2010年08月10日

台湾語・台湾華語の教材情報2 台湾語教材編

「台湾語・台湾華語の教材情報」シリーズ第2回。「きっかけ編」に続いて、本題の「台湾語教材編」です。「台湾語とは何か」というムズカシイ話はひとまず置いておいて、「台湾語」とタイトルについてる語学学習書で、研究員Aが店頭で見かけたものがレビューの対象。評価は個人的なものだし、リストにもれがあるかもしれないけれど、とりあえず現状の調査結果を発表。

1. 村上嘉英 『ニューエクスプレス 台湾語』 (白水社、2009年) 2,730円
【研究員Aの買いたい度 ★★★★★】
決定版。台湾語を学ぶならこれから買え、って本だと思う。構成は、NHKの外国語ラジオ講座そのもの。最初に発音の基礎を一通りやって、それからサンプルの会話(スキット)。その中で出てくる文法・用例などを学ぶという構成。CDもついてるし、本当にラジオ講座的使い方ができるんでは。個人的に買いたい度は満点。さすが世間の流行に関係なく、マニア言語の教材を長く出版し続けてきただけある「ニューエクスプレス」シリーズ!と頭が下がる水準のもの。この本も、1995年から体裁を変えるたびにバージョンアップしてきた成果がきちんといかされている。

2. 趙怡華 『はじめての台湾語 (アスカカルチャー)』 (明日香出版社、2003年) 2,415円
【研究員Aの買いたい度 ★】
Amazonでの評価は高いが、研究員A的には全然だめ。なぜなら、発音についての体系だった説明がまったくなし! しかも発音表記がカタカナのみで、声調記号がない!! これでどうやって発音しろと? CDついてるからそれで良いんだろうか?? 内容的には「会話」ではなく、「フレーズ」がずらり並ぶ形式。台湾語と北京語(台湾華語)が併記されているのは、少し参考になるかな…。

3. 趙怡華、陳豐惠、たかおかおり 『CD BOOK 絵でわかる台湾語会話 (アスカカルチャー)
(明日香出版社、2006年) 1,995円
【研究員Aの買いたい度 ★★】
上の2から下の5までは同じ著者の本。だから癖が似てるし、お互いを補うものとしても読める。この本は「2」の本より「短めで実用的なフレーズを集めた」と冒頭に書いてある。形式が独特で、ページの上部に重要表現(例えば、「給我○○」)が書いてあり、下に「○○」に当てはめられる言葉がずらり(例えば「一杯青草茶」とか)。あてはめて色々な表現が出来るというのは良いかも。また、左ページに台湾語、右ページに北京語(台湾華語)が対応する形で見られるので、二つを一度に学べる気分になるのは良い。発音はさすがにローマ字・ひらがな併記。ただ、イラスト・手書き風フォントなどがまったくもって好みでないのが個人的にはキツイ。

4. 趙怡華著、陳豐惠監修 『(まずはここから!)やさしい台湾語カタコト会話帳
(すばる舎、2008年) 1,365 円
【研究員Aの買いたい度 ★★★】
コンパクト。受験生の時に、このくらいのサイズの参考書で世界史の年号暗記したなあ、みたいなサイズ(分かります?)。これもフレーズがずらりだが、文字が大きかったり、色を使っていたりして、大変見やすい。コンパクトなこととあいまって、とってもとっつきやすい印象。台湾華語と台湾語が併記してあるのはこれも同じ。画期的なことに、見開き2ページですっごく簡単に声調の説明している。簡潔で見やすい図なので、コピーして机の前に貼りたい感じ。ただ、音声教材がついていない。別売りで『DVD版 やさしい台湾語 カタコト会話帳』が買えるけど、やっぱり耳で聞き流せるものの方が語学教材は良いよね…。

5. 趙怡華著、陳豐惠監修 『CD BOOK 台湾語会話フレーズブック
(明日香出版社、2010年) 3,045円
【研究員Aの買いたい度 ★★★★★】
以前twitterでつぶやいた時も反響の大きかったこの本。なんと「台湾語と台湾華語の2言語(約2900)を併記」! 発音の説明はやっぱり手薄だけど、これだけ文例があると、読んでるだけで勉強になる。だって「故人のご冥福をお祈りします」から「ジェリーの笑顔が大好きです」まで、それはもう、ありとあらゆるフレーズが載っているんだもの。読みながら、ちょっとクラクラしてくる。手元において、暇なときに拾い読みして、必要分だけ覚えるだけでも相当に勉強になるんじゃないかなー。台湾語でも、台湾華語でも。

6. 鄭正浩 『聴いて,話すための―台湾語基本単語2000』 (語研、1996年) 1,838円
【研究員Aの買いたい度 ★】
まさに単語集。たとえば「乗り物に乗る」というテーマだと、それに関する単語が左ページに20個くらいずらり。右ページにはその単語を使った練習問題が10問弱。非常に無味乾燥なので、どう使ったらよいのかしら、と本を読みながら首を傾げてしまう。CDが別売り(『CD版 台湾語基本単語2000』)っていうのもね、今時どうなのかしら…。

7. 樋口靖 『台湾語会話』 (第二版、東方書店、2000年) 2,310円
【研究員Aの買いたい度 ★★】
天下の東方書店が出しているだけあって(?)、決定版のプロ仕様。が、あまりに高度すぎて、初心者には手が出ない感じ。だって、たとえば「1」の本が発音に12ページ割いているところ、この本は28ページ!いや、「1」の本が手を抜いているわけではないんですよ。むしろ過不足なく丁寧に説明していると思うのですよ。それが、この本は小さい字でみっちり28ページ。微に入り細に入り説明してくれる。初心者的にはありがたいというより、ドン引き…。ちなみに、スキットも「1」が20だったのに対し、これは65! 上を目指す方はどうぞ。でも、CDが別売りで(『台湾語会話 CD 第二版』)、これがまた高いんだ…。

8. 近藤綾、温浩邦 『すぐ使える! トラベル台湾語超入門!』 (日中出版、2007年) 2,310円
【研究員Aの買いたい度 ★★★】
発音がかなり重視されていて、冒頭に丁寧な説明がある。本文でもローマ字式の発音表記に加えて、カナに独自の声調記号をつけた「近藤式矢印声調記号」をつけるというこだわりぶり! 内容もけっこう多彩で、実際の旅行にありそうな場面別会話が33(課によっては会話ではなくフレーズのこともあり)。個人的には「台湾語を使えるとこんないいことがある!」という4コマ漫画がいくつか載っているのが可笑しかった。屋台でおまけしてもらえたり、町で親切にしてもらえるなら、頑張って学んでみようかなという気にもなるじゃないですか。「トラベル」という名前がつくだけあって実際に旅行に行くという目的では、一番良い本な気がした。

以上、8冊。全体の傾向としては、やっぱり出版年の新しい方が、より分かりやすく、より工夫された教材になってる気がした。「台湾語」を学ぶ・教える、というノウハウもまだまだ発展途上なのかもしれない。

次回「台湾華語教材編」へと続く。
posted by 研究員A at 23:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月09日

台湾語・台湾華語の教材情報1 きっかけ編

以前、当研究所のtwitterで台湾語・台湾華語の教材情報をつぶやいたことがある。こんな感じ

この本、すごくない?ちょっと欲しいかも。→和田健一郎, 李慧君「中国語は台湾で学べ 台湾華語のススメ」を Amazon でチェック! http://amzn.to/8XhMME

こんなのもあった。「台湾で中国語」って流行りなのかもね。さもありなんだけど。→小道 迷子, 渡辺 豊沢 の「小道迷子の台湾ではじめよう、中国語」を Amazon でチェック! http://amzn.to/aU2Q2a

これは台湾語。「台湾語と台湾華語の2言語(約2900)を併記」ってすごくないか?→趙怡華「CD BOOK 台湾語会話フレーズブック」を Amazon でチェック! http://amzn.to/cN2Vs6

これが、予想外の反響があった。実は過去にかなり正統派の中国語教育を受けたことのある研究員A、これに深い衝撃を受ける。「正統派」中国語学習では、台湾華語はいつだって“傍流”の扱い。台湾語なんか、完全に「別言語」。それに、当時は芸能の中心が香港という時代。どうせ「別言語」を学ぶなら広東語という人が多かった。そんなわけで、台湾華語や台湾語に関心を持つのは一部のマニアだけという刷り込みが、いつの間にか自分の中でされていたらしい。でも、時代は変わっていた。

台湾ドラマ・アイドルに代表される華流ブーム、台湾茶の浸透ぶり、気軽な海外旅行先として台湾の人気が高いこと、などなどなど。台湾に興味を持つ人がどんどん増えている。そして、台湾を入り口にして中国語に興味を持つ人も増えている。自分が台湾にはまりながら、そういう社会の流れにまったく気付かずにいた。「研究員」としては、勘が悪いったらありゃしない。

それで思いたって、台湾語・台湾華語の教材情報って、今どのくらいあるんだろう?と調べてみる。すると、これがけっこうあるじゃないですか。再び「実は」なのだけど、中国語を学んでいた時期に、台湾語も一年ほど学んでいた研究員A。当時は市販の教材なんてほとんど見かけず、台湾人の先生が自作プリントを作って授業が進んでいた。それを思うと隔世の感。やっぱり時代は動いているんだなー。

せっかくだから、これを機会に台湾語・台湾華語の教材情報をまとめてみようと思う。基準は、中国語をがっちり4年、台湾語をのんびり1年学び、その後すべてを忘れた研究員Aが、今再び台湾語・台湾華語を学ぶとしたらどれを買うか?ということで。基本的に、取り上げる教材は、研究員Aがぐるぐる本屋を回った時に見かけたもの。入手はできるけど、店頭にはもう並んでないのかも、という本は省きます。(ただし重要そうなものは、例外としていくつか載せます)。

明日からいよいよ本題。とりあえずは、どどんと8冊、台湾語教材本をご紹介します!
posted by 研究員A at 22:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月21日

「台湾華語入門」(『中国語ジャーナル』2010年3月号)

もう既に次の次の号(5月号)も刊行されているので、今ごろ?という感じですが。

『中国語ジャーナル』という雑誌の2010年3月号(レイニー・ヤン(楊丞琳)が表紙の号)で、「台湾華語入門」という特集が載っていたので、興味深く読んだ(もう3週間ぐらい前だけど)。


中国語ジャーナル 2010年 03月号 [雑誌]

中国語ジャーナル 2010年 03月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: アルク
  • 発売日: 2010/02/09
  • メディア: 雑誌




そういう特集記事が載っているという情報をどこかで見聞きして以来、気にはなっていたのだけどなかなかタイミングが合わず、ようやく読んだのは発売後1ヶ月以上経過してから。

この「台湾華語入門」は、「1 台湾華語とは」「2 台湾華語と普通話のちがい」「3 旅行で使える台湾華語」という3つのパートで構成された約10ページの特集記事で、執筆は遠藤雅裕さんという中央大学の先生。この雑誌でコラムの連載もしている哈日杏子のイラストも、随所に載っている。

3つのパートといっても、大半を占めるのは「2 台湾華語と普通話のちがい」で、「文字のちがい」「字音」「語彙」「文法」「受け答えのことば」などなどについての、限られた紙面なのに配慮が行き届いた内容。例文も豊富で、ピンインや簡体字の表記・普通話での表現を比較できるように並べて掲載するなど、ありそうでなかった企画(私が知らないだけ?)。

まだまだ中国語初級レベルの自分には、あまり論評する資格はないのかもしれないけど、でもなかなかおもしろい。中国語の学習経験がないのに、いろいろあって台湾のドラマ・映画・音楽に関心をもつようになり、それを通じて耳学問(???)で台湾の「國語」に接していった自分の場合、注音は読めず簡体字には不慣れという妙な状態なのだけど、そんな素人でも、「普通話」と台湾の「國語」の違いを意識させられる機会は非常に多い。なので、中国語のレベルとは関係なく、へえ〜と思いながら興味深く読む。

特に、まだ指摘されることもある語彙の違いよりも、文法の違いの説明は要注目かも。日本で正統な(?)中国語教育をきっちり受けたことのある研究員Aにこの部分を読ませると、「こんなの試験で×にされちゃう」(!)というコメント。助動詞「有」や「會」の使い方もそうだけど、「状態補語の構造助詞「得」の省略」はインパクトがあるようだ(初級レベルの身には「なんだかすごそう」とまではわかるけど、体感的にはわからず)。あと若者にはやっている表現の「〜的説」についてもふれていました(これについては、YOKOさんのブログを参照)。

「どういたしまして」で「不會不會」と言うのは、3月の滞在時にも頻繁に耳にしたよなあ、と思ったり。ご関心のある方はぜひお読みください。

posted by 研究員B at 23:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月25日

オンラインの台湾華語辞典

 忙しかったり、seesaaが長時間のメンテナンスになったりで、久々のエントリ。でもやっぱり忙しいので、ちょっとだけ。
 つい今しがた、某ブログのコメント欄を通じて知ったサイト。教育部(日本でいうと文部科学省?)のサイトの中にある、オンラインの辞書。まだよくみてないけど、これってすごいのでは?

 重編國語辭典修訂本

 さらにすごいのは、他にもいろいろオンラインの辞書があるということ。下のリンクからアクセスできます。台湾語や客家語も、さらには原住民の言葉まで、(ベータ版みたいだけど)オンラインで辞書があるなんて!!! 衝撃。

 教育部電子辭典

 ぜひぜひ、中国語ができる人に、どのくらいのクオリティの辞書になっているのかを聞かせてほしいところ。

posted by 研究員B at 14:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする