、道路に隠された歴史があることを知り、それから台北の過去の地図が見られるアプリ「台北歴史地図」を使いながら各地のY字路に赴き、さまざまな発見を記録していったそうです。それをまとめて生まれたのが、この『在台灣尋找Y字路』ということわけです。

上の記事では、「現代の都市の作りでいうと、碁盤の目が基本。Y字路は不自然な道。なぜ不自然な形なのかというと、絶対に理由がある。それが面白い」という栖来さんの言葉が引用されています。そう、この「Y字路」への着眼が実に面白く、川沿いの地域(というとまとめすぎかもしれませんが)が発展してできた街・台北は、その経緯ゆえにさまざまな地形の変貌を伴って、そして台湾自体の複雑な歴史も相まって、現在の姿になっています。初めてこの本について知ったとき、Y字路とは、なんといい目の付け所!と思いました。台北の街を少しでもイメージできたならば、地理的・歴史的な奥行きを必然的に伴う「Y字路」に着眼した本というだけで、興味を抱く人はたくさんいるのではないでしょうか。

こうして書かれたこの本、この経緯だけを聞くと、NHKの番組「ブラタモリ」を思い出す人も少なくないと思います。番組を知らない方のために、「ブラタモリ」の公式サイトから引用すると、「街歩きの達人・タモリさんが、“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る「ブラタモリ」。……ある土地のナゾに導かれ、ナゾを解明しようと、今話題の出来事や街に残された様々な痕跡にタモリさんが出会いながら、街の新たな魅力や歴史・文化などを再発見していきます」と説明されています。『在台灣尋找Y字路』も、台北のY字路に注目してこれに近い試みをした本だといえるかもしれません。

ただ、実際に『在台灣尋找Y字路』を読んでみると、「ブラタモリ」とは微妙に視点が違うようにも感じられました。確かに「ブラタモリ」に通じる部分はたくさんあるし、「ブラタモリ」が好きな人が読んでも楽しめるのは間違いありませんが。

「ブラタモリ」は、上の引用にもあるように、訪れた土地の「ナゾ」を解明すること、土地に残された「痕跡」を掘り下げることへの関心が基本にあります。「ナゾ」・「痕跡」へのこだわりや偏愛、解明・追究の「探偵っぽい」視線が、その特徴だと思います。もちろん、かなりゆる〜いスタンスではありますが(笑)。

一方、『在台灣尋找Y字路』は、確かにY字路が生まれた地理的・歴史的背景を探りはするのだけど、「ブラタモリ」ほどには謎解きや痕跡へのこだわりは強くないように思います。何かを解明しようとしたり、痕跡にことさらにこだわったりという、いわば知的関心が前に出るのではなく、著者の栖来さんのY字路への視線は、もっと軽やかなものです。

『在台灣尋找Y字路』の各章の中には、個々のY字路が形成されるに至った地理的・歴史的な背景を知る過程を通して、自由な想念や想像を展開させている章がいくつもあります。Y字路の歴史をいろいろとたどっていくうちに、栖来さんの出身地の山口の話につながったり、当時と現在の台湾のコントラストに気づいたり、かつてのその地を生きた人たちの生きざまに思いをはせたり。Y字路の謎を解明して一段落するというより、Y字路をめぐってさまざまな出来事や思いが連なっていくところが、『在台灣尋找Y字路』のユニークな点です。知的関心に基づく眼差しでY字路をみるというより、Y字路を知ることを通じて、自らの想像の手がかりを見つけていき展開していくところに、この本の個性があるように感じました。

その意味で、右か左かの選択を迫るかのような個々のY字路に対して、栖来さんは別にどちらか一方を選択してはいないように見えます(!)。どちらかを選んで、さっさとY字路を通過してしまったりせずに、栖来さんはY字路を前にして、そこにたたずみながら自由に想像力を展開しているようです。それこそ、まるで横尾忠則のY字路の作品のように。

『在台灣尋找Y字路』は、Y字路を通じて台湾の歴史を知ることの面白さを伝えてくれる本です。でもそれ以上に、台湾のY字路を“味わう”ことの興味深さを伝える本であると思いました。だから、この本を読むと、台湾のY字路に行ってみたい、探してみたいと思うだけでなく、街をこんな風に“味わう”ことができるんだということを知ることができます。

一種のガイドブックとしても、歴史の読み物としても、もちろん「ブラタモリ」的な関心にこたえる本としても読むことができる本ですが、何よりも、街の自由な味わい方の一つのかたちを伝えてくれる本だと思いました。

本の中で紹介されている45の「Y字路」はどれも魅力的で、実際に足を運んでみたくなります(通ったことがあるはずなのに、気づいていない場所も!)。個人的には、以前行ったことがある文萌樓からほど近い歸綏街のY字路が気になりました(というか、このあたりをいろいろ歩いてみたい)。文章として印象に残ったのは、信義路四段400巷についての章(軽妙さが印象的!)。本題と関係ない点では、月見ル君想フでの岸野雄一さんたちのイベントの話や、蛋堡や顔社がふと出てきたりするのも興味深かった!

なおこの本は台湾の出版物なので、日本での入手方法は限られますが、Facebookで「書店およびネットでのお取り扱い状況」がまとめられているので、ご参照を。

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posted by 研究員B at 17:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする