2015年02月20日

植民地台湾という観点からKANOを考える・1

植民地台湾という観点から『KANO』を考えてみた その1

『KANO 1931海の向こうの甲子園』を見てきた。

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その後すぐにレビューを書こうとして、書き始めたら色々気になって調べ始め、そしたら段々長くなり、結局、二週間を経てやっと完成。映画そのものレビューというよりも、映画の背景にあるものをあわせて見ることで、この映画をどう捉えられるか? という話になった。もし、まだ映画を見ていない方は、映画を見てからこちらを読んでください。その方が、「一粒で二度美味しい」になるかもしれないので(ならなかったらスミマセン)。

というわけで、以下、レビュー。長いので今日と明日、二回に分けて掲載。





よくできた娯楽映画だった。皆が馬鹿にする弱小チームが、名監督を得て生まれ変わるというクラシックな筋書きを、忠実に再現。その過程で生まれる友情とか、夢とか、希望とかもきちんと盛り込み、決して枠から外れない。観客の期待を絶対に裏切らない「様式美」は、ともかく安心して見られるし、楽しめる。見終わって嫌な気持ちが一切残らないところも、娯楽映画として優秀。

一応、日本統治下の台湾とか、その中での「民族協和」とかも出てくるけど、そういった要素は基本的にBGM。「弱小チームの逆転劇」という筋書きに色を添える程度のもの。歴史的背景の描きこみを期待している人は、がっかりすると思うので見ないほうが良いと思う。だって、これは娯楽大作。そういう細かいこと、複雑なことに時間を割いていたら、すかっとした逆転劇や、夢や努力のきらめきが薄らいじゃう。ただただ楽しむ映画と割り切って見る方が盛り上がる。

しかしそうは言っても、「社会」に関心のあるおきらく研。「日本統治下の台湾」という舞台設定である以上、映画の外側にあるものの方にどうしても関心がいってしまう。というわけで、「嘉義農林の「民族協和」を日本統治下の台湾から考える」ということをやってみたい。

まず、嘉義農林という学校について。嘉義農林は1919年、第一次台湾教育令が発布された年に設立された。第一次台湾教育令って、日本統治下の台湾で初めて教育制度を体系的に定めたもの。嘉義農林は、初等教育である公学校(日本では小学校にあたるもの)6年間を卒業したら進学できる中等教育機関として設立された。今だと甲子園=高校野球、というイメージがあるけど、それよりは少し年齢低めで中学生に近い感じ。

ところで、この時の教育制度で注意しなければいけないのは、日本人と台湾人で行く学校が完全に分かれていること。初等教育も、日本人は小学校、台湾人は公学校と別の学校に行く。公学校も漢人と原住民では分かれている。小学校・公学校の後に進学する中等教育・高等教育も、日本人と台湾人で分けられている、といった具合。嘉義農林は、こういった事情の中、台湾人向けの中等教育機関として設立された。だから、設立当初、日本人学生は嘉義農林にいなかった。

ところが、第一次台湾教育令が出た3年後の1922年、第二次台湾教育令が出て、日本人と台湾人を分離していた教育制度はあっさり廃止になる。教育制度は台湾人・日本人共通のものに一本化。学校も基本的に共学化。共学と言っても男女共学ではなくて、台湾人・日本人共学ということ。初等教育の公学校・小学校は相変わらず、日本人、漢人、原住民で分けられていたけれど、中等教育以降はすべてが台湾人・日本人共学になった。

で、ここからが興味深いところなのだけれど、この改革によってすべての教育機関で「民族融合」が進んだかと言うと、答えは「No」。弘谷多喜夫・広川淑子「日本統治下の台湾・朝鮮における植民地教育政策の比較史的研究」によると、もともと日本人向けだった学校では日本人学生数が多数のままだったし、台湾人向けだった学校では台湾人学生が多数のまま引き継がれる。

嘉義農林はもともと台湾人向けに設立された学校。だから、映画『KANO』の舞台となる1931年には共学にはなっていたものの、台湾人の学生が圧倒的多数を占める多い学校だった。実際、オフィシャルサイトの解説によると、ある年の嘉義農林の入学者の内訳は日本人20%、漢人75%、原住民5% 。映画の中で「日本人のいないチームに野球ができるのか」と近藤監督が馬鹿にされるシーンがあるけど、嘉義農林が日本人だけで強いチームを作るのは、学生数から考えるとかなり厳しかったことになる。

ちなみに、映画序盤でライバルとして出てくる嘉義中。これは中学校で、実業学校の嘉義農林とは別ジャンルの教育機関。どちらも公学校・小学校を卒業してから進む中等教育機関ではあるのだけれど、中学校はその後、より高度なことが学べる専門学校や、高等学校へと進学することが可能。高等学校を卒業すれば大学に進めるので、同じ中等教育機関でも、それ以上高い学歴への道が開かれていない実業学校とは歴然とした格の差があったことになる

そう考えると、嘉義中 vs 嘉義農林が反目しあうのは、一流エリート校の学生 vs 二番手校の学生が反目する図、とも考えられる。映画の中でも嘉義中が嘉義農林を小馬鹿にした態度をとるけど、それはただ野球が弱いからだけでなく、こういった学歴の差があったからかもしれない。そして、そういう格の差があったからこそ、野球で嘉義中の鼻をあかすことがいかに嘉義農林の学生にとって爽快だったかということも分かる。

ここで更に注意が必要なのは、エリート校と二番手校の格差は、日本人/台湾人の格差でもあったこと。前にあげた弘谷・広川論文によると、日本人向け教育機関と台湾人向け教育機関が二本立てとなっていた時期、後者は前者より一段低いレベルに留め置かれていたという。だから大学という高等教育への道が開かれている中学校は、もともと日本人向け教育機関だったものが多い。第二次教育令が出て共学化が進んでも、こういった学校は、やはり圧倒的に日本人学生の数が多かった。こう考えると、台湾人が多い二番手校・嘉義農林 vs 日本人が多いエリート校・嘉義中のライバル意識という見方もできる。

こうやって見てくると、当時の嘉義農林がどれだけの社会的格差の中にあったかということが分かる。一つは近代日本で作り上げられた学歴による格差、そしてもう一つは植民地支配の中で作り上げられた民族間の格差。この二つの格差は密接に絡み合い、結局は台湾人を日本人の下位に位置づけるようなシステムを下支えしているわけだ。

こういった格差があったにも関わらず、嘉義農林野球部では「三民族協和」の理想が実現できていた、というのが映画の感動ポイントかもしれない。だけど、日本統治が作り上げた民族間の格差を、日本人監督が超えたという話に、日本人が感動する、というのはびみょーに倒錯している感もあり。その辺、調べながら、モヤっとしてくる研究員Aだった。

長くなったので、日本統治下の台湾における野球教育についてはまた明日。 ⇒ その2

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2015年01月27日

『天空からの招待状(看見台灣)』その2

遅ればせながら『天空からの招待状(看見台灣)』を観てきた(研究員Bによるレビューはこちら)。金馬獎のドキュメンタリー賞を取ったし、全編空撮の環境保護を訴える映画だって言うし、「教科書的な良い映画」なんだろうなあ。というぼんやりとした予想を胸に向かったシネマート六本木。

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シネマート六本木では、半券2枚貼ると西島秀俊直筆サイン入りの日本語版台本が当たるキャンペーン中!台湾マニアにはあまり需要がなさそうだけど…。

で、映画の感想。「教科書的な良い映画」という予想は、意外にも裏切られた。むしろ、無骨で素朴。時には粗雑とすら言いたくなるような荒々しさ。そもそも監督は、これが初作品。航空カメラマンとしてのキャリアは20年以上あるけど、「物語を組み立てる」という意味では素人。だから、メッセージの伝え方が時に荒っぽい感じなるのも仕方ないと言えば仕方ない。

とは言え、この映画そのものが粗雑だったかというとそうではない。むしろ、他にはない迫力を持った奇跡のような映画、という印象を持った。

この映画を「奇跡」にしているもの。それは、第一に映像の力。航空カメラマンとして長いキャリアを持つ監督が、全身全霊をかけて撮った空撮映像。それは、今まで見たこともないような美しさや凄みをたたえていて、息をのむばかり。遠くから風景を撮るだけでなく、時に動物や人に近づき、その息づかいまでもを伝える迫力。ナレーション以外に言葉がない寡黙な映画なはずが、途中から映像自身が雄弁に語りかけてくる。ここまで饒舌な風景って、なかなか撮ろうとしてもとれるものではない。だから、こんな映像が90分間も眺められるというのは、奇跡のような体験だった。

そして、この映画を「奇跡」にしている二つ目の要素。それはこの映画が完成し、公開され、台湾で昨年第三位の興行成績をあげ、中華社会のアカデミー賞である金馬獎のドキュメンタリー部門で賞を得る、という栄誉に輝いていること。

この映画のテーマは台湾の自然。しかも、ただ美しい自然を映し出すだけでなく、その自然を人間がどのように破壊しているかをも克明に描き出す。もちろん、このことは映画を見る前から知っていたのだけれど、映画を見てその描き方に驚いた。予想以上に生々しい。汚水をたれながす工場、不法投棄の現場、森林を伐採し、リゾート施設を建てる建設現場。見る人が見れば、きっとそれがどこだか分かる。誰がやっているかが分かる。破壊の後ろにいる人間の顔が、くっきりと透けて見える。

もちろん、今までも環境破壊を批判する映画はあった。でも、それはもうちょっと「ふんわり」していた気がする。環境を破壊する愚かな人間。あなたもその1人かも。みたいなざっくりしたメッセージの中では、具体的な企業、経済活動、人が出てくることは少ない。それはスポンサーとか、配給元とか、上映館とか、何とかかんとか、大人の事情があるからかもしれない。そして、それが当たり前だと、私はどこかで信じていたのかもしれない。

この映画では、そんな「大人の事情」などクソ食らえ、と言わんばかりに、環境破壊の現場が映し出される。誰かの利益と快楽につながる経済活動が地球の破壊につながる様子を、「生々しく」映し出す。メッセージとしては、とても痛烈。それどころか、ここに映し出されている方法で利益を得ている人、団体、企業にとっては、とても不都合。でも、そんな風に各方面に石をぶつけまくる内容であるにも関わらず、この映画は無事完成し、公開され、金馬獎を得た。その事実を「奇跡」と呼ばずして何と言おう?

エンディングで、雲の中をゆっくりと飛んでいく映像が出てくる。どこかで見たな、と考えていて「あ、『ナウシカ』だ!」と気づいた。空からの視線、環境破壊をテーマにした筋立て。二つの映画は不思議とシンクロするけれど、日本では近未来の寓話としてメッセージを発するぐらいが関の山。この内容をドキュメンタリーとして公開し、ヒットさせる台湾社会の懐の深さに、心底、感服する。

色んな意味で、日本では作られることがないだろう奇跡のような映画。これを逃したら、他で同じようなものを見る機会は多分ありません。ぜひ大画面で、この世界を体験してみてください。

posted by 研究員A at 23:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月14日

『天空からの招待状(看見台灣)』その1

12月から公開されていた『天空からの招待状(看見台灣)』、もう1月も半ばが迫る頃ですが、ようやく(まずBが)観てきました。観たのは、西島秀俊による吹き替え版ではなく、呉念真のナレーション+字幕のものです。

まずは基本データを:
Facebook(中文)
日本公式サイトFacebook(日本)twitter
導演 / 齊柏林
旁白 / 吳念真

予告編はこちら。字幕版を観たので、台湾版の予告編を貼り付けておきます(日本版は西島英俊の声になっているので)。ただ、用いられている映像自体は、台湾版・日本版でほとんど同じだったはず。



ひとことでいうと、入魂の作品。映像の美しさと力強さとインパクトがとにかく印象的で、感嘆しつつも考えさせられながら観てしまう、とっても興味深い映画でした。
ただ、日本タイトルの「招待状」という言葉がイメージさせるものとは、ちょっとギャップがあるかも。もっと無骨で、熱く、ストレートな、製作者の気合いを感じるさせる作品でした。

もうちょっと言うと……事前には「空撮」「台湾の自然」「環境保護の問題提起」ぐらいのイメージをもっていたのですが、実際に観てみると意外な思いをすることになりました。

まず、「空撮」。確かに空撮が駆使された作品なのですが、「空撮」の言葉がイメージするたか〜いところからの撮影だけでは決してなく、結構低いところからの映像もたくさん用いられていました。飛行機からの視点だけでなく、鳥の視点という感じ。地上の人々の表情がわかるくらいのものも多く、超・高所だけでない面白さが結構あって、ちょっと意外。

次に「自然」。確かに、台湾の豊かで美しい自然を本当にたくさん観ることができますが、ただ手つかずの自然だけを重視しているわけではなく、人の営みへの強い関心を製作者側が有していることが感じられる映像も多々ありました(否定的な関心だけでなく、肯定的な関心も)。

そして「環境保護への問題提起」。こういう、映像のクオリティを重視しそこに力が込められているタイプの作品だと、監督など製作者は前に出るのを控えて、変に言葉を重ねずに、映像自体にメッセージを語らせようというスタイルになることが多いと思います。この作品も決して例外ではなく、映像自体の説得力は本当に見事なのですが、ただこの作品の場合、どこか印象が違います。なんというか、製作者ががんがん前に出てくる感じがするのです(笑)。気のせい?

映画が訴える問題提起は、説得的で傾聴すべきものですし、込められたメッセージは力強いものです。でも、映画としてみた場合、全体としてちょっとしつこい(!)と感じました(ええと、急いで付け加えると、決してそれが悪いという意味ではありません)。このしつこさ・クドさこそが、『看見台灣』の大きな特徴のように思います。

安定した仕事を捨てて、多額の借金をしてまで(台湾に一台もなかった)特別なカメラを購入し、この作品を撮ったという齊柏林(チー・ポーリン)監督。それほどまでの気合と入魂によって作られた映画であるためか、表現やメッセージは無骨でストレートなものです。もっと洗練されたアプローチや、ひねりを効かせて表現することもありうるのかもしれませんが、この監督はそうした洗練や工夫やひねりに関心がないのかも??? 編集や構成も荒っぽさを感じさせるときがあり、音楽(何國杰)も素晴らしいのだけどややうるさいときもあったり、よくいえば豪快、悪く言えば雑です。

でも、空撮して得られた映像は本当に見ごたえがあるので、そうした荒っぽさを越えるだけのインパクトがあります。変な喩えですが、漁師が獲ったばかりの魚を船の上でぶつ切りにして盛っただけなのだけど「これが一番旨い!」みたいな感じ(笑)。『看見台灣』は、漁師料理みたいだなあ(!)と思って観ていました。

そうした、ちょっと押し付けがましい感じや、洗練と工夫の不足みたいな点も含めて、トータルに興味深いと思えるかどうかが分かれ目のように思います。私自身にとっては、その点も含めて、むしろ好印象でした。無骨で熱くストレートで、製作者の気合を感じさせるぐらいのところが、映像は美しいけど何も伝わってこないタイプの作品とは正反対で、おもしろかったです。

これから観る方には、ぜひ大きいスクリーンで観てほしいです。映像の素晴らしさも断然感じられると思いますし、加えて監督がそこで熱く語っているようなちょっと鬱陶しい感じ(笑)も一層強く感じられるので。

吳念真のナレーションは落ち着いていて、過剰でもなく、押し付けがましくもなく、よかったと思います。西島秀俊の吹き替えも悪くないのかもしれませんや、地名や数字のデータも出てくるので、個人的には字幕でOKでした。音楽の中では、林慶台(『セデック・バレ』『狼が羊に恋をするとき』)と陳苡萊が歌う「物換星移」が印象的でした。あと最後の台灣原聲童聲合唱團も!

ひとつだけ、別の話を付け加えて終わりにします。この映画を観て痛感したのは、視覚に訴えることの力です。自覚されにくい問題を、目に見える形で提示することのインパクトはやはり大きいです。そして、逆に言えば、自然や環境をめぐる問題であっても、視覚に訴えられない・訴えにくい場合は、大きな困難をもつことになるのだとも。例えば大気汚染とか(これは目に見えるかも?)、放射能とか。映画で描かれていたことも、描かれていなかったことも、これから少しずつ考えを広げていこうと思える作品でした。

※ 「その2」(研究員Aによるレビュー)は、こちらです。ぜひ併読を!

posted by 研究員B at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月23日

2014金馬獎・結果

本日(昨日)、第51屆金馬獎の授賞式が行われ、各賞が発表されました。以下、受賞者・受賞作品をご紹介。ノミネートリストは昨日のエントリをご参照ください。


●最佳劇情片(最優秀作品賞)
推拿(『ブラインド・マッサージ』:2014アジアフォーカス・福岡国際映画祭)

●最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー賞)
棉花

●最佳創作短片(最優秀短編映画)
錘子鐮刀都休息(耿軍)

●最佳導演(最優秀監督賞)
許鞍華(黃金時代 『黄金時代』:2014TIFF)

●最佳男主角(最優秀主演男優賞)
陳建斌(一個勺子)

●最佳女主角(最優秀主演女優賞)
陳湘h(迴光奏鳴曲:Facebook

●最佳男配角(最優秀助演男優賞)
陳建斌(軍中樂園:Facebook

●最佳女配角(最優秀助演女優賞)
萬茜(軍中樂園:Facebook

●最佳新導演(最優秀新人監督賞)
陳建斌(一個勺子)

●最佳新演員(最優秀新人賞)
張磊(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
易智言(行動代號:孫中山:Facebook

●最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
馬英力(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳攝影(最優秀撮影賞)
曾劍(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳視覺效果(最優秀視覚効果賞)
唐家偉, 羅偉豪, 梁展鋒(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)

●最佳美術設計(最優秀美術賞)
劉強(白日焰火 『薄氷の殺人』)

●最佳造型設計(最優秀衣装デザイン賞)
梁婷婷(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』:2014東京・中国映画週間)

●最佳動作設計(最優秀アクション監督賞)
黃偉亮(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』)

●最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)
陳其鋼(歸來)

●最佳原創電影歌曲(最優秀映画主題歌賞)
平凡之路(詞:朴樹, 韓寒 曲:朴樹 唱:朴樹 後會無期)

●最佳剪輯(最優秀編集賞)
孔勁蕾, 朱琳(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●最佳音效(最優秀音響効果賞)
富康(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

●年度台灣傑出電影工作者(最優秀台湾映画人賞)
黃志明

●終身成就獎(生涯活躍賞)
田豐



台湾関係は、多数ノミネートされた『KANO』からは受賞がなかったこともあり、数としては少なくなりましたが、陳湘hが《迴光奏鳴曲》で最佳女主角に易智言《行動代號:孫中山》で最佳原著劇本に選ばれています。また《軍中樂園》からは、最佳男配角・最佳女配角の両方が選ばれています(台湾人キャストじゃないけど)。

以下、受賞を記念して、動画を二つほど載せておきます。

一つ目は、《迴光奏鳴曲》の予告編。《迴光奏鳴曲》は、今年の台北電影節で最優秀長編劇映画賞を受賞した作品。『藍色夏恋』などベテランのカメラマン・錢翔が監督として撮影した作品。最近では『郊遊』や『失魂』に出演していた陳湘h、今回最佳女主角を受賞しましたが、今年の台北電影節ではこの作品で主演女優賞に選ばれてもいました。共演は東明相(『練習曲』)、音楽は雷光夏(『台北カフェ・ストーリー(第36個故事)』のテーマソングで、2010年の金馬獎で最佳原創電影歌曲を受賞)。作品の舞台は高雄とのこと。



もう一つの動画は、《行動代號:孫中山》の予告編。『藍色夏恋』の易智言監督の新作。アジアンパラダイスの記事の説明を引用すれば、「貧しい高校生が体育館の倉庫でほこりを被っている孫文の銅像に目を付け、仲間を集めてこれを売って滞納している学校の費用にしようと企みますが、同じような計画を立てているもう一組の高校生グループとの銅像争奪戦を通して、貧困や社会のゆがみをユーモアを交えて描いています」とのこと。

予告編を観ると、うわこれやっぱり観たい!という気持ちになります。ぜひ日本で上映を!




以上、ひとまず速報でした。

posted by 研究員B at 01:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月21日

2014金馬獎・ノミネートリストの再チェック

11/22(土)、第51屆金馬獎が発表されます。今年は台北・國父紀念館での開催。頒獎典禮(授賞式)の主持人は陳嘉樺(Ella)と黃子佼、星光大道(レッドカーペット)の主持人は楊千霈と楊達敬です。

いよいよ授賞式が迫ってきたので、今年も発表直前の復習ということで、ノミネートリストを再チェック。相変わらずほぼリストのみの内容で、とっても長〜いエントリですが、ご容赦を。


●最佳劇情片(最優秀作品賞)
一個勺子
白日焰火(『薄氷の殺人』:2015.1公開)
黃金時代(『黄金時代』:2014TIFF)
推拿(『ブラインド・マッサージ』:2014アジアフォーカス)
KANO(『KANO 1931海の向こうの甲子園』:2015.1公開)

●最佳動畫長片
ノミネート作品なし

●最佳紀錄片(最優秀ドキュメンタリー賞)
棉花
行者
犴達罕

このうち《行者》(The Walkers)は、『神も人も犬も』(2007)の監督である、台湾の陳芯宜の作品。舞踏家・林麗珍の姿を描くドキュメンタリー。

●最佳創作短片(最優秀短編映画)
四十三階(吳中天)
自由人(柯汶利)(Facebook
錘子鐮刀都休息(耿軍)
大佛(黃信堯)(Facebook
K屁股(張毅)

台湾作品は、《四十三階》、《自由人》、《大佛》の3つ。

●最佳導演(最優秀監督賞)
趙コ胤(冰毒 『アイス』:2014大阪アジアン映画祭)
刁亦男(白日焰火 『薄氷の殺人』)
許鞍華(黃金時代 『黄金時代』)
王小帥(闖入者)
婁Y(推拿 『ブラインド・マッサージ』)

『アイス(冰毒)』は、台湾からのアカデミー賞外国語映画賞部門出品映画に選ばれています(フォーカス台湾)。

●最佳男主角(最優秀主演男優賞)
陳建斌(一個勺子)
劉青雲(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』:2014.10公開)
廖凡(白日焰火 『薄氷の殺人』)
永P正敏(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
張震(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』:2014東京・中国映画週間)

●最佳女主角(最優秀主演女優賞)
陳湘h(迴光奏鳴曲)
桂綸鎂(白日焰火 『薄氷の殺人』)
鞏俐(歸來)
湯唯(黃金時代 『黄金時代』)
趙薇(親愛的)

●最佳男配角(最優秀助演男優賞)
王學兵(一個勺子)
吳孟達(香港仔)
陳建斌(軍中樂園)
戴立忍(寒蟬效應)
金士傑(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

《寒蟬效應》から戴立忍がノミネート。同作については、アジアンパラダイスフォーカス台湾の記事を参照。

●最佳女配角(最優秀助演女優賞)
郝蕾(黃金時代 『黄金時代』:2014TIFF)
鮑起靜(暴瘋語)
郎祖筠(甜蜜殺機 『甘い殺意』:2014大阪アジアン映画祭)
陳意涵(軍中樂園)
萬茜(軍中樂園)

『甘い殺意(甜蜜殺機)』は、『運命の死化粧師』の連奕g監督の2作目。同作については、アジアンパラダイスの記事を参照。

●最佳新導演(最優秀新人監督賞)
陳建斌(一個勺子)
錢翔(迴光奏鳴曲)
忻ト坤(殯棺)
馬志翔(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
李霄峰(少女哪吒)

《迴光奏鳴曲》は、今年の台北電影節で最優秀長編劇映画賞を受賞した作品。『藍色夏恋』などベテランのカメラマン・錢翔の監督作品。

●最佳新演員(最優秀新人賞)
許瑋ィ(相愛的七種設計)
張慧雯(歸來)
張磊(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
曹佑寧(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
魏漢鼎(行動代號:孫中山)

魏漢鼎と曹佑寧が注目ですが、ドラマでおなじみの許瑋ィ(ティファニー・シュー)も映画では新人。《相愛的七種設計》は、多くのMVの監督でもある陳宏一の、『キャンディレイン(花吃了那女孩)』・《消失打看》に続く長編3作目。

●最佳原著劇本(最優秀オリジナル脚本賞)
忻ト坤, 馮元良(殯棺)
刁亦男(白日焰火 『薄氷の殺人』)
李檣(黃金時代 『黄金時代』)
王小帥, 方鐳, 李非(闖入者)
易智言(行動代號:孫中山)

●最佳改編劇本(最優秀脚色賞)
陳建斌(一個勺子)
陳輝虹, 江皓マ, 陳果(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)
鄒靜之(歸來)
馬英力(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
李霄峰, 王沐, 潘ケ(少女哪吒)

●最佳攝影(最優秀撮影賞)
董勁松(白日焰火 『薄氷の殺人』)
杜杰(無人區 『無人区』:2014東京・中国映画週間)
曾劍(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
李屏賓(寒蟬效應)
張驥(東北偏北 『北北東』:2014TIFF)

●最佳視覺效果(最優秀視覚効果賞)
有機像素有限公司(相愛的七種設計)
吳R輝, 鄒志盛, 譚啓昆(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
唐家偉, 羅偉豪, 梁展鋒(那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN 『ミッドナイト・アフター』:2014TIFF)
金旭, PARK Young Soo(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』:2014.8公開)
黃智亨, 關卓豪, 黃樹基(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』:2014.10公開)

●最佳美術設計(最優秀美術賞)
麥國強(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
劉強(白日焰火 『薄氷の殺人』)
傅英彰(勝利)
郝藝(無人區 『無人区』)
黃美清(軍中樂園)

●最佳造型設計(最優秀衣装デザイン賞)
余家安, 利碧君(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
郝藝(無人區 『無人区』)
ケ莉棋, 林欣宜, 杜美玲(KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
方綺倫, 許力文, 高佳霖(軍中樂園)
梁婷婷(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳動作設計(最優秀アクション監督賞)
李忠志(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
元彬, 林峰(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
黃偉亮(救火英雄 『ファイアー・レスキュー』)
甄子丹, 董瑋, 元彬, 嚴華(一個人的武林)
桑林(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳原創電影音樂(最優秀オリジナル映画音楽賞)
王希文, 羅恩妮, 聶琳(十二夜)
川井憲次(狄仁傑之神都龍王 『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』)
陳其鋼(歸來)
王宗賢, 董冬冬, 姜勇軍(無人區 『無人区』)
何E澍(東北偏北 『北北東』)

●最佳原創電影歌曲(最優秀映画主題歌賞)
心照一生(詞:RubberBand, Tim Lui 曲:RubberBand 唱:RubberBand 掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
目的地(詞:黃偉文 曲:蔡コ才@人山人海, 黃耀明@人山人海 唱:黃耀明 香港仔)
小鳥先生(詞:馬志翔 曲:舒米恩.魯碧 唱:演員合唱 KANO 『KANO 1931海の向こうの甲子園』)
愛是凝望又離開(詞:娃娃 曲:陶 唱:陶普@寒蟬效應)
平凡之路(詞:朴樹, 韓寒 曲:朴樹 唱:朴樹 後會無期)

Sumingそしてデビッド・タオの名前が。

●最佳剪輯(最優秀編集賞)
邱志偉 (H.K.S.E.) (掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
楊紅雨(白日焰火 『薄氷の殺人』)
杜媛(無人區 『無人区』)
孔勁蕾, 朱琳(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
朱利贇, 屠亦然(綉春刀 『ブラザーフッド ―繍春刀―』)

●最佳音效(最優秀音響効果賞)
曾景祥, 姚俊軒, 鄒玉麟(掃毒 『 レクイエム 最後の銃弾』)
陶經(歸來)
富康(闖入者)
富康(推拿 『ブラインド・マッサージ』)
杜篤之, 湯湘竹(軍中樂園)

●年度台灣傑出電影工作者(最優秀台湾映画人賞)
黃志明

『セデック・バレ』のプロデューサー。

●終身成就獎(生涯活躍賞)
田豐

《童年往事》の阿孝の父親役をはじめ、多数の作品に出演した大ベテラン俳優。



台湾関係では、『KANO』と《軍中樂園》が6部門でノミネートされたのが最多。気になる部門は多々ありますが、個人的に気になるのは「最優秀新人賞」のゆくえ。それにしても《行動代號:孫中山》を日本で観る機会はないのだろうか…。

最後に動画を一つだけ。最優秀短編映画賞でノミネートされている、《四十三階》(Stairway)の予告編です。この作品、実は今年の釜山国際映画祭で、最優秀短編映画に贈られるソンジェ賞に、韓国作品とともに選ばれています(中央社の記事)。釜山に続き、華やかな受賞実績を重ねるのか注目です。監督の吳中天(マット・ウー、wikipedia)は、これが初監督作品。彼は俳優として、東京国際映画祭で上映された『運命の死化粧師(命運化妝師)』『Together(甜‧祕密)』などにも出演していましたが、数々のドラマでの出演の方が記憶に残っている人が多いかも。

毎年の夫の墓参りのためには、43段の階段を上らねばならない。年々体力の衰えを感じる高齢の女性が、孫の少年とともに階段を上る練習を始める…。



posted by 研究員B at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする