2010年11月15日

MRT石牌駅の「漢番界碑」

いろいろあって、なぜかMRT石牌駅(の、駅前広場のような場所)に長くとどまることになった、9月の「出張」2日目。二度目の「金桔檸檬」を飲みつつ、広場にすわって周囲を見渡す。この石牌駅前の広場、結構広くて、ゆったりしたスペースです。検索したら、以前こんなこともやっていたらしい。そのくらい広いということが、わかっていただけるでしょうか?



さてこの石牌駅前の広場で、このときようやく存在に気づいたのが、大きな石碑。
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この石碑、1999年に移設されているみたいだけど、この説明だけでは今いちよくわからず、うーんとなるものの、ふとみるとさらにもう一つ看板を発見。
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要するに、「18世紀のある時期(当時台湾はまだ清の支配下)、漢民族と先住民族の間の対立が先鋭化してきた」 → 「漢民族の集落と、先住民族の集落の境界になるものとして、石碑が建てられた」、とのこと。それがこの石碑=「漢番界碑」らしい。ただ、この石牌駅の場所にもともとあった石碑というわけではなく、1935年にここにあった派出所で保管されるようになったものが、1999年にこうして改めて石碑として建てられたという経緯だとか。

若林正丈『台湾』(ちくま新書、2001年:amazon)には、次のような記述があります。

17世紀末、台湾を版図に入れた清朝は、対岸から台湾への移住制限策をとったが、台湾内に入ってしまった漢族については、先住民族地域の立ち入りを制限する政策をとった。いわゆる「画界封山」(先住民族地域との境界を画して漢族の先住民族の地域への入山を禁止する)政策である。これは、台湾移住制限策と同様実効は少なく、……清朝は漢族開拓領域の拡大の後を追いかけるようにして行政範囲を拡大していき、……最終的には山地の先住民族をも次第に統治の対象としようとするに至ったのである。(pp.31-32)

つまり、漢族と先住民族の集落を境界線で区切るという発想自体が、漢族の社会的な優位性が確立されていく中で、次第に曖昧になっていったということのようです。このあたり、周婉窈『図説 台湾の歴史』(平凡社、2007年:amazon)の第6章でより詳しく書いてあります。

石牌駅に立つ石碑も、「境界」という形で漢民族と先住民族の平和共存を意味するというよりも、むしろ過渡期的な状態の痕跡であって、間もなく漢民族の拡大に至ることを予兆として示していたものだといえそうです。『図説 台湾の歴史』でも、「少し経つとこれらの境界線は消えてしまい、清朝政府は幾度となく新しく境界線を修正することになる」(p.81)と述べて、短期間のうちに先住民族が土地を失い漢民族の手に落ちていった過程が描かれています。だからこそ、この石碑も早々に出番を失って、ただ保管されるだけの長い期間を経て、ようやくこうして建てられるようになったということなのかも。

石碑の土台部分に「促進族群和平」という言葉がみられるけど、形式的なお題目ではなく、その背後にはいろいろ歴史的な経緯や背景があるようです。もっとも、当日現場では、ここまで考えることなどできず、予定外に長くなった石牌滞在を終えて、次にどこに行こうかを考えることで頭は一杯だったけど。

タグ:石牌 台湾 台北
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2010年10月02日

台北の自転車乗り

自転車が好きだ好きだと言い続けてきた研究員A。過去にも「台北でレンタサイクル」シリーズ(12)やジャイアントストア二子玉川訪問記などのエントリを書いてきたが、やはり今回の出張でも自転車に目が行った。せっかくだから、研究員Aが目にした台北のチャリライダーを列記してみる。以下、実際に目にした人々ばかりです。

1. 上から下までばっちりウェアで固めたサイクリスト。単身だったり、2人連れだったりする。基本的に、スクーターに混じって車道をロードバイクでかっとばしているのだが(!?)、臨機応変に歩道も利用。あの津波のようなスクーターや乱暴な運転をする車に囲まれながらも、それをすいすい交わして走る技術はすごいなあ、と感嘆。でも見てるとはらはらする。

2. カジュアルだけどおしゃれなお姉さん。走りよりもデザイン性に力点を置いた街乗り自転車で、歩道をすいーっと走っていくのとすれ違った。これからお仕事に行きます、という感じ。

3. 短パン・肌着Tシャツのいかにも台客風のおっちゃんが、かっこいーマウンテンバイクで歩道をぷらーっと走っていた。ちょっと朝食を買いに、という感じ。

4. 今回泊まったホテルは、下層階が一般住居になっている造り。一度、自転車ごとエレベーターに乗り込んでこようとする住民と鉢合わせした。30代くらいのお兄さん。緩めのサイクリストウェアで、ロードバイクと一緒。平日朝だったので、これから仕事に行くのかしら。しかし、マイバイクは4階までエレベーターで運んで自宅に入れておくのね…。狭いだろうに、大変だ。

5. 津波のようなバイクの中を、ゆったーり走るママチャリ?自転車。そして、その自転車の後ろにくっついているのは……屋台!自転車ブームとは無縁に、こういう自転車の利用法は以前からあったなあ、と思い返す。しかしこれもまた、危なくないのか、と見ていてはらはら。

こんな感じで、本当に色んな種類の人が色んなスタイルで自転車に乗っているのに出くわした。やっぱり自転車ブームなのかなあ。もしかしたら、台北から段差が消えた(詳しくはこちらを参照)ことも、大きいのかもしれない。以前のような段差地獄では、歩道を自転車で走るとか到底無理だったもの。

他にも歩道にとめてある山のようなスクーターの間にちょこんと自転車が泊まっていたり、わりに本格的な自転車を扱うショップが街中にできていたり、というのを目撃した。「ブーム」を超えて、じわじわ台北の生活の中に、自転車は浸透しつつあるのかもしれない。
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2010年09月29日

台北:進む花博の準備

2010年11月6日から始まる2010台北国際花博覧会。山手線で広告見かけるくらいだからでかいイベントなんだろうなー、と思いつつ、今一つどんなイベントなのかぴんとこない研究員A。でも、今回泊まったホテルがMRT圓山駅の近く。これって、まさに花博会場のそば。おかげで、花博が相当な規模のイベントで、台湾が(台北が?)本気でこれを成功させようとしているのがよーく分かった。以下、そのレポ。

まずは圓山駅。

圓山駅.jpg

駅前がきれいになった。けれども、写真左手を見ればわかるように、一部まだ工事中。それはもう、激しくガリガリ工事中。ベビーカーの行く手を阻むので、我々としては大変うっとおしい。

駅前にはきれいなバス停が出現。大変立派だが、今のところ閑散としてるのでなんだか不思議な空間。

圓山駅ロータリー.jpg

圓山駅横にある中山サッカー場も、きれいにお化粧。

中山足球場.jpg

近づいてみると、しっかり書いてある。

中山足球場2.jpg

チケット売り場も近いらしい。

チケット売り場.jpg

日本語表記があるのは、嬉しいかも。

そして、会場周辺の市街地はガリガリ緑化が進められとります。たとえば、中山サッカー場に面している大同大学の壁。

大同大学壁.jpg

一面!緑。けっこうな面積ですよ?暑い台北、おじさんがせっせと水やりをし、その横では新たな緑化が進められ…。ご、御苦労様です。

他にも花博会場周辺では、花の苗を持って作業をするおじさんをちらちら見た。えぇえ〜、その数の苗、植えますか!?という量を、おっちゃんがほいほい運んでいる。花博だから緑化。それはもう激しく緑化。という勢い。この辺の徹底ぶりはなんとなく台湾ぽいなー、と思うのは、私だけだろうか。

台湾が、そして台北が、このイベントに本気であることは分かった。しかし、いまだなお研究員の中に残る疑問。…このイベントって面白いのかな?行って楽しいのかな?

開催後、行かれた方はぜひレポしてくださ〜い。
タグ:台湾 台北 花博
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2010年08月18日

台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その2

先週土曜日に、「東京プライドパレード」が開催され、当研究所も一同で沿道に見に行きました。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などの性的マイノリティとその支援者によるパレード、所長(3歳)も目を丸くしつつも楽しんでいたようで何より。しかし、いくら検索しても、日本のマスメディアでこのパレードが報道された例が見つからない。なぜ? 実は、東京発の外国語のメディアではいくつか報道されている。英語だと、これとかこれとかこれとか。フランス語イタリア語ベトナム語の報道だってあるのに、なぜ日本語の既存メディアでは一切報道されていないんだろう? 私が気付いていないだけ? うーん。

で、本題。3週間ほど前に、「台灣同志遊行(台湾プライドパレード)」というエントリを載せたのですが、この「台灣同志遊行」の続報はないかと思って、オフィシャルサイトをみると、パレードの主なルートと、今年のテーマが発表されていました。

遊行路線計劃從凱達格蘭大道出發,沿公園路、襄陽路、衡陽路行進,並轉入人潮眾多的西門町徒步區(漢中街)、台北車站前忠孝東路與同志支持者互動,最後在總統府前凱達格蘭大道聚集,向政府與社會大眾大聲喊出今年遊行口號──「投同志政策一票」。

遊行聯盟表示,今年主題定為「投同志政策一票」(英文為Out & Vote),是為展現台灣LGBT族群的政治實力,彰顯LGBT族群公共議題的重要性與迫切性,也是一次喚醒和凝聚LGBT社群內部政治及公民意識的重要契機。同時,同志遊行也將與邊緣弱勢族群結盟發聲,展現LGBT族群的多元、包容性。

wikipediaの記述と比較すると、おおむねパレードのルートは昨年と同じでしょうか。それにしても、最終地点が総統府前というのはすごいかも(日本で言うなら、プライドパレードが終着点を国会議事堂とか総理官邸にする、ってことになる?!)。

そして今年のテーマは、「投同志政策一票」(Out & Vote)。LGBTをめぐる問題が、重要な公共的イシューであることを示し、台湾のLGBTが有する政治的影響力を発揮しよう、という感じ? 今年はちょうど11月に5大都市の首長選挙があるのでそのせいもあると思いますが、ダイレクトに「投票」に結びつけるアピールというのは迫力があります。プライドパレードは、シンプルに盛り上がりやにぎやかさを楽しむという面も非常に重要で大きな意味があると思うけど、同時にここまで明確な政治的・社会的アピールを伴っているというのは、そもそもそうしたスタイルが実現できていること自体、日本と比べてすごいことかも、とついつい考えてしまいます。

昨年の参加者数2万5000人はアジアで最高の数字だったけど、今回はそれを上回る3万人をめざす、とのこと。これもやっぱりすごい。

というわけで、10月30日午後開催。お時間がある方は(?)ぜひどうぞ。ご参考までに、昨年の様子の動画を。画面に字幕が出ないけど、Youtubeのページからみれば、動画の下の欄に、字幕に相当する記述が確認できます。それにしても、2万5000人はやはり相当な人数ですね。



あと、ついでにいろいろ検索したら、台湾のLGBTがらみで、いくつか興味深い取り組みが見つかったので、参考までにリンクをはりつけておきます。

RTI「同性愛を2011年には小中学の教育要綱に」(2010/3/7) これ、結構すごいことでは?!

「2010台北好同志 新公民運動」 いろんな活動やってますね。

「2005 認識同志手冊」 教員向けに「啓蒙」をはかる冊子。冒頭に馬英九の挨拶文あり。

台灣同志諮捐熱線 ここも多様な活動が活発に行われている様子。

「台灣同志遊行」、また動きがあったらお知らせします。

★関連エントリ → 「台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その1」

posted by 研究員B at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行・観 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月26日

台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その1

来月(8月14日)に開催される予定の「東京プライドパレード」。性的マイノリティの人たちによるパレード、東京での開催は久々で楽しみなのだけど、こういうパレードは世界各地で行われていています。で、台湾でも開催されています。それがこの「台灣同志遊行」(台湾プライドパレード)。

台灣同志遊行:Taiwan LGBT Pride オフィシャルサイトwikipedia

今年(第8回)は10月30日に開催される予定みたいです。まだ先のせいか、サイトにも新しい情報はほとんどない状態。

個人的には、2007年のこの「台灣同志遊行」に、馬英九がやってきて話をしていたことが印象に残っています。選挙という背景もあったとは思うけど、そのくらいの大物の政治家がやってくるぐらいに、この企画が重要なイベントとして認知されているのだなあと素朴に感心しました。もちろん、だからといって台湾社会における性的マイノリティが、全般によい環境にいるとまで簡単に結論づけるつもりはありませんが。

馬英九に限らず、メジャーな人たちがこの企画に積極的に関与しているというのが印象的で、特に「彩虹大使」(レインボー大使、と訳せばよいのか)という、この企画の宣伝・支援をする代表的な役目を、結構な大物の芸能人が担当していることに、やはり感心したことがあります。この「彩虹大使」、毎年定められているのかどうかわからないけど、2007年のときはアーメイ(張惠妹)、昨年の2009年はフィッシュ・リョン(梁靜茹)でした。本当に疑う余地のないトップ歌手がこの「彩虹大使」を引き受けているのは、日本の状況と比較するとやっぱりすごいと思う。

フィッシュ・リョンが「彩虹大使」について語っています。なんだかんだ言って、このレベルのメジャー度の人が、この内容をさらりと語れるのは、やはりかっこいいです。同志的愛,無所不在!


「台灣同志遊行」(台湾プライドパレード)については、オフィシャルサイトから過去のマスコミ報道記事へのリンクがいろいろ載っていて、それを読んでも雰囲気はわかりそうだけど、幸いなことに日本語で非常に丁寧にまとめたブログがあります。バックラッシュ勢力の存在や、馬英九の評価なども含め、大変勉強になります。

中国女性・ジェンダーニュース+「台湾プライドパレード2009に2万5千人」

時期が近付けば、徐々に今年の動向についても情報が入り始めると思うので、注目したいと思います。

★関連エントリ → 「台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その2」

posted by 研究員B at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 旅行・観 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする