2015年05月06日

『ピース!時空を越える想い(大稻埕)』その2

シネマート六本木で開催中の「台湾シネマ・コレクション2015」で上映された新作の1本、《大稻埕》『ピース! 時空を越える想い』「その1」のレビューに続き、今回は「その2」。

「その1」でも書いたように、この作品は1920年代に主人公がタイムスリップする話ですが、1920年代の台湾の歴史的な事件が、映画の中にも盛り込まれています。必ずしも厳密な歴史考証がなされているわけではなさそうですが、多少知っておいた方が理解しやすい(でも日本でよく知られているとはいえない)点もあります。というわけで、思い浮かんだものをいくつかここで紹介しておきます。詳しい方、間違いなどあったらご指摘を!


●治安警察法違反事件治警事件,1923年12月16日:中文wikipedia

日本統治時代の台湾で、台湾議会の設置を要望する社会運動家らが逮捕、起訴された事件。治安警察法(日本語wikipedia)は1922年から台湾でも施行されていて、この法律への違反ということが逮捕理由とされた。ちょうどこの1920年代はじめは、台湾議会設置運動(日本語wikipedia)が実質的に始まった時期でした。

蔣渭水(1891-1931,中文wikipedia日本語wikipedia

映画でも重要な登場人物だった蔣渭水は、この時代の台湾議会設置運動の主要な担い手の一人。台湾文化協会(日本語wikipedia)を設立(1921年の設立大会は、大稻埕の現・静修女中で開催)。上記の治警事件で逮捕され、禁固4ヶ月の判決を受けています。もともと医者であり、大稻埕で開業していました(映画でも病気の人の治療をするシーンがありました)。2010年に彼が描かれた記念通貨「蔣渭水先生紀念流通幣」が作られています(このコインも映画に出てきました)。台北市大同區錦西街には「蔣渭水紀念公園」があり、銅像や記念碑もあるとか(臺北旅遊網)。現在開館準備が進められている「臺灣新文化運動紀念館」のオープンが期待されます。

東宮行啟(1923年,中文wikipedia

当時の皇太子(後の昭和天皇)が1923年に台湾を訪れたことを「東宮行啟」と呼ぶそうです。台湾各地に12日間滞在したそうで、このこともまた映画に描かれています(大稻埕に実際に訪れたのかどうかは、ざっと調べただけではわかりませんでした)。

江山樓中文wikipedia台北ナビ

この時代の大稻埕に実在した、「飲食とエンターテインメントを提供する店」として有名な店。台北ナビには「高級官僚や風流名士が集った大酒樓(台湾風料亭のようなものでしょうか)」とあります。ここも映画に登場していました。実はちょうど現在、台北で「詠江山樓特展」が開催されています(6/21まで)。詳細は上の台北ナビのリンク、またはフォーカス台湾の記事を。映画の中で、簡嫚書が演じた阿蕊は、この江山樓の「藝旦」(歌い手・芸妓)という設定でした。

郭雪湖「南街殷賑」臺北市立美術館

タイムスリップの「ドア」にあたる絵画(1930年)。大稻埕の霞海城隍廟口のにぎわいの様子を描いた作品です。これを描いた郭雪湖(1908-2012,wikipedia)自身も大稻埕の出身。

陳進「手風琴」臺北市立美術館

手風琴(アコーディオン)を弾く女性を描いた、1935年の絵画。映画の中では、阿蕊がこの絵と同じ服で現代の台北の街を訪れていました。陳進(1907-1998,wikipedia)は、直接大稻埕とは縁がない人だった気が…。

阿蕊が歌う「丟丟銅仔」

映画の中で、日本の警察が劇場に入ってきて、台湾語の舞台は禁止だとして、上演の中止を求めるシーンがあります。そのとき、阿蕊が立ち上がって一人で歌を歌い始めると、やがて劇場内の人たちが一緒に歌うようになり、その歌声に日本の警察の面々が気圧されてしまい、結局出て行ってしまう、という展開でした。


このページ掲載の画像)

このとき、阿蕊が歌っていた歌は「丟丟銅仔」。この歌、台湾の人なら誰でも知っている(?)、身近な歌(民謡・童謡)です。この歌については、かなり前にエントリを書いているので、ご関心があればそちらもどうぞ(宜蘭民謠らしいのですが、wikipediaの記載によれば、これを歌った阿蕊は宜蘭出身という設定みたいです)。

しかし、なぜこの場面でこの歌を?ということですが、実は1943年に、この歌がある舞台で歌われたことに対して、日本政府による「台灣民謠只准演奏、不准演唱」という規定に反したとして、その後歌うことが禁止されたという事実があります(参照:「丟丟銅仔」のwikipedia)。映画の舞台である1920年代とは時期が異なりますが、その歴史的事実があったことをふまえて、このシーンで「丟丟銅仔」を歌うという脚色がなされたのでしょう。


以上、とっても断片的ですが、映画の背景について理解の助けになる(かもしれない?)雑情報でした。何かの参考になればいいのですが。

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2015年05月04日

『ピース!時空を越える想い』(大稻埕)その1

シネマート六本木で開催中の「台湾シネマ・コレクション2015」では、新作が4本上映されました。今回はそのうちの1本、《大稻埕》『ピース! 時空を越える想い』の、研究員Bによるレビューです。

まずは基本情報を:

『ピース! 時空を越える想い(大稻埕)』
導演 / 葉天倫
演員 / 謝友偵 (豬哥亮)、王宥勝 (宥勝)、簡嫚書、隋棠、李李仁、楊烈、李易、吳朋奉、葛西健二、鍾欣凌、吳素珠 (素珠)、趙正平、王彩樺、陳竹昇、蔡君茹 (六月)
wikipedia(中文)Facebook公式ブログ臺灣電影後浪潮

次に予告編を。



おもしろく、また興味深い映画でした。台湾の人が台湾の人のためにつくったエンタメ作品。もっとドタバタなのかと(勝手に)予想していましたが、力技ながらも意外にまとまりのある作品でした。

いや、一方でかなりあれこれ盛り込みすぎなくらいだったのも確かで、およそまとまっているとは言いがたい面もあります(笑)。ただ、作品に込められた基本的な思いはシンプルかつストレートなもので、その意味ですっきりした作品だったと思います。

この『ピース! 時空を越える想い』は、2014年の台湾の「旧正月映画」として製作されたものです。お正月だし、笑いに満ちて、ちょっとホロリとさせつつ、多くの人が楽しめるようなエンタメ作品であることがまず求められるわけですが、そこで起用されたメインキャストが、豬哥亮wikipedia)。豬哥亮は台湾でとっても有名なコメディアンで、バラエティー番組の司会者としても非常に人気のある人です。あのおかっぱのヘアスタイルや台湾語のトークなど、外からみると今一つ良さがわかりにくいのですが(笑)、彼は前年にも旧正月映画に主演していて(《大尾鱸鰻》、しかもヒットした)、いわば「鉄板」な人選です(ちなみに2015年にも旧正月映画に主演しました:《大囍臨門》)。

というわけで、正月映画だし豬哥亮だし、庶民的で、コテコテで、台湾語も多く、荒唐無稽なところがあっても気にされない(失礼!)、だからこそ台湾ローカル色が強くて日本のオーディエンスにはややピンとこない、そういう作品だろうなあというのが事前の予想。しかし観てみると、確かにそういう面もあるし、ツッコミどころはたくさんあったけど(笑)、でもそれだけにとどまらない、いろんな切り口から楽しめる映画になっていました。びっくりしましたが、いやはやお見事。

映画のオリジナルタイトルの「大稻埕」は、台北のあるエリア(大同區あたり)の地名。歴史のある地名として現在でも使われていますが、住所などに公式に用いられることはなくなっています。観光客にとっては、夏の花火大会(大稻埕煙火節)や、迪化街、霞海城隍廟、大稻埕慈聖宮などがよく知られています。この大稻埕、貿易(特に茶葉の貿易)の拠点となったことを機に、19世紀半ば以降に大きく発展した地域です(映画の中でも茶の売買を営む登場人物が出てきました)。また、日本統治期にかけて、経済・社会の中心地となっただけでなく、文化の中心地にもなったことでも知られています。ただその後は、そうした繁栄とはそれほど縁のない時代を長く送ってきました。

しかしこの大稻埕は、当時のノスタルジックな雰囲気が残る点などが再び注目を集め、近年では新たにユニークな店舗や工房が相次いで進出しています(例えば、台湾観光月刊のこの記事などを参照)。昨年9月には、大稻埕の「葉金塗古宅」(1929年完成)が、歴史的な外観を保持したままスターバックスの新店舗「保安門市」としてリニューアルされています(このツイートこのツイートを参照)。つまり、大稻埕は、「かつて繁栄し、その後その繁栄を失った古い街」であると同時に、「その価値が再び発見されつつある街」でもあり、そうした「リバイバル」の真っ只中にあることと響き合う形で、この映画も製作されたわけです。

そして、こういうかつての歴史的な経緯や事実を、今の台湾社会にとっても意味のあるものとして再発見するというのは、最近の台湾ではあちこちで積極的になされていることですが、映画の世界でも同様で、この『ピース! 時空を越える想い』もまさにそうした試みの一つといえるでしょう。その意味で、映画の大半は1920年代にもかかわらず、今の台湾社会の雰囲気にふれたように感じました。

さて物語です。現代の台北の大学生が1920年代の台北・大稻埕にタイムスリップ。その後いろいろあったが、仲間もでき、思いを寄せる相手もできる。しかし、やがて歴史的事件に巻き込まれていくことに……という物語ですが、突拍子もない設定と、ラブストーリーと、実際の1920年代の出来事をうまく結びつけた、意外に工夫されたプロットでした。

ただ、個人的に印象的だったのは、ラブストーリーの部分などよりは、異なる立場や背景の人たちが、徐々に協力しあい団結を強めていく過程です。大稻埕の街の中での諸対立が、やがて日本への対抗、というか台湾意識の高まりの中で団結に向かっていく展開は、おそらく(当時以上に)今の台湾社会(の多く)のツボなんだろうなあと感じました。その際、ただ団結といっても、変に「みんな同じ」といったことが強調されず、個々の立場や背景の多様さを残したままである点も興味深く、特に、うまくない台湾語を笑われながらも、街で確かな立場を得ている大陸出身の阿純(ソニア・スイ)の存在は注目でした(当時の大稻埕に阿純のような大陸出身者が実際にいたのか気になるところですが、それが事実かどうかはともかく、マンダリンを話す登場人物をこのような形で配置している点は興味深く感じました)。

日本についての描写は、確かに日本の警官たちの横暴さを描き出してはいたものの、映画としてみた場合、基本的に一貫して「引き立て役」という位置づけだったように思いました。これは最近の映画での特徴を共有していて、日本の存在は歴史的事実でありつつも、ストレートにそれへの批判が向けられるというより、ひたすら舞台装置として主人公たちを引き立てるため、(上述の)自分たちの団結を輝かせるために持ち出されるだけ、という感じでした。

というわけで、自分にとっては、映画として素直に楽しむというよりも、今これが台湾の人たちによって製作され、台湾の人たちが観たということ自体がいろいろ面白く、発見もあり、勉強になりました。もちろん、何しろ旧正月映画なので、リラックスして楽しめるのは間違いなし。未見ならぜひ一度どうぞ!

出演者の情報や、その他の雑情報については、「その2」で。

posted by 研究員B at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月21日

台湾シネマ・コレクション2015作品概観・3

「台湾シネマ・コレクション2015」上映作品概観・その3

シネマート六本木で現在開催中の、「台湾シネマ・コレクション2015」。たくさんの映画が上映されますが、その中には、当ブログでレビューを書いているものも結構あります。上映される旧作ラインナップの再確認を兼ねて、過去の当ブログでのレビューをまとめて紹介するエントリのシリーズ、今回は最終回・「その3」。

「台湾シネマ・コレクション2015」では、旧作は5つのグループに分けられています(「台湾発! 青春グラフィティ」「ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界」「みんな大好き? グイ・ルンメイ」「名作コレクション」「台湾シネマ・コレクション2008アンコール」)。この「その3」では、まだ取り上げていなかった「みんな大好き? グイ・ルンメイ」と「名作コレクション」の諸作品を紹介しようと思います。
ちなみに、「その1」はこちら、「その2」はこちらをどうぞ。


【みんな大好き? グイ・ルンメイ】

●『言えない秘密』

ご存じジェイ・チョウの作品ですが、実は未見です。すみません! いやー、なんだか足が向かないまま、現在に至っています…。意外に(失礼)良作という評判も耳にしているのですが。


●『遠い道のり(最遙遠的距離)』
「2008」の紹介ページ中文wikipedia日本語wikipedia

これ、実は「その2」で取り上げた「台湾シネマ・コレクション2008」で上映された作品。グイ・ルンメイ出演ということで、これだけ別のグループに入っています。
「音」への着目など、工夫もあり丁寧に作られた作品だと思うけど、個人的には若干ぼんやり感があり、今ひとつハマれなかった記憶が。ヨーロッパ(ベネチア)で評価されたのはわかる気がするけど。
監督の林靖傑は、短編やドキュメンタリーも撮っている人ですが、この『遠い道のり』以来の久々の長編がこの6月に台湾で公開予定です。題して《愛琳娜》公式ブログ)。『遠い道のり』と全然違う! 「一個火雞圍繞著的女子,以小提琴為武器,化身女俠」って! 陳怡蓉がなんかすごい(笑)。気になります。


●『台北カフェ・ストーリー(第36個故事)』

速報レビュー(研究員B)
速報レビュー(研究員A)
「その1」(研究員Bのレビュー)
「その2」(研究員Aのレビュー)
今でもたまに上映企画がある佳作。深みがある作品とはいえないかもしれないけど、かといって決して浅はかにもならず、表面的になりかねないものを、押し付けがましくなく、おしゃれに、巧みにまとめあげています。とても上手に何かを切り取っていて、よくできた、楽しめる作品です。カフェへの幻想も、そこからの自由も描かれているのがまたよし。まだの方はぜひ一度どうぞ。レビューにも書いたけど、姉妹それぞれの不機嫌な顔がすばらしいです(笑)。


●『GF*BF(女朋友。男朋友)』

「その1」(研究員Bのレビュー)
「その2」(研究員Aのレビュー)
「台南女中の“短パン・アピール”」(研究員Bによる背景ネタ)
トップクオリティの作品であることは、もう本当に文句なし。未見ならぜひ一度ご覧あれ。しかし、初めて観た直後は盛り上がって「その1」のようなレビューを書いた自分も、1年後の一般公開の際にもう一度観て感じたのは、むしろ研究員Aの「その2」のような、「むむむ…」という思いに近いものでした。でもやはり、映画としての力の確かさは間違いなし。2度目に観たときに一番思ったのは、「張書豪がすばらしすぎ。彼が演じていた許神龍のキラキラさは最高」ということ。いやほんとに最高です。


【名作コレクション】

●『花蓮の夏(盛夏光年)』
中文wikipedia日本語wikipedia第16回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭・紹介ページ

タイミングが合わず、実は未見のままになっている作品。CS放送時に録画したけど、できれば劇場でと思って観ないままでいたら、ついに今回チャンスが! 観ます!


●『僕の恋、彼の秘密(十七歲的天空)』
中文wikipedia日本語wikipedia

実はこれも、未見のままになっている作品。今回ぜひ!


●『花様〜たゆたう想い〜』
日本公式サイト

いやあ、これも結局未見なんですよね。どこか不安がぬぐいがたくて…(すみません!)。「その2」で紹介した『Tattoo−刺青』の周美玲(ゼロ・チョウ)監督の作品。


●『光にふれる(逆光飛翔)』

速報レビュー(研究員B)
文句なしの良作。ネタとしては、陳腐さや平板さに陥る危険性がいっぱいあるのに、実にさらりとそうした事態を避けて、少しだけ勇気をもって一歩を踏み出すことを、「説教くさくもならず破綻もせずいやらしくもならず、普遍的で、静かに、でもとても響いてくる」(レビューより)形で描いているのは、本当に見事だと思います。もしも未見ならぜひぜひどうぞ! 予告編(日本版)を貼り付けておきます。




●『恋恋風塵(戀戀風塵)』

侯孝賢監督の名作ですが、今回の企画ではなんとなく浮いている感あり(!)。研究員Aが昔から好きな作品ですが、自分はなかなか機会がなく、ようやく昨年初めて観ることができました。そのときのコメントは:

「『恋恋風塵』観ました。十分の風景の美しさ、饒舌さを排した描かれ方、落ち着いたカメラワークにただただ感心。阿遠も阿雲ももっとしゃべらんかい、という思いがつい湧いてしまうが(笑)、作品としての悠然としたトータルな成り立ち感は相当なものでした。」(twitter

その際に検索して見つけた、おそらく1980年代終わりの日本公開時のものと思われる予告編を貼り付けておきます。なんだか感慨深い。



高画質の方がよければ、デジタルリマスター版のこちらの予告編を:




「台湾シネマ・コレクション2015」で上映される旧作ラインナップは、以上でおしまい。これだけの企画は今後なかなかないと思うので、シネマートさんには感謝しつつ、改めて閉館に悲しさを感じたり…。実際にはごく一部しか観に行けないかもしれないけど、楽しみに足を運ぼうと思います。

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2015年04月19日

台湾シネマ・コレクション2015作品概観・2

「台湾シネマ・コレクション2015」上映作品概観・その2

シネマート六本木で現在開催中の、「台湾シネマ・コレクション2015」。たくさんの映画が上映されますが、その中には、当ブログでレビューを書いているものも結構あります。上映される旧作ラインナップの再確認を兼ねて、過去の当ブログでのレビューをまとめて紹介するエントリのシリーズ、今回は「その2」。

「台湾シネマ・コレクション2015」では、旧作は5つのグループに分けられています(「台湾発! 青春グラフィティ」「ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界」「みんな大好き?グイ・ルンメイ」「名作コレクション」「台湾シネマ・コレクション2008アンコール」)。「その1」では、このうち「台湾発! 青春グラフィティ」「ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界」について取り上げましたが、この「その2」では、「台湾シネマ・コレクション2008アンコール」の諸作品を紹介しようと思います。

今から7年前(もうそんな前!)、シネマート六本木で「台湾シネマ・コレクション2008」という上映企画が行われました。まだ当ブログを始める前でしたが、台湾映画を集中的に観ることができた最初の機会で、おもしろかった作品もそうでなかったものも(!)、個人的にはとても印象に残っています。全部で8作品が上映されましたが、そのうち7本が今回の「2015」でも上映されます。「台湾シネマ・コレクション2008アンコール」には6本が含まれていて(残り1本は別のグループ)、以下順にご紹介。


【台湾シネマ・コレクション2008アンコール】

●『練習曲』
「2008」の紹介ページ中文wikipedia

上述のとおり、当時はまだ当ブログは始めていなかったので、残念ながらレビューはなし。でも文句なしにとっても印象的な作品で、これ以降、台湾を自転車などで一周する「環島」が台湾でブームになったのはよく知られています。めぐり会う人たちが、微妙に個性的でそこもまたよし。単なる台湾一周というだけでない経験として伝わり、じんわりと来るものがあります。お勧め!

主演の東明相は、今回の「2015」で初上映される『EXIT(迴光奏鳴曲)』にも出演しています。『練習曲』は彼の魅力も大きいのですが、細かいサブキャラの面子もなかなか(Saya、K ONEのDarren、吳念真、胡コ夫などなど)。予告編もどうぞ。




●『Tattoo−刺青』
「2008」の紹介ページ中文wikipedia日本語wikipedia

2007年に東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でも上映された作品(紹介ページ)。映像はきれいだし、出演者も華やかだし、921地震という現実の出来事との関連もあったり…でしたが、最終的に物語として特に印象に残るものだったかというと、やや微妙…。でも、楊丞琳(レイニー・ヤン)が歌うテーマソング「小茉莉」(Youtube)は、彼女のいつもの雰囲気と違うテイストの曲で、結構気に入っていました。今回調べてみて、なんと甜梅號のギター昆蟲白や現The Verseの陳建騏が製作に関わっていたと知って、かなりびっくり、そして納得。


●『ウェスト・ゲートNo.6(六號出口)』
「2008」の紹介ページ中文wikipedia

研究員Bのレビュー
映画への評価は上記レビューをご参照。ノリと勢い優先で、正直言って作品としての完成度は高いとはいえない…。でも、こういう(?)エディ・ポンを観られるのは貴重。というか、イーサン・ルアンにせよ張翰にせよ、貴重と言えば貴重かも。あと主題曲は蘇打香u小情歌」。蘇打高ェ今ぐらいにビッグになるとは当時は全然思わなかった…。個人的には、阿霈樂團のライブパフォーマンスが観られる点で貴重な作品。


●『ビバ!監督人生!!(情非得己之生存之道)』
「2008」の紹介ページ公式ブログ

研究員Aのレビュー
これも、映画への評価は上記レビューをご参照。これもなあ、ニウ・チェンザー監督の露悪的な描き方をどこまで許容できるか、でしょうか。うーん。


●『DNAがアイ・ラブ・ユー(基因決定我愛你)』
「2008」の紹介ページ

未見です。「台湾シネマ・コレクション2008」では、タイミング合わずこの作品は見逃してしまいました。なのでコメントなし。李芸嬋(ロビン・リー)監督、実はこれの前の作品の『靴に恋する人魚(人魚朵朵)』も結局未見のままです(むしろこっちを今回上映してほしかったかも)。


●『午後3時の初恋(沉睡的青春)』
「2008」の紹介ページ中文wikipedia

レビューはないけど、実は「台湾シネマ・コレクション2008」で観た中で、当研究所で『練習曲』と並び断然高評価だった作品。平渓線の風景、水と湿度、魅力的な俳優陣(なんといっても張孝全 ジョセフ・チャン!)、時計や診療所など、アイテムや場所がたたえる雰囲気。素材も簡単ではなかったと思うけど、巧みに構成されていて、掘り出し物に出会った気分で、非常に満足度が高かったのを思い出します。本気でお勧め。鄭芬芬監督のその後の作品『聽說』が、今に至るまで未見のままになっていて、残念。どこかで上映しないものか。

というわけで、これも予告編を。




「台湾シネマ・コレクション2015」、2つエントリを書き終えてもまだ上映作品があります。続きは追って!

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2015年04月18日

台湾シネマ・コレクション2015作品概観・1

「台湾シネマ・コレクション2015」上映作品概観・その1

シネマート六本木が6月の閉館を前に、「劇終」と題してさまざまな特集上映企画の実施を発表しています。その中には、本日4月18日から5月8日まで開催される「台湾シネマ・コレクション2015」もあります。シネマート六本木の閉館と「引き換え」という形での企画というのはあまりに残念ですが、台湾映画がまとまって上映されること自体はうれしい限りで、これほどの本数が上映される機会はめったにないのも事実。実際にはそんなにたくさんの本数を観られるわけではないけど(うう)、でも文句なしの注目企画です。

「台湾シネマ・コレクション2015」で上映される作品のうち、旧作の中には、当ブログでレビューを書いているものも結構あります。そこで今回は、開催を機に、旧作ラインナップの再確認を兼ねて、過去の当ブログでのレビューをまとめて紹介しようと思います。

「台湾シネマ・コレクション2015」では、旧作は「台湾発! 青春グラフィティ」「ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界」「みんな大好き?グイ・ルンメイ」「名作コレクション」「台湾シネマ・コレクション2008アンコール」という5つのグループに便宜上(?)分けられていますが、今回はまず、そのうちの「台湾発! 青春グラフィティ」「ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界」について。


【台湾発! 青春グラフィティ】

●『九月に降る風』

「その1」(研究員Bのレビュー)
「その2」(研究員Aのレビュー)
これ、お勧めです! 非常に「残酷」(研究員Aの言葉)かもしれないけど、でも非常に魅力的な作品。まだの方は、この機会にぜひ。予告編も貼っちゃいます。




●『モンガに散る』

「その1」(研究員Bのレビュー)
「その2」(研究員Aのレビュー)
「その3」(小ネタ情報各種)
「その4」(研究員A(の友人Yさん)によるツッコミ各種)
まともに観ると、研究員A・Bともに評価は高くないのだけど(!)、でもエンタメ的なネタは盛りだくさんの、どこか憎めない(?)作品。未見なら一度はどうぞ。


●『あの頃、君を追いかけた』

「その1」(研究員Aのレビュー)
「その2」(研究員Bのレビュー)
「その3」(予告編などの雑情報)
「その4」(主要登場人物についての情報、本物の「沈佳宜」)
「その5」(脇役・彰化・エアサプライなど雑情報)
今見ると、こんなにエントリを書いていたのか(笑)と思うけど、これもまた憎めない作品。自分たちはハマりきれなかったけど、でも熱狂を生んだのは納得できる、そしてやはり画期的だった作品。これも未見ならぜひ一度。


【ウェイ・ダーション(魏徳聖)の世界】

●『海角七号 君想う、国境の南』

「その1」(研究員Bのレビュー)
「その2」(研究員Aのレビュー)
ツッコミどころの多さでは史上最強レベル、映画としてはまさに「難あり」(研究員A)。でもでも、実はAもBも複数回観てしまった作品。「疲れた時に、励まされたい時に、頭を空っぽにしたい時に、ぜひどうぞ」(研究員A)。


●『セデック・バレ 第一部:太陽旗/第二部:虹の橋』

「第一部:太陽旗」(研究員Bのレビュー)
「第二部:虹の橋」(研究員Bのレビュー)
娯楽大作。でも正直言って、自分(研究員B)にとってはあまりフィットしない作品でした…。今回は上映されないけど、ドキュメンタリー『セデック・バレの真実(餘生 賽コ克.巴萊)』は強力にお勧めなんですが。


●『KANO〜1931海の向こうの甲子園〜』

「植民地台湾という観点から『KANO』を考えてみた その1」(研究員A)
「植民地台湾という観点から『KANO』を考えてみた その2」(研究員A)
「その3」(研究員Bのレビュー)
「爽やか感動青春物語を支える植民地という現実。このギャップを知ってこそ感動できる面と、逆に感動できなくなる面がある」、という研究員Aの「その1」「その2」は、映画を観た方はぜひどうぞ。自分(研究員B)にとっては、楽しめたけどこれまたハマりきれませんでした…。


「台湾シネマ・コレクション2015」、まだまだ上映作品がありますが、他の作品についてはまた別のエントリで!


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