2017年12月07日

KAO!INC.のアーティストに質問!(3)李英宏 aka DJ Didilong

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

第1回(蛋堡)第2回(國蛋)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第3回の今回は、李英宏 aka DJ DidilongFacebook)。みなさん来ましたよ、李英宏の番ですよ!

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※左が李英宏、右は蛋堡


李英宏は台北出身のシンガー/ラッパー/DJ。かつてラップ/ヒップホップのグループ大囍門(懐かしい!)の一員としてデビューしたときは、まだ17歳だったとのこと。しかし早々に音楽シーンから離れ、台灣藝術大學廣電系に入学・卒業。まったく音楽と関係のない仕事をしたこともありましたが、やがてKAO!INC.に加わることになりました。ただKAO!INC.での彼の仕事は、MVなど映像制作に関わるものであり、決して自ら音楽をつくる立場ではありませんでした(実際、つい数年前のKAO!INC.関連のMVにも、制作スタッフのクレジットの中に李英宏の名前をしばしば見つけることができます)。
ある日、李英宏はKAO!INC.のトップである迪拉(DELA)に、自分もアルバムをリリースしたいと言ったそうです。2015年にFinger Drummingの大会に参加して敗退した経験などから、一層音楽への思いは強まり、基礎から音楽を学んでいったとのこと。

そして2016年についにソロアルバム《台北直直撞》をリリース。台湾語をメインにした歌とラップは大いに注目されヒットし、翌年の金曲獎で、李英宏は最佳台語專輯獎と最佳台語男歌手獎の2部門で、伍佰らと並んで堂々とノミネートされるに至りました。

なんといっても、インパクトを与えたのはアルバムのタイトルチューン「台北直直撞」でしょう。必ずしも全体に占める台湾語の比重は大きくないのですが、要所要所の台湾語の響きが耳に残ります。このMV、台北という都市の描き方の一つとしても興味深いと思います。

李英宏 aka DJ Didilong 「台北直直撞」


もう一曲、これは蛋堡とのコラボ。これは台湾語が全面的に用いられていて、なかなか印象的です。旺福の小民がギターで参加していて、いい感じで効いています。MVには紀培慧(映画「九月に降る風」「南風」、來吧!焙焙!のMV〈全世界我最喜歡你〉など)が出演しています。

李英宏 aka DJ Didilong 「什麼時候她」 feat. 蛋堡 Soft Lipa


でも李英宏には、次に挙げるこんな曲もあるのです。台北の街の中で見かけた犬をめぐって、ピアノだけで歌い上げるこの曲からは、台湾語の味わいが一層強く伝わり、ヒップホップだけでない彼の引き出しの多さを感じさせます。

李英宏 aka DJ Didilong 「一隻狗仔」


一気にブレイクした李英宏、他のアーティストのコラボも積極的に行っていますが、音楽活動にとどまらず、映画への出演(連奕g監督の『全ては愛のため(痴情男子漢)』)や、さらには台湾版Marie Claireに登場するなど、どんどん活動の幅を広げつつあり、今後も大変楽しみです。

李英宏には、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは台湾語について。もう一つは、映像を制作する側から、映像を撮られる側に移った経験について。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と李英宏からの回答です。

【Q1】台湾語での歌やラップに取り組んだのは、どういう理由からなのでしょうか? 他の/過去の台湾語での歌手・ラッパーたちとは異なる自分の個性は、どういうところにあると思っていますか?

【A1】自分の慣れ親しんだ言語だから。できるだけ他の人とは違っていたい。

【Q2】映画『全ては愛のため(痴情男子漢)』に出演していますが、顔社に入った最初の頃はMVのディレクターをしていましたよね。映像を作る側から、映像に出演する側に変わるのはどういう気分でしょうか? 映像を作る側だったことが、MVや映画に出演するときに役立つことはあったのでしょうか?

【A2】こんな風に変わるなんて予想していなかった。カメラの前でパフォーマンスするのは、やっぱりちょっと恥ずかしいね。あと、物を運んだりする必要はなくなったな。
もちろん、すごく役に立っている。制作チームの仕事現場にすぐ入っていける。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南はとてもいいと思う。歴史があるし、どこに行っても美味しい台湾料理がある!

台湾語についてはシンプルな回答でした。個人的な印象では、台湾語へのこだわりゆえに台湾語で歌う・ラップをする、というだけでない、彼なりの音楽的な理由もあるような気がしますが、どうでしょう。
二つ目の質問については、堂々とふるまっているようにも思ったのですが、やはり戸惑いはあったようです。「物を運んだりする必要はなくなった」というのは面白いですね!
あと、台南出身ではない李英宏もまた、台南推しでした!

次回はいよいよ最後の、夜貓組(YEEMAO)です!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月06日

KAO!INC.のアーティストに質問!(2)國蛋(GorDoN)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

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蛋堡をとりあげた前回のエントリ(第1回)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第2回の今回は、國蛋GorDoNFacebook)。

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國蛋(GorDoN aka Dr. Paper)は台南出身。高校は台南一中(蛋堡と同じ)、大学は台湾大学化学系と、どちらも名門の学校を卒業しています。また、2011年にはニューヨークに渡り、大学院に留学しています。KAO!INC.には2007年以来所属しており、インディーズシーンで長く支持されてきたラッパーです。蛋堡ほどの広い認知度はまだないかもしれませんが、台湾のヒップホップシーンで重要な存在であり続けているのは間違いないでしょう。

國蛋の特徴は、(十分に中国語を理解できていないことを棚に上げて言うと)リリックがとても都会的で、かつ内省的なところだと思います。オールドスクール風なシンプルなサウンドと相まって、クールな印象を強く与えるのが、國蛋のスタイルだと感じます。このことは、例えば2015年に第六屆金音獎で最佳嘻哈單曲獎を受賞した「Yesterday」でも、より最近に発表された「療程」でも感じられるのではないでしょうか。

國蛋 GorDoN 「Yesterday」


國蛋 GorDoN 「療程 Medical Treatment」


この秋には、排灣族出身の人気女性歌手・戴愛玲が10月にリリースしたアルバム《了不起寂寞》に収録されている曲で、國蛋はゲスト参加してラップを聞かせています。このコラボはなかなか面白い組み合わせで、國蛋のラップを新鮮な形で聴くことができます。

戴愛玲「不如沒問過」


さて、國蛋にはおきらく研からは2つの質問を送りました。一つは、上述した國蛋の都会的・都市的な面について。もう一つは、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と國蛋からの回答です。

【Q1】國蛋のリリックはとても都会的で、都市に生きる人の心情を見事に描いていると思います。この「都市に生きる人の心情」は、どこの都市でも共通していると思いますか、それとも違いがあるでしょうか? 台南、台北、ニューヨーク……それぞれの場所での経験は、リリックにどういう影響を与えているのでしょうか?

【A1】人、温度、言葉、スピードは都市ごとに違う。だから、生活の中で感じることも違うと思うし、それは結局僕の作品に影響を与えている。創作する時は、それぞれの環境で自分が感じたことを書いているだけ。感じたことのある部分は共通していると、後から振り返ってみてやっと気づくんだ。

【Q2】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A2】絶対に台南で鱔魚意麵を食べること!

なるほど、個々の異なる場所で感じたことの共通性は、その時点で気づくものではなく、後から振り返ってみて気づくというのは、わかる気もします。もっとリリックを読み込むことで、さらに発見できることもありそうですね。

あと、蛋堡に続き國蛋も出身地の台南を推していますが、より絞り込んで「鱔魚意麵」とは、実に台南出身者らしいチョイスです! 「鱔魚」とは田ウナギのことで、鱔魚意麵は台南ローカルの小吃の典型的なものの一つです。実は、國蛋の音楽を聴いてもまったく台南のイメージはなかったので、都市に生きる人の心情を描く國蛋が鱔魚意麵というコテコテなものを挙げるというのは、なんだか新鮮でした!

次回は、李英宏 aka DJ Didilongです! お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月05日

KAO!INC.のアーティストに質問!(1)蛋堡(Soft Lipa)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

台湾のミュージックシーンに関心がある人なら、ヒップホップについて詳しくなくても、KAO!INC.(顏社)について聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。KAO!INC.について、クリエイティブマンのページでの紹介を引用しておくと:「2005年7月に設立。台湾の伝説的HIPHOPレーベル。台湾ラップ・HIPHOPの発展において重要な役割を果たす。代表のDELA(張逸聖)はプロデューサーとして独特なセンスと美意識で数多くのヒット作を手掛けた」。ちなみにKAO!INC.のオフィスは、台北の富錦街にあります。KAO!INC.経営のカフェ「BEANS & BEATS」公式サイトFacebookInstagram)に行ったことがある人もいるかもしれません。

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今回の日本ツアーは、このKAO!INC.の面々が一同に会して来日するという、非常に貴重な機会で、間違いなく要注目!です。と思っていたら、なんとKAO!INC.から直々にお声をかけていただき、おきらく台湾研究所から各アーティストに対して質問を送ることができました。そこで、今回から4回に分けて、その質問に対してKAO!INC.の各アーティストから届いた回答を、ブログで紹介していきたいと思います。

第1回の今回は、蛋堡Soft LipaFacebookInstagram)です。

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蛋堡の本名は杜振熙、台南出身です。「蛋堡」という名前の由来は、子どもの頃、彼の父が毎朝「火腿蛋堡(ハムエッグ・バーガー)」を朝食に持たせていたからとのこと。大学時代にKAO!INCにスカウトされてデビューしてから、数々の賞を受賞しています。金曲獎に限っても、2010年に最佳新人獎・2011年に最佳專輯にノミネートされたほか、2014年には最佳國語專輯獎や最佳國語男歌手獎など3部門にノミネートされています。

蛋堡については、日本のクラブジャズバンドJABBERLOOPとのコラボを覚えている人もいるかもしれません。今回のツアーでも、15日の東京公演でジャバホーンズが友情出演するそうなので、楽しみです!

蛋堡 Soft Lipa X JABBERLOOP 「I Want You」


蛋堡の特徴は、なんといってもトラックのクオリティの高さでしょう。ヒップホップやラップについての固定的なイメージを超える、音楽的な洗練が感じられます。ヒップホップファン以外にも浸透していることや、ヒップホップ以外のアーティストとのコラボの多さにも、そのことが表れているように思います。個人的に好きなのは、例えばこの曲です:

蛋堡 Soft Lipa 「我們都有問題」 feat. N.CHEN


というわけで、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは、多彩な音楽の影響について。もう一つは、蛋堡のFacebookやInstagramにときどき登場する、お子さんの蛋花について(蛋花は、こんな子です。かわいい!)。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と回答です。

【Q1】蛋堡の音楽は、典型的なヒップホップやラップにとどまらない、多様なジャンルの音楽の影響を感じさせます。これまで影響を受けた音楽やアーティスト(できれば、ヒップホップ関係以外)を教えてください。また、オフのときに聴く音楽はどんなものを聴いているのでしょうか。やはり多彩な音楽を聴いているのでしょうか?

【A1】ジャズ、ハウス、台湾の校園民歌、昔の流行歌。リラックスした状態では、フリージャズ、ニュージャズ、その他、ゆったりした気持ちになる音楽が好き。

【Q2】お子さん(蛋花)が生まれたことは、ご自身の音楽活動にどういう影響を与えましたか? 蛋花はどんな音楽が好きですか? 自分の音楽を聴かせることはありますか?

【A2】創作時間がずいぶん細切れになった。蛋花はしまじろうの歌なら全部好き。普段は蛋花が音楽の選択権を握ってるよ。リズム感がよくて、僕がヒップホップを聴いていると、きちんとリズムに合わせて頭を振ったりもできるんだ。でも、きっぱりと「この曲、聴きたくない!」と言うこともある。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南で散歩したり、食べたりするのがお薦め。

Q1については、ジャズっぽいものは予想していたのですが、蛋堡が「校園民歌」を聴いているというのはちょっと予想外で興味深いです(校園民歌は、かつての台湾でキャンパスなどで歌われた歌の数々です。昨年の東京国際映画祭で台湾のドキュメンタリー映画『四十年』を観た方は、イメージがわくかもしれません)。

あとQ2で、仕事に集中する時間が細切れになってしまう……このくらいの子どもが身近にいた経験がある人にとっては、まさに「あるある」ですよね(笑)! 蛋堡も同じなんですね。しまじろう、人気です! 「これ聴きたくない!」というのも、目に浮かぶようです。

最後にQ3。やはり台南出身ということで、台南をご推薦ですね。私も久々に行きたい!

いかがでしょうか? こんな感じで、ほかの3アーティストについても順次紹介していきますので、お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

posted by 研究員B at 00:12 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

9m88

Youtubeで聴いてとっても印象に残り、日本語での紹介があまり見当たらないので、じゃあブログで紹介しよう、と以前から思っていました。でもあれこれ忙しくてできないうちに半年以上経過。すると突如、7インチ盤リリースという話が飛び込んでびっくり、さらになんと来日まで決まってしまった。ようやく、慌てて紹介することにします。誰のことかというと、「9m88」です。

9m88FacebookInstagram)は、台湾出身の女性シンガー。“jiu-em-ba-ba”というこの名前は、イングリッシュネームのJoanneに中文のニックネーム「小芭」を加えたというもの。現在はニューヨーク在住ながら、台湾でもときどき活動しています。ジャズっぽさも感じさせつつ、ジェントルだけどソウルフルな、すごくポテンシャルを感じさせる注目のボーカリストです。以下、いくつかの中文のウェブページの情報(これとかこれとかいろいろ)をもとに書いてみます。

子どものころから歌が好きで、高校の時にはダンスもやっていたという彼女。台北の實踐大學服裝設計學系に進学してファッションデザインを学び、好きだったジャズのテイストを加えたデザインの卒業作品は高い評価を得たそうです。2014年にはニューヨークで吳季剛(ジェイソン・ウー)のもとでインターンとして働くほどになったものの、彼女は最終的にファッションデザインの道を選ばないことにしました。代わりに選んだのが、もともと好きだった音楽の道。このニューヨーク滞在中に、ブルックリンのSpike Hillで小さなギグを行う(エイミー・ワインハウスのカバー!)など、音楽活動を少しだけ経験したこともきっかけの一つだったようです。

台湾に戻り著名ショップの「Ne.Sense」で働きながら、さらにステージパフォーマンスの経験を少しずつ重ね、なんとニューヨークの名門、The New SchoolのThe School of Jazz & Contemporary Musicに受かった彼女、再びジャズを学ぶ大学生としてニューヨークに舞い戻りました。これが2015年7月だそうです。ニューヨークで音楽活動を続けながら(例えば、2015年10月にはこのライブに出演)、現在もThe New Schoolに在学中のはず。

台湾で9m88の認知度が高まったきっかけは、なんといってもLeo王「陪妳過假日」への参加でしょう。2016年10月、Leo王がメンバーだった巨大的轟鳴がツアーでニューヨークに立ち寄った際に撮影されたこのMVで、「彼女は誰?」状態になり、9m88は台湾で一気に注目されるようになります。この曲、ゆるめのLeo王のラップも、ゆったりながらもシャープさを感じさせる9m88の歌も、二人のファッションも、MVの雰囲気もすべて最高です!

Leo王「陪妳過假日」feat. 9m88


ちなみに、Leo王は9m88よりも一足先に来日ライブの開催が決まっています(KAO!INC. 顏社の日本ツアー(12/15原宿・18大阪)に、春艷との「夜貓組」として登場予定)。こちらも要チェック。

9m88の歌をより味わうことができるのは、2017年1月にMVが公開された、ソロ名義の「九頭身日奈」。DJ Mitsu The Beatsの"Playin' Again"をサンプリングしたチューンです。このMVのビジュアル面のテイストは、個人的にはあまり好みじゃないのだけど(笑)、でも9m88の歌の、ソウルフルな熱さをクールダウンさせたような、心地よい味わいはなかなかです。タイトルは文字通りには「9頭身のひなの」で、吉川ひなの(!)が着想のもとらしいけど、歌われているのは「美少女」と呼ばれていても時間が経ってしまったら…の9パターン?というような、ネガティブにも見える内容。でもそこに込められているのは、自分の美しさは自分自身で定義するものだという力強いポジティブな思いのように感じました(って、Blow 吹音樂の記事の受け売りですが)。

9m88「九頭身日奈 NINE HEAD HINANO」


なお、歌詞の日本語訳の字幕があるヴァージョンもあるので、そちらもぜひ。

2017年2月〜3月には、ライブやセッションの動画を掲載する樂人TVのYoutubeチャンネルに、9m88の二つの動画(「BB88」「Eyes」)がアップされました。どちらも、シンプルなセッションである分、9m88のシンガーとしての魅力がストレートに伝わってきて、かなりいい感じです。特に方大同の「BB88」のカバーは印象的で、必聴です(個人的には、この路線をさらにジャズ度を高めて追求してほしいかも)。

9m88「BB88」


9m88「Eyes」



2017年4月には、Louisa Rosiとの「巴黎,我想跟你一起去」も公開。アマチュアテイストあふれるMVですが、落ち着いた味わいが印象に残るチューン。

9m88「巴黎,我想跟你一起去」



そして2017年7月には、北京出身のトラックメイカーFishdollとのコラボ作「Air Doll」のMVが公開。これ、9m88のボーカルという点では押し出しが弱いかもしれないけど、浮遊感のあるユニークなトラックで、気に入りました。

9m88 and Fishdoll「Air Doll」



こんな感じで、いまの時点ではシンガーとしてまだ成長中で、スタイルが固まっているとはいえず、粗削りな面もあるのも確かだけど、歌声も雰囲気もとっても魅力的で、個人的にはかなり強力に可能性を感じます。今後、いいプロデューサーに巡り合うなどの機会があれば、将来さらにいろんな方向に「化けて」くれそうで、期待!

こうしたMVの公開と並行して、落日飛車の今年7月のツアーに出演するなど、台湾でのステージ経験も積んでいく中、この11月になって突如発表されたのが、上で紹介した「九頭身日奈」の7インチ盤が、2manysoundから12月20日にリリースされるというニュースでした。B面には、竹内まりやの「Plastic Love」のカバーが収録されているとのこと(9m88、日本語で歌っているようです)。

このニュースに驚いていたら、さらに来日ライブも発表されました(1/9(火)青山月見ル君想フ)。一気に日本にも波が来はじめた感がありますが、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、大変楽しみです。

というわけで、9m88、注目です!

タグ:9m88
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2017年11月26日

2017金馬獎・結果

本日(昨日)、第54屆金馬獎の授賞式が行われ、各賞が発表されました。以下、受賞者・受賞作品をご紹介。詳しいノミネートリストは昨日のエントリをご参照ください。


●最佳劇情片(最優秀作品賞)
血觀音

●最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー賞)


●最佳動畫長片(最優秀長編アニメーション映画)
大世界

●最佳劇情短片(最優秀短編映画)
亮亮與噴子(李宜珊)

●最佳動畫短片(最優秀短編アニメーション映画)
暗房夜空(石家俊,黃俊朗,黃梓瑩)

●最佳導演(最優秀監督賞)
文晏(嘉年華 『天使は白をまとう』:2017東京フィルメックス)

●最佳男主角(最優秀主演男優賞)
涂們(老獸 『老いた野獣』:2017TIFF)

●最佳女主角(最優秀主演女優賞)
惠英紅(血觀音)

●最佳男配角(最優秀助演男優賞)
陳竹昇(阿莉芙 『アリフ、ザ・プリン(セ)ス』:2017TIFF)

●最佳女配角(最優秀助演女優賞)
文淇(血觀音)

●最佳新導演(最優秀新人監督賞)
黃信堯(大佛普拉斯 『大仏+』:2017TIFF)

●最佳新演員(最優秀新人賞)
瑞瑪席丹(強尼.凱克 『ジョニーは行方不明』:2017東京フィルメックス)

●最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
周子陽(老獸 『老いた野獣』)

●最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
黃信堯(大佛普拉斯 『大仏+』)

●最佳攝影(最優秀撮影賞)
中島長雄(大佛普拉斯 『大仏+』)

●最佳視覺效果(最優秀視覚効果賞)
林哲民, Perry KAIN, Thomas REPPEN(擺渡人)

●最佳美術設計(最優秀美術賞)
邱偉明(擺渡人)

●最佳造型設計(最優秀メーキャップ・衣装デザイン賞)
張叔平, 張兆康(擺渡人)

●最佳動作設計(最優秀アクション監督賞)
桑林(綉春刀 II 修羅戰場)

●最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)
林生祥(大佛普拉斯 『大仏+』)

●最佳原創電影歌曲(最優秀映画主題歌賞)
有無(詞:王昭華 曲:林生祥 唱:林生祥 大佛普拉斯 『大仏+』)

●最佳剪輯(最優秀編集賞)
錢孝貞, 李博(塑料王國)

●最佳音效(最優秀音響効果賞)
杜篤之, 吳書瑤, 杜均堂(報告老師!怪怪怪怪物! 『怪怪怪怪物!』:2017TIFF)

●年度台灣傑出電影工作者(最優秀台湾映画人賞)
胡定一

●終身成就獎
徐楓


台湾映画に注目すると、多数の部門でノミネートされていた『大仏+』が、見事に多くの部門で受賞を果たしたこと、そしてなんといっても、《血觀音》が最佳劇情片と、最佳女主角・最佳女配角の両部門で受賞したことがニュースでしょう。両作品によって、今年の金馬獎における台湾映画の存在感は非常に大きなものになったと思います。

『大仏+』の受賞ラッシュは本当にすごかった。音楽2部門を両方獲るとはびっくり。そして、《血觀音》もインパクトのある受賞結果でした。最佳女主角・最佳女配角が同じ作品から同時に出るなんて、前例のあることなんでしょうか? 両作品とも、日本で公開されることになるといいのですが(《血觀音》については、まずは映画祭などでの上映からかもしれませんが)。受賞した実績が、日本公開への後押しになることを期待したいところです。

個人的には、東京国際映画祭や東京フィルメックスで観たばかりの『アリフ、ザ・プリン(セ)ス』や『ジョニーは行方不明』から受賞が出たのも印象に残りました。特に最佳男配角の陳竹昇は『大仏+』での演技も印象的だったので、2作分の活躍の結果のように感じてしまいました。

また、川井憲次・久石讓というビッグネームの日本人2人がノミネートされた最佳原創電影音樂で、受賞した林生祥とともに、大竹研・早川徹という2人の日本のミュージシャンが壇上に上がったことも、受賞リストだけでは見えてこない日本からの活躍ぶりを示すものとして、特に記しておきたいと思います。

というわけで、予告編を少しだけ貼り付けておこうと思います。昨晩のノミネートリストについてのエントリで紹介していないものを……と考えた結果、やはり多数の部門で受賞した2作を貼ることにします。

まず『大仏+』。東京国際映画祭や東京フィルメックスで既に上映された作品は、紹介の優先度を落としているのですが、これについては改めて紹介したくなりました。とってもユニークで、ぜひとも日本でまた上映されてほしい作品です。ちなみに東京国際映画祭で観たBのコメントはこちら



そして《血觀音》。楊雅賦ト督の新作は、惠英紅(最佳女主角)、吳可熙(『マンダレーへの道』)、文淇(最佳女配角)の3人以外にも、陳莎莉・王月・温貞菱・陳珮騏・大久保麻梨子とずらりと並ぶ出演者リストは、独特の迫力(?)があります。ざわざわ感が高まらずにはいられない予告編はこちら。



この2作品をはじめ、多くの作品が日本で上映されることを祈りたいと思います!

posted by 研究員B at 02:30 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする