2012年08月16日

長澤まさみ、台湾の連続ドラマで主演

今朝(もう昨日の朝になりますが)報道された、「長澤まさみが台湾の連続ドラマで主演する」という、ちょっとびっくりの話題。当研究所のtwitterでも紹介しましたが、多くの反響がありました。今回は、この件に関して情報を整理するエントリです。twitterで既につぶやいた内容と重なりますが、ご容赦を。


まず日本での報道。この2つです。

スポニチ「長澤まさみ海外進出!全編中国語の台湾の連ドラ主演」
「「ラスト・フレンズ」など放送 長澤まさみ 台湾での人気は抜群」


スポーツ報知「長澤まさみ、台湾連ドラ主演でアジア進出!全編北京語!!」

ポイントを列記すると:

  1. 出演するドラマは、日本のコミック「ショコラ」(wikipedia)のドラマ化(後述の台湾での報道によると、中国語タイトルは《流氓蛋糕店》)。元ヤクザが経営するケーキ店が舞台。

  2. 長澤まさみが演じる主人公は、日本で生まれ育った華僑の音大生。日本で育ったため、“日本語なまり”のある中国語を話すという設定。中国語での演技に向け、春から毎週中国語を学習中。

  3. 共演は藍正龍(ラン・ジェンロン:中文wikipedia日本語wikipedia)。

  4. クランクインは9月下旬。4カ月半にわたって台湾で撮影する予定。台湾での放送は来年夏。その後、日本や韓国、中国などアジア各国に順次展開していく予定。

――だそうです。


日本語ではこのくらいの情報でしたが、この話題、当然台湾でも大きく報道されていて、そちらだとより詳しい情報が報道されていました。主なものは以下:

聯合報「長澤雅美學中文 「蛋糕」傳情藍正龍」

蘋果日報「長澤雅美long stay 4個月拍台劇 尬藍正龍打5折」

これらによると、長澤まさみは:

  1. 吹き替えではなく、中国語を学んで「原音」にチャレンジする意向をもっている。

  2. 出演料についても、台湾のドラマ制作環境が日本とは異なることを考慮し、日本に比べて出演料が安くなることを受け入れた(日本の約5割、という報道も)。

  3. こうした場合、メイク・スタイリスト・通訳などなど、日本から大勢スタッフを連れてくる芸能人がいるが、彼女はそうはせずに、台湾チームに「融入」する意向である。

――とのことでした。すべて本当なら、長澤まさみはかなり本気ですね。特に「吹き替えなし」はかなりハードルが高いと思いますが、腹をくくって臨むのはとてもいいと思います。(ただ、日本での報道では「全編中国語」とありますが、蘋果日報の記事では、長澤まさみの台詞は中国語と日本語が半々ぐらいとあります。)


それ以外では:

  1. プロデューサー・兼・総監督を務めるのは、馮家瑞wikipedia)。この馮家瑞は有名なプロデューサーで、たくさんのアイドルドラマの制作にかかわってきた人物です。「流星花園」「薔薇之恋〜薔薇のために〜」「イタズラなKiss」「ろまんす五段活用」「花ざかりの君たちへ」「トキメキ!玉子チャーハン」「ホット・ショット」「モモのお宅の王子さま」「スキップ・ビート!」……。

  2. 映画「一万年愛してる(愛你一萬年)」の監督・北村豊晴(北村豐晴:Facebook)も、馮家瑞とともに監督として参加。ちなみに彼は現在、もう一人の監督・蕭力修と共同で《台灣有個好萊塢》(Facebook)という映画を撮影中(この映画、「父の初七日」の阿梅役・王莉雯が脚本担当)。実は藍正龍はこの《台灣有個好萊塢》にも出演していて、北村豊晴と藍正龍はこの映画の撮影を終えてから、ドラマ《流氓蛋糕店》の仕事にとりかかるということみたい。

  3. アクションシーンもあるようで、それについては元TENSIONのJimmy(ジミー・ハン、洪天祥:wikipedia)が指導役として撮影に協力するようです。彼はドラマ「ブラック&ホワイト」などでもアクションの指導をしていて、すっかり製作側の重要人物になっていますね。彼は音楽についても担当するようです。

  4. 他にも、映画「モテキ」で長澤と仕事をしているスタイリストの伊賀大介wikipedia)も、関わっているようです。


ところで、中國時報の記事「長澤雅美拍戲ㄌㄠˋ中文1集酬勞對折價35萬」は、短いものですが吹き替えの件についてふれています。これによると、最近の台湾ドラマで韓国人キャストを起用した、「スキップ・ビート!」(SUPER JUNIORのシウォンとドンへが出演)と「絶対彼氏。」(ク・ヘソンが出演)について、吹き替えがネットであまり好評でなく、視聴率も理想的なレベルには達しなかったとあります。長澤まさみが吹き替えでなく中国語の台詞を話すという方向性は、彼女の意欲だけではなく、こうしたことが背景にあるのかもしれません。
とはいえ、一般に台湾のドラマではかなり容赦なく吹き替えにされやすいことを思うと、本当に吹き替えなしでいけるのか、最終的にどうなるかはまだわからないというべきでしょうが。


長澤まさみの国際的な活動の展開という点でも、そして日本における台湾ドラマの位置づけという点でも、このドラマの展開次第では、いろいろ可能性が開かれていきそうなので、今後が非常に気になります。正直言って「本当にだいじょーぶなのかなあああ」という思いもないわけではありませんが(!)、万事いい方向に進んでいくことを期待したいと思います。


【2012年8月17日追記】
この件についての台湾での報道をめぐって、制作側の方がtwitterで以下のようにツイートしていました。

「ショコラの件、台湾でも沢山報道されましたが、実は台湾メディア、文化の違いから真実でないこと、誇張されていること多々あります。特に数字やマイナスな事。(大方悪気があるわけでなく、台湾と日本の価値観の違いが理由だと思います。)これからもこの様な事があるかと思いますが、この点をご理解いただいて台湾報道みて頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。」
https://twitter.com/knaho/status/236038253021646848
https://twitter.com/knaho/status/236038444005081089

一般論として、台湾での報道を額面通り受け取ることには慎重であるべきなのは確かでしょう(台湾に限らないかもしれませんが)し、このエントリの内容についても、上記の指摘を考慮して読んでいただければ幸いです。

posted by 研究員B at 03:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月04日

ドラマ《田庄英雄》

台湾滞在中に見かけたものの中で、絶対に日本では放送されないと思われるドラマを紹介しようというシリーズ。その1として、客家語のチャンネルでやっていたドラマ《流漂子》を紹介しましたが、今回はその2。今度は一転して、台湾で放送が始まったばかりのドラマです。

タイトルは《田庄英雄》。英語タイトルは「Local Hero」。公式サイトはこちら、wikipediaはこちら。帰国前日の夜にやっていた、第2話だけを観たのですが、思いっきり引きこまれました(笑)。

ドラマの舞台は、日日村というある田舎の村。そこの派出所に「副座」として勤める警官・李達官(蔡振南)。田舎の村の派出所というぱっとしない場に、出世することなくずっととどまるが、村民からの信望は厚い。この派出所に、将来有望で優秀な若い警官・馬尚宏(吳慷仁)が「主管」として赴任してきた(本当は、ある事件を調査するための赴任らしい)。警官としての有能さだけでなく、ユーモアや人あたりの良さも兼ね備えた彼は、あっという間に村民たちの心をつかみ活躍する。この2人に、若い女性警官の王惠敏(趙小僑)と、孫勇志(民雄)を加えた4人(あと犬の仔仔)が、日日村派出所のメンバー。日日村で活躍する彼ら(李達官・馬尚宏のみ?)が、Local Hero=「田庄英雄」である。

――こう書くと、舞台が田舎だというだけでそれなりに普通のドラマにみえるかもしれないけど、基本はコメディーです。もちろん謎の解決や、恋愛や親子関係など人間関係の展開なども当然ベースにあるのですが、そういうあたりをあまり気にしないと(!)田舎を舞台にしたドタバタした(くっだらない、いやいや)笑いが目立ちます。そうした点で、このドラマは《夜市人生》のような、本土劇の演歌風な人生叙情ものではありません。警官ものということもあって、謎の解決が重要な機軸に(一応)なっているのは確かですが、他方で、ことさらにベタな田舎っぽさがいちいちネタにされ、それと笑いを結びつけるあたりは、『カエルになった王子様(王子變青蛙)』『マイ・ラッキー・スター(放羊的星星)』を思い起こさせます。実際、ドラマ中では台語もそれなりに出てくるものの、基本は國語です。

例えば、観ることができた第2話だと:
突如、村で女性の下着泥棒が続発。村中は大騒ぎに。実はその犯人は、派出所で村民の信頼を得ている李達官の息子・李顯耀(李博翔)だった。激怒しつつも、父子関係の難しさの中でコンプレックスを抱いていた息子を理解できず悩む父。そこへ、たまたま下着が盗まれた同じ夜に、村で豚を盗もうとした2人組・葉仔(錢君仲)と菁仔(錢君銜)が、棒や箒で(!)追いかける村民たちにつかまり、下着泥棒だと思われる。すべての事情を知った馬尚宏は、上司の李達官を落ち着かせ、言えない理由があるのだろうと李顯耀をいったんかくまいつつ、真犯人を明かさずに村民をなだめ(!)、さらに(このあたりドタバタがあるのですが)誤って薬を飲んで眠ってしまった王惠敏をおんぶして自宅に届けたり、大忙しな展開をさわやかにこなす。
翌日、下着泥棒の犯人とされて警察に拘留されたままの葉仔と菁仔。王惠敏は、我慢できなくなった彼らの一人と手錠でつながれながらトイレに行く羽目になったり、そこへ出勤してきた李達官は、「自分たちは犯人じゃない」という彼らに、後ろめたさもあって口ごもり、でも息子の部屋から持ち出した下着がいっぱいのバッグの説明に窮したり、さらにそこに「なぜ早く厳しい処分をしないんだ」と村民たちがわあわあとやってきたり、かぎつけたテレビ局のレポーターがやってきたりの大混乱。
その一方で、馬尚宏が面倒をみている、友人の子・唐曉萱(尤人立)と李顯耀は無断で外に出て、父子関係の話や複雑な過去の話をするようになる。しかし唐曉萱が突然倒れて…。

――どうでしょう? 先が気になりませんか? そんなことない?(笑)

主役の(髪型がなんだか微妙だけど)かっこいい警官・馬尚宏を演じるのは、吳慷仁(クリス・ウー、中文wikipediaFacebook日本語wikipedia)。「秋のコンチェルト(下一站,幸福)」でフア・トゥオイエ(花拓也)役を演じていた人、というとわかるかも(と書いている自分は秋コン未見なのでわからず)。個人的には、彼は映画「愛が訪れる時(當愛來的時候)」で來春の恋人役だった人というイメージで、それ以外にも最近では、台北電影節のノミネート作品の一つ・映画「河豚」で主演していたり(詳細はアジアンパラダイスさんのページを参照)、明日を担う若手の映画俳優の有望株、という印象でした。その彼が、いきなりこんな(!)連続ドラマの主役、しかも田舎の警官役!というのは結構びっくりでした。吳慷仁、幅広いです。やりますねこの人。

毅然として頑固な人でありつつ、何かと追い込まれて当惑する羽目に陥る(そこが笑うポイントだったりするわけですが)李達官を演じるのは、蔡振南。彼というとやはり《多桑》なのでしょうが、未見の自分が思い浮かぶのは《求婚事務所》で李威の父親役。このドラマでは意外にヘタレ(といっていいのか)な面もあるキャラクターを演じていて、個人的には新鮮。

そして女性警官・王惠敏役の、元・七朵花リーダーのジョイスこと趙小僑(元「趙虹喬」、wikipedia)。こんなところでお見かけするとは! 『カエルになった王子様(王子變青蛙)』で都会のお嬢様役だった彼女が、5年を経て田舎の女性警官をコミカルに演じるに至るというのは何とも感慨深い。でもこの役の彼女、ハマってます。

ところで、第2話では登場しなかったけど、非常に重要な登場人物(杜文昇)として出てくるのが、5566のトニー・孫協志wikipedia)! 若き台語歌手から始まる彼の多彩なキャリアの現在地点は、田舎の郷長の秘書で、幼なじみの王惠敏に思いを寄せる役。

もう一人の警官役は、「海角七号」にも出演していた原住民の歌手・民雄。また笑いどころでちょくちょく出てくる2人組、葉仔・菁仔役の錢君仲錢君銜(錢氏兄弟/Money Money)は、ドラマ「新兵日記」にも出演していたけど、ここでも起用されています。実は芸達者な彼らについては、そのうちエントリを書こうかと。他にも小Sの物真似で知られる小8とか、いろんな人が出ています。

このエントリを書くためにYoutubeでもう一度見てみたけど、うーん、なんというか、苦笑してしまう…。本土劇とはまた違うコテコテの方向性、楽しめそうな方はぜひどうぞ。吳慷仁が気になる方は必見ですよ。

というわけで、オープニングの動画を。片頭曲は吳忠明「嗯嘛」。



posted by 研究員B at 02:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

ドラマ《流漂子》

台北滞在もついに最後の夜。今回の旅、テレビについては深夜にちらちら見た程度だけど、それでもやっぱりかなり興味深く、楽しめました。

いわゆるアイドルドラマは、日本で放送されなくてもいろいろ情報が入ってくるけど、そうではないタイプのドラマも台湾にはたくさんあります。そういうドラマを見ることができるのは、やはり台湾滞在中ならでは。というわけで、滞在中に見かけたものの中で、絶対に日本では放送されないと思われるドラマを、いくつかご紹介しようかと思います。

今回は、まずその1として、《流漂子》公式サイトwikipedia)をご紹介。客家電視台で放送されているのをちょっとだけ見ました。もともと2009年に放送されたものの再放送だった模様。客家語のチャンネルで放送された客家語のドラマなんて、普通なかなか見る機会はないので、貴重な体験。

これ、英語タイトルが「Mango Dreamer」というのですが、それは主人公が台北・永康街でマンゴーかき氷の店を立ちあげた人物という設定だから。民國50年代の永康街を舞台にした青春ドラマ、という感じの作品です。

客家語のドラマに出演している俳優なんて知らない人ばかり、と思う人もいるだろうけど、実はこの作品、それなりの俳優が起用されています。まず主役の羅強(小羅)役は范植偉。彼は客家人なんでしょうか? 準主役の阿潘を演じているのは、元183clubの黃玉榮。彼は本当にいろんなドラマに出ていますねえ。黃玉榮、wikipediaによると、先住民族アミ族の血を引く客家人だそうです。

で、実際に見ることができたのは1回だけ、しかも途中からですが…。細部の正確さは保証なしという前提で、こんな話でした。多分以下の登場人物は、みな幼ななじみという設定のはず。


美女(役名)が男性達との酒の場にいなければならず、そこで酔ったある男性にからまれる。先輩だか何だかなので、はっきり断り切れず困っていると、范植偉演じる小羅が「すみません遅れて」と入ってきて、その男性と美女の間にぐいっと入って座る。小羅は男性の後輩か何からしいのですが、その男性から「なんだお前、久しぶりじゃないか、でも遅れてきたから、まずかけつけ3杯だ!」と言われて、小羅は次々に酒を飲む羽目に。でもそのおかげで美女はその場から離れることができた。

ただ、酔い潰れた小羅は寝入ってしまい、朝目覚めると自分が美女の家にいることに気づく。起きてみると、美女が嬉々として朝食を準備中。朝食を2人で食べる展開になり当惑する小羅(彼にはいいなずけ(?)がいるので)。しかも食べながらいきなり、美女が(昨晩の経緯ゆえか、元々そういう思いをもっていたのかはわからないけど)「あなたのことが好きなの」と言い出し、ますます当惑する小羅。

その後結局小羅は自宅に戻る。ちょうど母親といいなずけ(?)の玲芬が朝食をとっている。「朝食は?」といわれて「いや、食べてきたからいらない」と応える小羅。その様子をみて、彼の母親はピンと来て「どこで食べてきたの」と追及。小羅は正直に美女のところだといって、酔い潰れた話などをし、それに対して玲芬も「(元々知っている)美女は変な考えを起こす子じゃないわ」とフォロー。疑惑の思いが消えない母親は「もう子どもじゃないんだから、何があってもおかしくないのよ」と警告。

さて美女の仕事は学校の美術教師。緑の中で、生徒に写生をにこやかに教える美女。それを遠くから見つめる、黃玉榮演じる阿潘。どこか遠くに行って離れていた彼はちょうど地元(?)に戻ってきたところのようで、思いを寄せる美女の姿を久々に見つけ、思わず「美女!」と呼びかける。振り返る美女――というところで次回予告とエンドロール。


――うーーーん、なんともベタな話! いやまあいいんですが、とてもわかりやすい話を、みなさん非常に誠実に演じています。とはいえ、トータルに見て丁寧につくられている作品で、ついつい見入ってしまいました。

もっと全体を見たら、客家らしさみたいなものも随所に感じられるのかもしれませんが、とりあえずこんな感じ。ちなみに美女を演じているのは、胡盈禎という人。タレントの胡瓜の娘さんだそうで、「犀利人妻(結婚って、幸せですか)」でルイファン(溫昇豪)の妹役(瑞萱)も演じているそうです(未見なのでいまいち感じがわからず)。

予告編の動画を貼っておきます。范植偉がヤンキーの格好をしていて貴重?



posted by 研究員B at 03:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

ドラマ「夜市人生」

今日のネタは、台湾ドラマ「夜市人生」について。これまでも当ブログで何度か出てきたことのあるこのドラマ、ちょうど記事がひとつ出たので、取り上げることにしました。

その記事の話に移る前に、簡単にご説明。この「夜市人生」(オフィシャルwikipedia)は、台湾の民視電視台で2009年12月から放送しているテレビドラマのこと。ニコニコ大百科の説明を借りれば、夜市で日夜起こる、店主たちやその一家の運命の流転や様々な巡り合いを、愛や涙溢れる物語で構成されるという。

台湾のドラマといっても、日本で放送されることが多いいわゆる「偶像劇」(アイドルドラマ)ばかりではなく、中高年層がターゲットのドラマもあるわけで、この「夜市人生」はそういうタイプのドラマ(「本土劇」と言います)の一つです。本土劇というと、登場人物は台湾語を話し、視聴者層は中高年層、日本の昼メロドラマのようなコテコテな感じをイメージしてもらえれば雰囲気は近いかもしれません。でもメジャーな本土劇は、日本の昼メロよりもはるかに存在感がある番組です。視聴率も高く、放送時間もいわゆるゴールデンタイム。「夜市人生」も、放送時間は月曜から金曜までの夜8時から10時まで。コテコテなドラマを毎回2時間、しかも帯で放送すると聞くと、なんとなく凄さが感じられるかも?

そこから予想されるように、このドラマ、登場人物が非常に多くて、複数の家族が関わる物語になっています。しかも時間的な幅もあって、途中まで子役が演じていた登場人物が、ある時点から成長して成人の俳優が演じるようになるなど、ドラマの中でいわば代替わりも進みます。それだけ人間関係も複雑にこじれて愛憎も深まっていくわけですが…。

ともかく、この「夜市人生」、大変な人気番組で、今月に入り視聴率が8%台に達したとのこと。多チャンネルの視聴環境が一般化している台湾で、この数字は非常に高く、現在最も多くの人に観られているドラマといっても過言ではないかも。放送開始から1年近くになり、既に200話を突破。Youtubeを検索すると無限に動画が載っています。無限すぎて観ていられないというぐらいです。

自分が実際に見たのは、台湾滞在中に数えるほどだけですが、以前のエントリでも書いたように、「中国語初級レベルでも、字幕を斜め読み(?)で大まかな筋がわかるというベタさ」があります。何しろ台湾語なので完全に字幕頼みですが、極端に言えば字幕がなくてもいかにもな展開が続くので問題ありません(!)。

さて、ようやく本題。蘋果日報でこんな記事が出ていました。

蘋果日報「《夜市人生》6車禍4流產12住院6外遇 4招老梗混1年」

この「夜市人生」、人気の背景には、ストーリーの急展開につながるような事件が多発することがあるようです。この記事では、ドラマの中で「自動車事故」「流産」「入院」「不倫」がいかに頻繁に起こっているかが書かれています。実際、日本でも、3月頃に突然ネット上でこのドラマが話題になったことがあり、そのきっかけになったのはこのドラマの自動車事故のシーンでした。トラックに跳ね飛ばされて人が飛んで行くシーンが、(笑いをとろうとしているわけではないけど)吹き出さずにはいられない仕上がりで、ニコニコ動画などでかなり沢山紹介されました(!)。

蘋果日報のこの記事によると、これまでのストーリーで、自動車事故に遭った登場人物は6人、流産を経験したのは4人、入院したのは実に12人、不倫したのは6組に及ぶそうです! 直接ここに動画を貼り付けられないのですが、上の記事のリンク先で、ドラマ中で多発するそうした出来事のシーンをまとめた動画を観ることができます。何というかすごいの一言なので(!)、ぜひご覧ください!

(追記:その後Youtubeに動画がアップされたので、以下に貼り付けておきます)


それにしても、このドラマの登場人物を見ていても、日本で偶像劇を見てきた程度では、知らない俳優さんばかりです。wikipediaのリストをざっと見ていても、田麗・陳博正・藍心湄・江祖平あたりがわかるぐらい。映画「愛が訪れる時(當愛來的時候)」にも出ているK面の名前もあります。台湾芸能界の奥深さを思い知らされます(?)。

このドラマ、今後どこまで行くのかわかりませんが、きれいな偶像劇だけでは見えてこない台湾の一面をよく伝えてくれ、なかなか興味深いです。見ていると苦笑せずにはいられませんが…。

(追記)そういえば、このドラマ、タイトルに「夜市」ってあるのに、夜市の場面って見たことないんだよな。スタジオセットと路上ばっかりな気が。ううむ。
posted by 研究員B at 03:51 | Comment(4) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月28日

「名揚四海」その4

研究員Bがずっと書いてきた『名揚四海(Friends)』(2003年:オフィシャルサイトwikipediad-addicts.com)。研究員Aにとっても、これが台湾ドラマデビュー。それなりに思い入れのある作品なので、私にも書かせろー、とエントリを横取り。「名揚四海」に関する詳しい情報は、研究員Bが書いた「名揚四海 その1」、「その2」、「その3」をどうぞ。

さて『名揚四海』。蔡岳勳が『流星花園』を撮り終わった後、『流星花園』を作ったスタッフを引き連れて作った作品。『流星花園』で手に入れたことを、深めて、発展させて、昇華させたドラマとも言えるかも。だから『流星花園』に感動して、もっと台湾ドラマを見たい!と思った人は、『名揚四海』を見るべきなのですよ。『流星花園II』ではなく。F4は出てないけど、出てくる登場人物がみんな魅力的。この役者使いのうまさに引き立てられて、F4はブレイクしたんだなあ、と逆に思ったりもするわけだ。

実際に、それなりに台湾ドラマを見た今でも、ベストをあげよと言われたら、鈕承澤(ニウ・チェンザー)の『求婚事務所』と並んでこの『名揚四海』を挙げるかも。どっちもオリジナル脚本で、だからこそ日本少女マンガ原作のものよりも、ちょっとだけ大人の世界が描けている。いやもちろん『流星花園』や『イタキス』も好きなんですよ。昔、少女マンガを読んでいた時に感じたどきどきを、再体験するのも。でも、さすがにもう「どきどき」だけでは生きていけない私は立派なオバサン。同じく立派なオッサンである鈕承澤や蔡岳勳の想いをストレートに反映したストーリーの方が、落ち着いて見ることができたりもするのです。

それから、「名揚四海」を見ていてつくづくすごいな、と思ったのは、一人も悪人が出てこないこと。ストーリーというものはですね、一般的に「悪意」が動かしてることの方が多いのですよ。「善意」よりも。ところが、「名揚四海」は40話という長丁場にも関わらず、「悪意」をストーリーに持ち込まない。人が人を傷つけてしまったり、傷つけようとしたり、というエピソードはもちろんある。だけど、そこに到る理由や背景がちゃんと書き込まれているから悪意に見えない。むしろそうしたことをしてしまう人たちの哀しみや切なさが伝わる。うーん、すごい。この辺が大人の鑑賞に堪えるというか。もちろんラスト近くですべてが甘甘になるという、台湾ドラマの悪い癖がないわけではないんだけど。

たくさん出てくる登場人物の中で、私はやっぱり語り手の美麗が好き。元気で、わがままで、夢があって、いじっぱりで。あんまり魅力的なので、「何故、石頭(修杰楷)は彼女に振り向かないんだ!」と毎回、怒りながらドラマを見てた。ちなみに、美麗を演じているのは蔡監督の奥さんである于小惠(当時の芸名は虞小卉、ちなみに『ザ・ホスピタル』のプロデューサーをやっていた時の芸名は于小慧)。夫のドラマに出演する気などなかったのに、「出ないと離婚だ!」と蔡監督に脅され出演したとか。結果として、あんな素敵に描いてもらえるんだから、愛を感じるよなー。本当に、あのドラマの彼女はかわいかったもん。

それにしても、『流星花園』『戦神〜MARS〜』『ザ・ホスピタル』『ブラック&ホワイト』と、次々蔡監督の作品が放映されているのに、何故に『名揚四海』だけ放映されない? 長いから?? 暗いから!? でも、大人が見れる台湾ドラマ、もっと紹介されても良いと思う〜。無茶を承知で、日本語版放映希望だっ!

posted by 研究員A at 22:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする