2012年02月07日

石田ゆうすけ『台湾自転車気儘旅』

石田ゆうすけ『台湾自転車気儘旅 世界一屋台メシのうまい国へ』(メディアファクトリー、2010年)

今さらながら、石田ゆうすけ『台湾自転車気儘旅 世界一屋台メシのうまい国へ』(メディアファクトリー、2010年)を読んだのでレビュー。自転車・屋台メシと、研究員Aの大好きランクの上位を占める二つがタイトルに出てるのに、何だか今まで読みはぐっていた。今回やっと手元にやってきて読んだら、期待を裏切らない内容でとっても満足。今回は力を込めて紹介したい。

この本、ジャンルとしては旅行記に入ると思う。著者が台湾を自転車で一周した記録。と書くと、映画『練習曲』を思い出す人も多いだろう。聴覚障害を抱えた青年が自転車で台湾を一周する姿を描いたこの映画は、2007年、台湾で興行収入一位になった(シネマート六本木の映画紹介ページ映画の公式ブログ)。



その後、台湾ではサイクリングがブームになって、台湾一周(環島)をする人が増えたはず。だから、著者の行動もそんなに突飛なものではない。実際、道中いろいろと事件はあるものの、旅の空気はのんびり、ゆったり。著者を見守る台湾の人達も、のんびり、ゆったり。

そしてこの、のんびり、ゆったりしたペースでゆっくり台湾を移動していく感じを味わえるのが、自転車が好きな者にとっては、台湾が好きな者にとっては、とっても心地良いところ。そう、これは「旅行記」であって「ガイドブック」ではない。素敵スポットをたくさん紹介してくれるガイドブック的台湾本は数多あるけど、ここまで旅する人の心持ちに寄り添った台湾本って、そう言えばあんまりなかった。

だから、「屋台メシ」がタイトルに掲げられていても、有名店がばんばん紹介されているわけではない。旅する途中で著者がふらっと入ったところ、なんとなく気になったところ、行ってみたところ、などなど。当りもあれば、外れもあって、ガイドブックとしては使えない。でも、その時々に置かれた状況の中でめぐりあった味が、どうしようもなく感動的だったり、腹立たしかったり。ご飯を食べることを介してつながった人達に癒されたり、落ち込んだり。そんな気持ちの振れ幅がとてもリアルに描かれているのは、逆にすごく魅力的。そう、美味しいものなんて、スタンプを押したようにそこにいつでも同じようにあるわけではない。旅をする自分の中で感じたもの。それで、すべては変わるのだ。

多分、この本は「旅する自分が感じたもの」にとても正直に書かれている。「感じたもの」の多くはもちろん食べ物なのだけれど、私がそれ以上に印象的だったのは人にまつわるエピソード。旅の途中、繰り返し、繰り返し、不意打ちのように現れる見知らぬ人からの善意。それは、中盤に起こる大事件のエピソードにつながるのだけど、一方でこれは「日本統治期」と著者が対峙した時の思いとも呼応している。本の中でばらばらに起こるエピソードは、私自身の知識や思いともつながって、「台湾」といわれるものの形をぼんやりと浮かび上がらせる。意識した構成ではないと思うのだけど、私はそれにとても深く動かされた。

読み終わると、しみじみ、ああ私もゆっくり台湾を旅したいなあと思った。色々情報集めて、イケてるスポットを回って、という旅ではなく、ゆっくりと台湾そのものを呼吸するような旅。本当は自転車が良いけど、虚弱児の研究員Aはすぐに挫折しそうだから、路線バスでのんびり一周とか。そんな風に思いを募らせる力を持ってるって、それだけですごいんじゃないだろうか。

ちなみにこの本、写真もなかなかきれい。所長(4歳)がとても気に入ったらしく、ページをめくっては「石田さんの自転車、ここにもあるよ〜」と自転車探しをしている。スイーツ系の写真を食い入るように眺めては、「これ食べちゃお」と食べ真似している(笑)。本当は図書館から借りて読んだのだけど、結局、購入することに決定。最近、こういう本は少なかったので、そういう意味でもお勧めの一冊です。



posted by 研究員A at 11:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月30日

今更ながら『Hanako』2012年1/12号の台湾特集を買ってみた

すっごい今更ながらのネタなのだけど、やっと昨晩ぐらいにゆっくり雑誌でも見るかという気分になったので『Hanako』2012年1月15日号の台湾特集を買ってきた。やー、もう本当に今更ながらなんだけど。でも仕事以外の雑誌とか買って読む気にならない、というか、そんなことも思いつかない恐ろしい状況だったもので。

でまあ、ぱらぱら見ての感想。

かなり素敵な仕上がり。なんというか、うっとり。でもすっきり。何だろう、このセンスの良さ。気になって『FRaU』2011年8月号の台湾特集号を引っ張り出して比べてみる。

『FRaU』の台湾特集って、こんな表紙のやつ↓



並べてみるとすごく良く分かるのだが、『Hanako』の方がレイアウトがすっきりしている。ものすごく余白を贅沢にとっていて、「白」が生えるページ構成。だから見やすいし、余白部分に余韻と広がりを感じられる。

逆に『FRaU』はごちゃごちゃ、こてこて。並べて読むと、明らかに情報が拾いにくい。ただ、このごちゃごちゃ、ぎゅうぎゅうの方が台湾ぽいと言えば台湾ぽいわけで。余白を贅沢に使ったおしゃれ台湾は見ていて気分が良いが、ちょっとバーチャル感漂う気がしないでもない。

ただ、『Hanako』は情報誌としては画期的に美しいと思える写真が時々混じりこんでいたりして、見ていて癒される。ぎゅうぎゅうに詰め込まれていない情報は、逆に一つ一つ愛情をこめた説明が加えられている気がして、心動かされる。全体に「物語」を感じさせる構成は、情報誌としては画期的だなとちょっと感心した。

まあ、紹介されているところは「またここか…」という感じがあったりもするんだけどね。そろそろ、別方向からの情報も欲しいなとないものねだりで思ったりもするんだけどね。

でもまあ、年末に素敵なグラビア眺めてうっとり台湾に思いを馳せられるのだから、良しとする! ずっと激忙しくてまったく休めなかった私に癒しを与えてくれるのだから、評価する!

ほかにも「癒しの台湾」を求めている方、まだ店頭に並んでいるうちにぜひ入手を。こんな表紙の号です↓。



あ、あとですね、『madame FIGARO japon』2012年2月号にもとじ込み付録で台湾についての小特集あり。コンパクトながらおなじみのあれこれ+それなりにオリジナルなとこも紹介されてて、けっこう充実。取り外して持ち歩きできるサイズなので、近々現地に行かれる方はチェックしてみたら良いかもしれませぬ。台湾とはおよそ関係ないこんな表紙です↓。





posted by 研究員A at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月14日

2011年9月にツイートした新刊情報 雑誌編

前回に引き続き、twitterで毎週土曜につぶやいている台湾関係新刊書案内まとめ。2011年9月分です。今日は雑誌編。

1. 『弾丸トラベル★パーフェクトガイド』
「短期間だけど充実したプランがぎっしり詰まった旅にお勧めな34コースを徹底的に紹介」だそうです。台湾もあるので大変気になるが、他の号が出てる気配なし。雑誌扱いなんだけどな。


2. 『CREA』10月号
「ソウルvs.台北 口コミ美容対決!」という記事あり。立ち読みたかったが、見逃した。どこが取り上げられたんだろう?


3. 『中国語ジャーナル』10月号
ジェイ・チョウの日本でのファンイベント、『結婚て幸せですか』についてのレポなど。表紙のおっさん、誰じゃ? と思ったらジェイかい! これっておしゃれなの? 個人的には微妙なんだけど。


4. 『週刊 一度は行きたい世界の博物館4 台北国立故宮博物院』
この表紙を見ただけで、何か笑えるのは私だけ?


5. 『墨』10月号
巻頭グラビアが「これは見逃せない!! 台北故宮博物院「精彩100国宝総動員」展」。


6. 『自動車工学』9月号
「海外取材――台湾国際自動車部品・アクセサリー見本市・後編」という記事あり。


なんか今月はびっくりするほど少なかったなー。夏休みが終わり、旅行シーズンが過ぎたから? ちょっと悲しい。10月はもっとあると良いなあ。

タグ:新刊 雑誌 台湾
posted by 研究員A at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月13日

2011年9月にツイートした新刊情報 書籍編

twitterで毎週末つぶやいている新刊情報。ちょっと遅くなりましたが、9月分をまとめました。今日は書籍編です。

1. 『aruco 台北』
「旅好き女子のためのプチぼうけん応援ガイド」の第二版出ました。データは2011年5月のもの。


2. 『台湾の歩き方 2012-13』
『地球の歩き方』のムック版。「パワスポ台湾で弾丸チャージ」とか表紙にでかでかと書いてあると、やっぱり気になりますな。


3. 西澤泰彦『植民地建築紀行――満洲・朝鮮・台湾を歩く』
歴史だけでなく、建築様式と建築技術の解説もありとのこと。これは、欲し〜い!


4. 日台関係研究会編『辛亥革命100年と日本』
楊合義「台湾時代の中華民国」、渡辺耕治「戦後台湾国際関係史」、浅野和生「辛亥革命百年の台湾と日本」掲載。


5. 山路勝彦編著『日本の人類学――植民地主義、異文化研究、学術調査の歴史』
宮岡真央子「台湾原住民族研究の継承と展開」掲載。


6. 洪紹洋『台湾造船公司の研究――植民地工業化と技術移転(1919-1977)』
うおぉ。なんというか、すごい!


7. 簡月真『台湾に渡った日本語の現在――リンガフランカとしての姿』
「旧統治領で習得された日本語がどう変化したか。台湾で共通語(リンガフランカ)として使われる日本語の言語的特徴、変容プロセスを究明」だって。面白そう!


8. 池田雅之・大場静枝編著『国際化の中のことばと文化』
滝澤雅彦 「麗しの島、台湾の3年間」掲載。


9. 酒井亨『台湾人には、ご用心!――愛しているから全部、書く』
帯に「世界一日本びいきな人達の素顔に迫る」とあり。でもってこの表紙。何というか、戦略上手だよねー。


10. 黄文雄『トンデモ大国・中国を知らねば日本の復興はない』
「中国と台湾の違いを通してみる日本再興へのシナリオ。巻末に「台湾をまるごと知る一章」収録」だそうです。うむむ。


11. 税理士法人トーマツ編『アジア諸国の税法』
第7版。「アジア主要11ヵ国・地域の租税制度を現地駐在の経験者が詳細に解説」だそうで、台湾ものってます。原則として2011年3月末(韓国のみ2010年10月末)時点の各国の法令に基づいて解説だって。必要な人には役に立ちそうですな。


12. 朝元照雄『台湾の経済発展――キャッチアップ型ハイテク産業の形成過程』
「なぜ台湾は中所得国の罠や産業の空洞化に陥らないで産業の高度化を推進できたか」を解明する本だそうです。


13. 清水教惠・朴光駿編著 『よくわかる社会福祉の歴史』
台湾の社会福祉についても紹介しているそうです。


雑誌はまた次回やります。

posted by 研究員A at 00:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月21日

『大誌雜誌 THE BIG ISSUE TAIWAN』を買った

さて、引き続き台北滞在中の当研究所一同(+α)。今回もまた小ネタを。

雑誌ビッグイシューといえば、ホームレスなどの状況にある販売者の人が、ストリートで販売する雑誌。日本の場合、売り上げの約半分が販売者の収入になり、それが自分の住まいを持たない人々を支援することにつながる、というわけです。

その台湾版、『大誌雜誌 THE BIG ISSUE TAIWAN』(台湾版ビッグイシュー)については、以前詳細なエントリを書いたけど、そのときに書いたとおり、以前台湾でこれを買ったのは、光點台北のそばの、たまたま入ったある店で見かけたから。つまり、ストリートで売られているのを直接買ったわけではありませんでした。

ところが今回、そのときと近い場所ですが、台北MRT中山駅の出口付近を歩いていて、「台北牛乳大王」に(今回もまた)入ろうとしていたとき。ちょうど交差点のところに、「THE BIG ISSUE」と書かれたウェアを着た販売者の人を発見!

この販売者の方、ちょうど昼時だったせいもあってか、思いっきり弁当をかきこんで食べているところでした。ぱっと見たところ、手元に雑誌もなし。でも研究員Aに急遽「一冊買いたいんですけど」的な中国語の緊急指導を受け、いざその販売者の人のもとへ。

「こんにちは、一冊ほしいんですが」(大意)と声をかけると、販売者のおじさん、慌てて弁当を食べるのを中断。「いいよいいよ、あっちにあるんだ」と言って、少し離れた場所に置いてあった荷物のもとへ。かばんを開けて最新号(2011年9月号:表紙はたかぎなおこ)を出してくれ、100元札と交換。でもそれと同時に、ビッグイシューについて書かれたチラシも1枚渡され、そこに載っている前号の表紙の彭于晏(エディ・ポン)を指さし、勢いよく「この帥哥の号もどうだ?」(大意・予想)と売り込まれる(笑)。「え、あるの?」と返すと「あるある」とかばんをさらに開けて出してくる。で、結局その号も買ってしまった(笑)。

かくして、1年前にはじめて買った時以来の、台湾版ビッグイシューをストリートで販売者の人から直接買う、という野望(?)はめでたく実現できました。めったに買えない雑誌なので、こういう機会にバックナンバーも買うこと自体は別に不満も後悔もないのですが、しかしもう一冊を売り込まれることになるとは予想外でした(!)。日本でもビッグイシューを買うことはときどきあるし、その時に「古い号ってありますか?」とたずねて、手持ちのバックナンバーを見せてもらうということは何度もやっています。でも、販売者の人から「もう一冊どう?」と積極的に売り込まれたことは、日本ではこれまで一度もありませんでした!

というわけで、ビッグイシューの販売みたいなことでも、台湾と日本の違いがにじんでいて、興味深かったというお話でした。まあ、これに限らず、台湾のストリートでやっている商売は、大半が基本的に自ら売り込んでいくものですが…。

posted by 研究員B at 02:33 | Comment(2) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする