2014年11月23日

2014金馬獎・結果

本日(昨日)、第51屆金馬獎の授賞式が行われ、各賞が発表されました。以下、受賞者・受賞作品をご紹介。ノミネートリストは昨日のエントリをご参照ください。


●最佳劇情片(最優秀作品賞)
推拿(『ブラインド・マッサージ』:2014アジアフォーカス・福岡国際映画祭)

●最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー賞)
棉花

●最佳創作短片(最優秀短編映画)
錘子鐮刀都休息(耿軍)

●最佳導演(最優秀監督賞)
許鞍華(黃金時代 『黄金時代』:2014TIFF)

●最佳男主角(最優秀主演男優賞)
陳建斌(一個勺子)

●最佳女主角(最優秀主演女優賞)
陳湘h(迴光奏鳴曲:Facebook

●最佳男配角(最優秀助演男優賞)
陳建斌(軍中樂園:Facebook

●最佳女配角(最優秀助演女優賞)
萬茜(軍中樂園:Facebook

●最佳新導演(最優秀新人監督賞)
陳建斌(一個勺子)

●最佳新演員(最優秀新人賞)
張磊(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
易智言(行動代號:孫中山:Facebook

●最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
馬英力(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳攝影(最優秀撮影賞)
曾劍(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳視覺效果(最優秀視覚効果賞)
唐家偉, 羅偉豪, 梁展鋒(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)

●最佳美術設計(最優秀美術賞)
劉強(白日焰火 『薄氷の殺人』)

●最佳造型設計(最優秀衣装デザイン賞)
梁婷婷(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』:2014東京・中国映画週間)

●最佳動作設計(最優秀アクション監督賞)
黃偉亮(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』)

●最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)
陳其鋼(歸來)

●最佳原創電影歌曲(最優秀映画主題歌賞)
平凡之路(詞:朴樹, 韓寒 曲:朴樹 唱:朴樹 後會無期)

●最佳剪輯(最優秀編集賞)
孔勁蕾, 朱琳(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳音效(最優秀音響効果賞)
富康(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●年度台灣傑出電影工作者(最優秀台湾映画人賞)
黃志明

●終身成就獎(生涯活躍賞)
田豐



台湾関係は、多数ノミネートされた『KANO』からは受賞がなかったこともあり、数としては少なくなりましたが、陳湘hが《迴光奏鳴曲》で最佳女主角に易智言《行動代號:孫中山》で最佳原著劇本に選ばれています。また《軍中樂園》からは、最佳男配角・最佳女配角の両方が選ばれています(台湾人キャストじゃないけど)。

以下、受賞を記念して、動画を二つほど載せておきます。

一つ目は、《迴光奏鳴曲》の予告編。《迴光奏鳴曲》は、今年の台北電影節で最優秀長編劇映画賞を受賞した作品。『藍色夏恋』などベテランのカメラマン・錢翔が監督として撮影した作品。最近では『郊遊』や『失魂』に出演していた陳湘h、今回最佳女主角を受賞しましたが、今年の台北電影節ではこの作品で主演女優賞に選ばれてもいました。共演は東明相(『練習曲』)、音楽は雷光夏(『台北カフェ・ストーリー(第36個故事)』のテーマソングで、2010年の金馬獎で最佳原創電影歌曲を受賞)。作品の舞台は高雄とのこと。



もう一つの動画は、《行動代號:孫中山》の予告編。『藍色夏恋』の易智言監督の新作。アジアンパラダイスの記事の説明を引用すれば、「貧しい高校生が体育館の倉庫でほこりを被っている孫文の銅像に目を付け、仲間を集めてこれを売って滞納している学校の費用にしようと企みますが、同じような計画を立てているもう一組の高校生グループとの銅像争奪戦を通して、貧困や社会のゆがみをユーモアを交えて描いています」とのこと。

予告編を観ると、うわこれやっぱり観たい!という気持ちになります。ぜひ日本で上映を!




以上、ひとまず速報でした。

posted by 研究員B at 01:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月21日

2014金馬獎・ノミネートリストの再チェック

11/22(土)、第51屆金馬獎が発表されます。今年は台北・國父紀念館での開催。頒獎典禮(授賞式)の主持人は陳嘉樺(Ella)と黃子佼、星光大道(レッドカーペット)の主持人は楊千霈と楊達敬です。

いよいよ授賞式が迫ってきたので、今年も発表直前の復習ということで、ノミネートリストを再チェック。相変わらずほぼリストのみの内容で、とっても長〜いエントリですが、ご容赦を。


●最佳劇情片(最優秀作品賞)
一個勺子
白日焰火(『薄氷の殺人』:2015.1公開)
黃金時代(『黄金時代』:2014TIFF)
推拿(『ブラインド・マッサージ』:2014アジアフォーカス)
KANO(『KANO 1931海の向こうの甲子園』:2015.1公開)

●最佳動畫長片
ノミネート作品なし

●最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー賞)
棉花
行者
犴達罕

このうち《行者》(The Walkers)は、『神も人も犬も』(2007)の監督である、台湾の陳芯宜の作品。舞踏家・林麗珍の姿を描くドキュメンタリー。

●最佳創作短片(最優秀短編映画)
四十三階(吳中天)
自由人(柯汶利)(Facebook
錘子鐮刀都休息(耿軍)
大佛(黃信堯)(Facebook
K屁股(張毅)

台湾作品は、《四十三階》、《自由人》、《大佛》の3つ。

●最佳導演(最優秀監督賞)
趙コ胤(冰毒 『アイス』:2014大阪アジアン映画祭)
刁亦男(白日焰火 『薄氷の殺人』)
許鞍華(黃金時代 『黄金時代』)
王小帥(闖入者)
婁Y(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

『アイス(冰毒)』は、台湾からのアカデミー賞外国語映画賞部門出品映画に選ばれています(フォーカス台湾)。

●最佳男主角(最優秀主演男優賞)
陳建斌(一個勺子)
劉青雲(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』:2014.10公開)
廖凡(白日焰火 『薄氷の殺人』)
永P正敏(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
張震(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』:2014東京・中国映画週間)

●最佳女主角(最優秀主演女優賞)
陳湘h(迴光奏鳴曲)
桂綸鎂(白日焰火 『薄氷の殺人』)
鞏俐(歸來)
湯唯(黃金時代 『黄金時代』)
趙薇(親愛的)

●最佳男配角(最優秀助演男優賞)
王學兵(一個勺子)
吳孟達(香港仔)
陳建斌(軍中樂園)
戴立忍(寒蟬效應)
金士傑(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

《寒蟬效應》から戴立忍がノミネート。同作については、アジアンパラダイスフォーカス台湾の記事を参照。

●最佳女配角(最優秀助演女優賞)
郝蕾(黃金時代 『黄金時代』:2014TIFF)
鮑起靜(暴瘋語)
郎祖筠(甜蜜殺機 『甘い殺意』:2014大阪アジアン映画祭)
陳意涵(軍中樂園)
萬茜(軍中樂園)

『甘い殺意(甜蜜殺機)』は、『運命の死化粧師』の連奕g監督の2作目。同作については、アジアンパラダイスの記事を参照。

●最佳新導演(最優秀新人監督賞)
陳建斌(一個勺子)
錢翔(迴光奏鳴曲)
忻ト坤(殯棺)
馬志翔(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
李霄峰(少女哪吒)

《迴光奏鳴曲》は、今年の台北電影節で最優秀長編劇映画賞を受賞した作品。『藍色夏恋』などベテランのカメラマン・錢翔の監督作品。

●最佳新演員(最優秀新人賞)
許瑋ィ(相愛的七種設計)
張慧雯(歸來)
張磊(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
曹佑寧(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
魏漢鼎(行動代號:孫中山)

魏漢鼎と曹佑寧が注目ですが、ドラマでおなじみの許瑋ィ(ティファニー・シュー)も映画では新人。《相愛的七種設計》は、多くのMVの監督でもある陳宏一の、『キャンディレイン(花吃了那女孩)』・《消失打看》に続く長編3作目。

●最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
忻ト坤, 馮元良(殯棺)
刁亦男(白日焰火 『薄氷の殺人』)
李檣(黃金時代 『黄金時代』)
王小帥, 方鐳, 李非(闖入者)
易智言(行動代號:孫中山)

●最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
陳建斌(一個勺子)
陳輝虹, 江皓マ, 陳果(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)
鄒靜之(歸來)
馬英力(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
李霄峰, 王沐, 潘ケ(少女哪吒)

●最佳攝影(最優秀撮影賞)
董勁松(白日焰火 『薄氷の殺人』)
杜杰(無人區 『無人区』:2014東京・中国映画週間)
曾劍(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
李屏賓(寒蟬效應)
張驥(東北偏北 『北北東』:2014TIFF)

●最佳視覺效果(最優秀視覚効果賞)
有機像素有限公司(相愛的七種設計)
吳R輝, 鄒志盛, 譚啓昆(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
唐家偉, 羅偉豪, 梁展鋒(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)
金旭, PARK Young Soo(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』:2014.8公開)
黃智亨, 關卓豪, 黃樹基(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』:2014.10公開)

●最佳美術設計(最優秀美術賞)
麥國強(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
劉強(白日焰火 『薄氷の殺人』)
傅英彰(勝利)
郝藝(無人區 『無人区』)
黃美清(軍中樂園)

●最佳造型設計(最優秀衣装デザイン賞)
余家安, 利碧君(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
郝藝(無人區 『無人区』)
ケ莉棋, 林欣宜, 杜美玲(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
方綺倫, 許力文, 高佳霖(軍中樂園)
梁婷婷(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳動作設計(最優秀アクション監督賞)
李忠志(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
元彬, 林峰(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
黃偉亮(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』)
甄子丹, 董瑋, 元彬, 嚴華(一個人的武林)
桑林(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)
王希文, 羅恩妮, 聶琳(十二夜)
川井憲次(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
陳其鋼(歸來)
王宗賢, 董冬冬, 姜勇軍(無人區 『無人区』)
何E澍(東北偏北 『北北東』)

●最佳原創電影歌曲(最優秀映画主題歌賞)
心照一生(詞:RubberBand, Tim Lui 曲:RubberBand 唱:RubberBand 掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
目的地(詞:黃偉文 曲:蔡コ才@人山人海, 黃耀明@人山人海 唱:黃耀明 香港仔)
小鳥先生(詞:馬志翔 曲:舒米恩.魯碧 唱:演員合唱 KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
愛是凝望又離開(詞:娃娃 曲:陶 唱:陶普@寒蟬效應)
平凡之路(詞:朴樹, 韓寒 曲:朴樹 唱:朴樹 後會無期)

Sumingそしてデビッド・タオの名前が。

●最佳剪輯(最優秀編集賞)
邱志偉 (H.K.S.E.) (掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
楊紅雨(白日焰火 『薄氷の殺人』)
杜媛(無人區 『無人区』)
孔勁蕾, 朱琳(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
朱利贇, 屠亦然(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳音效(最優秀音響効果賞)
曾景祥, 姚俊軒, 鄒玉麟(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
陶經(歸來)
富康(闖入者)
富康(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
杜篤之, 湯湘竹(軍中樂園)

●年度台灣傑出電影工作者(最優秀台湾映画人賞)
黃志明

『セデック・バレ』のプロデューサー。

●終身成就獎(生涯活躍賞)
田豐

《童年往事》の阿孝の父親役をはじめ、多数の作品に出演した大ベテラン俳優。



台湾関係では、『KANO』と《軍中樂園》が6部門でノミネートされたのが最多。気になる部門は多々ありますが、個人的に気になるのは「最優秀新人賞」のゆくえ。それにしても《行動代號:孫中山》を日本で観る機会はないのだろうか…。

最後に動画を一つだけ。最優秀短編映画賞でノミネートされている、《四十三階》(Stairway)の予告編です。この作品、実は今年の釜山国際映画祭で、最優秀短編映画に贈られるソンジェ賞に、韓国作品とともに選ばれています(中央社の記事)。釜山に続き、華やかな受賞実績を重ねるのか注目です。監督の吳中天(マット・ウー、wikipedia)は、これが初監督作品。彼は俳優として、東京国際映画祭で上映された『運命の死化粧師(命運化妝師)』『Together(甜‧祕密)』などにも出演していましたが、数々のドラマでの出演の方が記憶に残っている人が多いかも。

毎年の夫の墓参りのためには、43段の階段を上らねばならない。年々体力の衰えを感じる高齢の女性が、孫の少年とともに階段を上る練習を始める…。



posted by 研究員B at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月25日

『共犯』その1

今年(2014年)の東京国際映画祭は、残念ながら台湾映画の上映はわずか一つ。その作品、『共犯』(原題も《共犯》、英題は“Partners in Crime”)を観てきました。

まずは基本データをまとめて。

東京国際映画祭の紹介ページ
公式Facebookwikipedia
導演 / 張榮吉
演員 / 巫建和、ケ育凱、鄭開元、姚愛ィ、洪于晴、溫貞菱、梁赫群、黃鐙輝、黃采儀、李烈、柯佳嬿

予告編はこちら。ただ、映画の各場面がかなり広範に取り入れられ、ネタバレではないにしてもいろいろ印象を残しそうなので、これから観る方は見ないほうがいいかも。



『光にふれる(逆光飛翔)』張榮吉監督による、新しいチャレンジを試みた作品。3人の男子高校生が、偶然同じ高校の女子生徒の死体を見つけたことから、その死の真相を探るために調べ始め、その女子生徒の部屋に忍び込む。そこから……という展開。

面白かったです。謎解きで引っ張るというより、事態の展開(より正確には、既に起こってしまった出来事が後になって登場人物への負荷となっていく過程)で引っ張る物語。3人の男子高校生はそれぞれ特徴的なキャラクターで、3者3様の孤独感と焦燥感が印象的でした。公式Facebookには、男女6人の高校生の画像が用いられていたので、その6人の関係がもっと主題化されるのかと思っていたけど、そうではなく、この3人の男子高校生により力点が置かれた話でした。その意味で、予想外に「男の子の映画」だったなあと感じました。

ただ、すごくツボだったかというと、正直言って違いました。面白かったし、チャレンジは買うけど、自分のツボからは微妙に外れていたようにも思います。twitterでの反応をみていると非常に好評なのですが(そしてそうなるのもわかるのですが)、観終えた後の感想は今一つすっきりしませんでした。その理由は、あともう一歩必然性を描き出してほしいところが簡単にスキップされて「孤独」というところに落ちてしまっている(ように見えた)ことなど、いくつかあるような気がするのですが、もう少し考えて整理できればと思います。光と音の使い方、特に人工的な光の使い方はなかなかで、個人的には印象に残りました。

登場人物について。まず3人の男子高校生。黃立淮を演じていたのは巫建和wikipedia)。去年の東京国際映画祭で上映された台湾映画『Together(甜‧祕密)』でも、高校生を演じていました(上馬=小揚の友人の、赤いヘルメット・赤いパーカーの男の子役)。ドラマでは《終極一班3》や《流氓蛋糕店》(ショコラ)にも出演。『ショコラ』では金髪になっています。

Q&Aセッションで、張榮吉監督は6人の高校生のうち4人はほぼ演技経験がなかったと言っていましたが、葉一凱を演じていた鄭開元と、林永群を演じていたケ育凱Facebook)はその4人に含まれるようです。鄭開元は莊敬高職演藝科に在籍、ケ育凱は華岡藝校戲劇科出身とのこと。二人とも好演だったと思います。

3人登場した女子高校生のうち、演技経験があるのは、朱靜怡を演じた溫貞菱wikipediaFacebook)です。彼女も実は、巫建和と同じく『Together(甜‧祕密)』に出演していました(巫建和と分かれたりよりを戻したりした女子高校生役です。随分今回と印象が違う!)。他には、今年の台北電影節で最優秀長編劇映画賞に選ばれた、錢翔監督の《迴光奏鳴曲》にも出演しています。

他の二人、夏薇喬を演じた姚愛寗と、黃立淮の妹・黃詠臻を演じた洪于晴Facebook)は、演技経験がないようです。とはいえ完全に無縁だったかというとそうではなく、姚愛寗はMV出演経験は多く広告モデルもしており、洪于晴も広告モデル出身とのこと。

他は、夏薇喬の母は李烈(『光にふれる』に続いての出演ですね)、高校の男性教師は梁赫群(最近の映画出演は『失魂』『一分間だけ』など)、高校のやる気のないカウンセラーは柯佳嬿(ドラマ『進め!キラメキ女子』など)、警察官は黃鐙輝(『モンガに散る』など)、黃立淮・黃詠臻の母(アイロンをかけていた)のは黃采儀wikipedia、彼女は『光にふれる』にも『Together(甜‧祕密)』にも出演いていたらしいけど思い出せない…)。

最後に、音楽関係を。まず挿入歌として用いられていたのは、家家が歌う「Once The Night Comes」。これ、作曲は嚴爵です。このMVも映画本編の画像入れすぎな気が…。


片尾曲はflumpoolの〈孤獨〉でした。ここでは省略。エンドロールで初めて登場したこの歌、歌詞は確かに映画の内容と関連があるのだけど、やや「とってつけた」感があった気も。

夏薇喬が映画中で行ったライブは、陳綺貞率いるThe Verseのライブでした。陳綺貞、一瞬だけでしたが写りましたね。歌っていたのは《快速動眼》。ちなみにこの記事によると、陳綺貞は初の映画出演だったそうです:蘋果日報の記事「陳綺貞《共犯》捐軀 5秒處女乍現」


『共犯』、明日観る予定のAの感想を早く聞いてみたいところです。(→ Aのコメント


posted by 研究員B at 01:25 | Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月17日

『異境の中の故郷』

『異境の中の故郷 作家リービ英雄52年ぶりの台中再訪』

大妻女子大学で『異境の中の故郷 作家リービ英雄52年ぶりの台中再訪』を観てきた。監督の大川景子さんと、出演者でもある作家の温又柔さんのトーク付。豪華企画だが、なんと大妻のふつーの授業。でも外部からの参加も可だったので、女子大生に囲まれて場違いながら参加。かなり浮きまくりだったけど、それでも行ってよかった。それだけする価値のある映画だった。

さて、この映画。作家・リービ英雄が子供時代を過ごした台中を52年ぶりに帰郷する姿を追ったドキュメンタリー。最初は単なる記録のつもりだったのが、実際に撮り進めるうちに作品にしなければという思いが募り、ドキュメンタリー作品としてまとめたのこと。作品を目指さないで撮りはじめた映像が、不意にドラマティックなエピソードとしてつながり始めるライブ感。ドキュメンタリーだからこそかもしれないし、まさに映画的とも言えるし。どちらにしても、独特の緊張感が全編にわたって続き、ドキュメンタリーにありがちな間延びなし。最後まで食い入るように見てしまった。

観た後の感想は、人によってそれぞれだと思う。でも研究員Aには、これがひどく個人的であると同時に普遍的な物語に思えた。時を隔てて向かいあう「故郷」。忘れてしまっていたはずのもの、終わったはずのことが、今まさにここにあるかのように生々しく蘇る。それと同時に、それがもうそこにはない、地球上のどこにもないという現実とも向かいあわなければならない残酷さ。強烈な郷愁と喪失感の中で翻弄されるリービの姿が痛切であればあるほど、それはリービの個人的な物語であることを超えて、観客それぞれが抱えている物語と共鳴し始める。

研究員Aは一昨年、亡くなった祖母の家を取り壊す前に片づけをした時のことを思い出していた。電気も水ももう通ってはない思い出の場所で、思い出の品を見つけてはそれを捨てるということを繰り返した一週間。かつての通学路を通って祖母宅と実家を往復する中で目にする、さま変わりした故郷。リービのように複雑な家庭事情は研究員Aにはない。それでも、過去への郷愁とそれをもう取り戻すことができないという喪失感、自分の居場所がどこなのかを探しあぐねる不安な気持ち。リービの物語を眺めながら、研究員Aは研究員Aの物語をどこかで反芻していた。

だからこれはリービ個人の物語であると同時に、すべての人の中に眠る普遍的な物語でもあるのだと思う。もちろんリービの物語の中にあるアメリカ、台湾、日本、中国という要素を共有できる人は少ない。「越境者」という立場そのものを理解できない人も多い。リービのアイデンティティはまさに「越境者」であることから生まれるものだし、彼の物語もその事実の上に積み上げられた部分が多い。しかしそれでもなお、ここで語られている物語が、我々すべての普遍的物語である部分は確かにある。個人的でもあり、普遍的でもある物語。どちらでもない、どちらでもある物語を追体験するという緊張感が、この映画をスリリングにしている。

更に面白かったのは、この映画がひどく「言語的」であること。普通、映画というのは映像に語らせる部分が多い。言葉ももちろん重要ではあるものの、映像に解説を加えるのは必要最低限、という美学がある。

しかし、この映画の主人公は作家。作家というのは、体験、感情など目に見えないものを言葉にするのが仕事。実際、過去に起きたこと、これから起こることへの不安、今現在の気持ち、さっき自分がとった行動の意味などなど、リービはありとあらゆることに解説を加えていく。職業病というか、パラノイアというか、ともかく想いが深まれば深まるほど、言葉にならぬ感情が湧き上がれば湧き上がるほど、憑かれたように言葉を紡ぐリービ。ただ、その言葉を邪魔せぬように、でも負けぬように、映像が映像ならではの言葉を発する部分もある。そのバランスが何だか独特で、とても面白かった。過剰に言語的で、でも映画好きでもある研究員Aにとっては特に。

そんなわけで、研究員Aにとってはとても、とても面白かったこの映画。でも、すべての人にお勧めなのかは、よく分からない。特に「過剰に言語的」な部分が消化不良になってしまう人はいるんじゃないかな。でもそれはもう、リービ英雄を見に行くんだから覚悟してくださいってことで。

台湾についてほとんど触れなかったけど、そこを超えて、個人的で普遍的で、でも確実に特殊でそれでも誰が見ても美しくて、という映画だったので、ぜひぜひみなさまご覧ください。自分の中にある何かがすごく揺るがされる物語です。それを言葉にしようとすると、また苦悩してしまうんだけどね。リービさんと同じように。あなたも。私も。

*『異境の中の故郷 作家リービ英雄52年ぶりの台中再訪』の上映情報はこちら。7月には関西でも上映予定があるようです。

posted by 研究員A at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月31日

台南女中の“短パン・アピール”

台南女中の“短パン・アピール”(『GF*BF(女朋友。男朋友)』)

台湾映画『GF*BF(女朋友。男朋友)』日本公式サイト)の日本公開が迫ってきたので、小ネタをひとつ、まとめておこうと思います。昨年のアジアンクィア映画祭での上映の後ぐらいに、twitterでつぶやいてもいるのですが、時間も経ったので改めて。

で、何かというと、映画冒頭の部分の、女子学生たちが制服のスカート強制拒否を示すため、一斉に脱ぎ捨てるシーンについてです。実はあのシーンは、2010年に台南女中(台南女子高級中學:日本統治期からの歴史を持つ有名校の高校)で実際に行われたこと(式典中に一斉に脱ぎ捨てて空に投げる)をふまえたものです。『GF*BF』の日本公式サイトのTRIVIAのページに、概略が以下のようにまとめてあります。

“短パン履きたい”

冒頭で忠良の双子の娘たちが先導する“短パン・アピール”。2010年3月15日、同様の抗議行動が台南女子高級中学(高校)で実際に起きている。女子高生2,000人近くが朝礼中の校庭で一斉に長ズボンを脱ぎ、下に履いていた短パン姿になった。新しく赴任した教官が制服指導を強化し、「短パンは体育の時間だけ」「ジャージの上着ファスナーは制服の第二ボタンの位置まで上げる」などとしたことへの反発からだったという。抗議の結果、学校側は短パン着用を認め、制服規定を見直すことを約束した。


もう4年前のニュースですが、このことを報道したニュース映像がいくつかYoutubeに残っているので、そのうちの一つを貼りつけておきます。

中國時報「台南女中脫褲爭權益 校方:穿短褲也行」


上に引用した概略に「教官」とありますが、台湾の高校には「軍訓教官」(wikipedia)という人が配属されています。主に生活指導を担当し、通常の教員ではなく現役軍人がなるポストです。『あの頃、君を追いかけた』など、台湾の学園ものの映画やドラマでこの教官がたびたび登場するのを観ている方も多いと思います。『GF*BF』では女性教官でしたが、この台南女中のときは男性教官だったようです。

新たに着任したこの教官が、短パン禁止など服装の指導の厳格化を進めたことに対して、学生たちは不満のメッセージを表明していたようですが、その教官が受け入れなかったので、こうした抗議行動に出たようです(つまり、単に短パンがいいというよりは、説得的な理由があるとは思えない規定を、上から有無をいわせない形で導入したこと、そして不満の声に耳を傾けなかったことが反発を呼んだということのようです)。それに先立って、抗議の意思を表明する「南女短褲幫官方網站」というサイトを学生たちが立ち上げたり、学生たちの間で携帯電話のショートメッセージで朝礼での実行について情報が共有されたりしていたようで、そうした経過を経て、こういう行動に至ったという次第です。

「南女短褲幫官方網站」に掲載されていた内容は、「315南女學運」というサイトで今でも見ることができます。上のニュース映像でも出てきますが、周杰倫の「說好的幸福呢」(Youtube)の替え歌で、「說好的短褲呢?」という詞が作られていて、その歌詞がトイレに貼られたりしたいう話があります。その歌詞はこのページに出ていますが、一部引用するとこんな感じです: 「怎麼了 光明他 說好的 短褲呢/你來了 南女就 全部都 改變了/又不是穿著自己的便服跑去合作社/為什麼穿南女短褲的我要自律訓練呢」。また、さらに「短褲」を「自由」にした、「說好的自由呢?」という言葉は、このサイトでのアピールのキーワードとして使われています。例えばこのページ

長ズボンを脱ぎ捨てるという行動は目を引くものですが、いろいろ見ていくと、単に目を引く行動があったというだけにとどまらない、学生たちの異議申し立ての主張の力強さが感じられます。それこそ、この春のひまわり学生運動にも通じるような。実際、このときの台南女中の学生たちは、2014年にはちょうど大学生になっているくらいですし。

なお、実は2008年ごろから、既に台北の北一女(台北市立第一女子高級中學)などで学生たちから同様の主張が提起されていました。2009年時点の経過は、日本語で整理しているページがあるので、そちらをご参照ください:
中国女性・ジェンダーニュース+「台湾で女子生徒に対するスカート強制が問題に」

この事件は、映画『GF*BF』の本筋と直接かかわる程度は決して大きくないけど(といっていいのか)、こうした背景や精神についてイメージを持っていると、一層興味深く観ることができる……かも???

最後に、「南女短褲幫官方網站」に載っていた画像を貼り付けておきます。たぶん、当時校内に掲示されたものかと: 「自由南女:南女,由我們來定義」。

ziyounannu2010.jpg


【2014.6.1夜 追記】

既に『GF*BF』をご覧になった方は、女子高生たちが朝礼のときに脱ぎ捨てたのはスカートだったのでは?と思ったかもしれません。しかし、実際に女子高生たちが脱ぎ捨てたのは、上記のとおり長ズボンでした。台南女中では短パンを認めず長ズボン着用が強制されたことへの反発として、長ズボンを脱いで投げ捨てたのです。しかし、上でも少し書いていますが、同時期に北一女などでは「スカートの強制」に対する反発の動きがありました。そして強制される服装は異なりますが、女子高生への服装強制への批判という意味では共通しています(「短パンはダメだから長ズボンを」と「短パンでの登下校はダメだからスカートを」の両方の強制が出てくるところに、ジェンダー規範のアドホックさや理不尽さがまさに露見しているわけですが)。

『GF*BF』では、(北一女などのような)スカートの強制に対して、(台南女中のような)一斉に脱いで投げ捨てるという抗議行動がなされた、という風に、二つを組み合わせるような形で脚色されて描かれています。実際、映画での女子高は台北にある設定になっていて、でも制服のスクールカラーは(北一女の緑色とは異なり)台南女中のスクールカラーを想起させる水色になっているあたりも、やはり二つを組み合わせていることがうかがえます。

posted by 研究員B at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする