2015年09月16日

『黒衣の刺客』を観てきた!

侯孝賢監督最新作『黒衣の刺客』(《刺客聶隱娘》、日本公式サイト)を観てきた! 面白かった! 美しかった! 楽しめた!!

カンヌで監督賞とった作品だし、分かりにくいんじゃないのー。難しいんじゃないのー。と思ってるそこのあなた。もったいない! とりあえず観なさい。(そんなに)難しくないから。分かりやすく…はないけど、とりあえずかっこいいし、きれいだから、それをうっとり観ればいいから。つべこべ言わず、観に行こう〜。

と人をたきつけた後に、以下、自分の感想。ネタバレありますので、ぜひ観てから読んでください。

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2015年06月07日

『あなたなしでは生きていけない 不能沒有你』

『あなたなしでは生きていけない(不能沒有你)』

いよいよ閉館が迫ったシネマート六本木、最後の上映企画の1本として、台湾映画『あなたなしでは生きていけない(不能沒有你)』が上映されました。2009年にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映されていますが(あとアジアフォーカス・福岡国際映画祭やみんぱくでも上映された気が)、その時は観られなかったので、今回ついに!(研究員B一人だけですが)観てきました。

まずは基本情報を:

『あなたなしでは生きていけない(不能沒有你)』
導演 / 戴立忍
演員 / 陳文彬、趙祐萱、林志儒
wikipedia(中文)臺灣電影後浪潮

予告編はこちら。もしかしたら、若干ネタバレ感あるかな? 未見の方はご注意を。




社会の不公平さの批判と、父子愛の物語。この作品、まとめてしまうとそうなのだけど、そういう単純なまとめ方をすると抜け落ちてしまうような、シンプルさと冷静さと説得力に満ちた、淡々としつつも揺さぶられる、力強い作品でした。地味ではありますが、多くの人に観てもらいたい、本当に印象的な映画です。

後になって思ったのは、この作品の目線が非常に「客観的」だということです。社会の不公平さや不条理を批判するニュアンスを見出すこともできるかもしれないけど、そこにいわば没入しているというか、批判者の目線で描かれているかというとそうではありません。また、父と子の思いと絆も丁寧に描かれているのだけど、その描き方も淡々としたものです。特定の登場人物の視線に同一化することなく描ききっているという意味で、とても「客観的」だと感じました。

そして、客観的な描き方がなされているからこそ、特定の誰か“わるいやつ”の悪意でこういう事態が招かれたというのではなく、それなりに合理的な仕組みの中で引き起こされてしまっていることがリアルに伝わり、それゆえに問題の根深さや、主人公の壁にぶつかった思いも一層切実に感じられました。また、父と娘の思いも、ことさらにその思いや絆の強さにクローズアップするのではなく、海の中を見つめる子どもの姿や、台北から戻る道中で果物をとるシーンなどを重ねることで、客観的な説得力を積み上げていて、それがまた困難の重みとしんどさを確かに伝えることにつながっていました。

とまあ、後からならこういう風に語れるけど、観ている最中は、メイ(妹仔)が所長(8歳)と年が近いこともあり、うるうるして全然冷静に観られませんでした…(涙)。でも、なんというか、いわゆるお涙頂戴的な作品ではないんですよね。とても落ち着いた、丁寧に描かれた作品で、実に見事だと思いました。金馬獎をはじめ、多くの賞を受賞したのは納得です。


この作品、監督はレオン・ダイ戴立忍中文wikipedia日本語wikipedia)。ご本人は出演していませんでしたが、この力量は本当に見事でした。

父親・ウーシュン(李武雄)を演じていたのは陳文彬wikipedia)。社会運動家でありつつ映画監督でも俳優でもあるこの人、数多くの作品に関わったキャリアがあります。

娘・メイ(妹仔)を演じていたのは趙祐萱。お母さんが雲門舞集(クラウドゲイト・ダンスシアター)のダンサーなんだとか(蘋果日報「《不能沒有你》趙祐萱 媽媽是雲門舞者」)。とても印象的な、存在感のある演技でしたが、その後映画などに出演した様子がみつからない…。

修理屋の財哥を演じたのは林志儒。俳優よりは監督として仕事をされている方のようで、客家電視台のドラマをいくつか監督しているほか、白色テロの時代に日本人を匿うことを描いた映画《牆之魘》を監督していたりします。俳優としては、TIFFなどで上映された『Together(甜‧祕密)』に出演していたみたいだけど、何の役だったかわからず…。『KANO』にもちらっと出演した、かも?


『あなたなしでは生きていけない(不能沒有你)』、上映は6/12(金)までです。未見の方、タイミングがあえばぜひ!

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posted by 研究員B at 01:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月07日

『ピース!時空を越える想い(大稻埕)』その3

残念ながら5/8で終了してしまう、シネマート六本木の「台湾シネマ・コレクション2015」。今回も引き続き《大稻埕》『ピース! 時空を越える想い』について。「その1」(レビュー)、「その2」(歴史関係の雑情報)に続き、今回は「その3」として、出演者の情報と挿入歌について書こうと思います。
(本当は、映画愛に満ちてとってもおもしろかった『おばあちゃんの夢中恋人』や、独特のインパクトがあった高クオリティ作の『EXIT エグジット』も、(まだ上映機会があるうちに)ぜひ取り上げたいのだけど…)

さて、まず出演者について。
この作品の出演者は非常にたくさんいますが、とりあえず主要な登場人物を中心に。

●朱正コ(大学教授)/豬頭師を演じていたのは、豬哥亮wikipedia)。台湾中高年層に本当に人気の、おかっぱ頭の彼。実は「姊姊」の謝金燕の父でもあります。

●大学生の陳佑熙/YO-SHIを演じていたのは宥勝。彼については説明不要ですかね。《犀利人妻》でも共演した隋棠と、まさか親子関係になるとは(!)。

●阿蕊を演じていたのは、簡嫚書。ドラマ『あの日を乗り越えて(那年,雨不停國)』『シュガーケーキガーデン(翻糖花園)』、そして映画『狼が羊に恋をするとき(南方小羊牧場)』などに出演した彼女、今回はまた違った雰囲気の役でした。着実に幅を広げている感あり。

●阿純を演じていたのは、隋棠(ソニア・スイ)。阿純の最初の登場シーンは決まっていて格好良かった! ソニアさん、ああいうコスプレ感がある方がハマる気がしなくもない。

●蔣渭水を演じていたのは、李李仁wikipedia)。多くの作品に出演している人ですが、個人的にはどうしても陶晶瑩の夫というのが一番に浮かぶ。

●茶行の主人役は楊烈、その息子は李易。楊烈はベテランの歌手で、ドラマの出演も多数。妻は日本の方です。李易はコテコテ系のドラマによく出ている印象がある俳優。妻の六月もこの映画に出演していました(阿純の店の客)。

●アヘンの売人役だったのは吳朋奉。この人も多くの作品に出演していますが、思い浮かぶのはドラマ『あの日を乗り越えて(那年,雨不停國)』や映画『父の初七日(父後七日)』。日本の警部・黒崎を演じていたのは葛西健二。『セデック・バレ』など、台湾の作品に多数出演。

●阿純の店に来ていた客で、常に何か食べている(!)女性は鍾欣凌。いろんなドラマでお姿を見ますが、「台湾シネマ・コレクション」上映作品では『午後3時の初恋(沉睡的青春)』にもシリアスな雰囲気で出ていました。

他にもたくさん出演者がいますが、映画の中文wikipediaに充実したリストがあるので、そちらをご参照あれ。そういえば、序盤のタイムスリップ前の大学でのシーン、ジェイ・チョウと結婚した昆凌も出ていました。


次に、音楽について。いくつか動画を貼り付けておきます。
まず、映画の中で使われた歌で華やかな印象を与えるのは、PopuLadyの宇珊が歌う「向前走 (穿越復古版) 」。アレンジも悪くないです。



それとぜひ聴き比べてほしいのは、同じ「向前走」の、独特の味わいに満ちたこのヴァージョン。林宥嘉です。



最後に、映画の片尾曲「青春是」。S.H.EのSelinaが歌っています。




あれこれ書いてきましたが、日本で上映されることはないだろうと思っていたこの映画が、日本で楽しく観ることができたことはうれしい限り。難しいとは思うけど、今後も日本各地でまた上映される機会があることを祈ります!


posted by 研究員B at 00:27 | Comment(3) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月06日

『ピース!時空を越える想い(大稻埕)』その2

シネマート六本木で開催中の「台湾シネマ・コレクション2015」で上映された新作の1本、《大稻埕》『ピース! 時空を越える想い』「その1」のレビューに続き、今回は「その2」。

「その1」でも書いたように、この作品は1920年代に主人公がタイムスリップする話ですが、1920年代の台湾の歴史的な事件が、映画の中にも盛り込まれています。必ずしも厳密な歴史考証がなされているわけではなさそうですが、多少知っておいた方が理解しやすい(でも日本でよく知られているとはいえない)点もあります。というわけで、思い浮かんだものをいくつかここで紹介しておきます。詳しい方、間違いなどあったらご指摘を!


●治安警察法違反事件治警事件,1923年12月16日:中文wikipedia

日本統治時代の台湾で、台湾議会の設置を要望する社会運動家らが逮捕、起訴された事件。治安警察法(日本語wikipedia)は1922年から台湾でも施行されていて、この法律への違反ということが逮捕理由とされた。ちょうどこの1920年代はじめは、台湾議会設置運動(日本語wikipedia)が実質的に始まった時期でした。

蔣渭水(1891-1931,中文wikipedia日本語wikipedia

映画でも重要な登場人物だった蔣渭水は、この時代の台湾議会設置運動の主要な担い手の一人。台湾文化協会(日本語wikipedia)を設立(1921年の設立大会は、大稻埕の現・静修女中で開催)。上記の治警事件で逮捕され、禁固4ヶ月の判決を受けています。もともと医者であり、大稻埕で開業していました(映画でも病気の人の治療をするシーンがありました)。2010年に彼が描かれた記念通貨「蔣渭水先生紀念流通幣」が作られています(このコインも映画に出てきました)。台北市大同區錦西街には「蔣渭水紀念公園」があり、銅像や記念碑もあるとか(臺北旅遊網)。現在開館準備が進められている「臺灣新文化運動紀念館」のオープンが期待されます。

東宮行啟(1923年,中文wikipedia

当時の皇太子(後の昭和天皇)が1923年に台湾を訪れたことを「東宮行啟」と呼ぶそうです。台湾各地に12日間滞在したそうで、このこともまた映画に描かれています(大稻埕に実際に訪れたのかどうかは、ざっと調べただけではわかりませんでした)。

江山樓中文wikipedia台北ナビ

この時代の大稻埕に実在した、「飲食とエンターテインメントを提供する店」として有名な店。台北ナビには「高級官僚や風流名士が集った大酒樓(台湾風料亭のようなものでしょうか)」とあります。ここも映画に登場していました。実はちょうど現在、台北で「詠江山樓特展」が開催されています(6/21まで)。詳細は上の台北ナビのリンク、またはフォーカス台湾の記事を。映画の中で、簡嫚書が演じた阿蕊は、この江山樓の「藝旦」(歌い手・芸妓)という設定でした。

郭雪湖「南街殷賑」臺北市立美術館

タイムスリップの「ドア」にあたる絵画(1930年)。大稻埕の霞海城隍廟口のにぎわいの様子を描いた作品です。これを描いた郭雪湖(1908-2012,wikipedia)自身も大稻埕の出身。

陳進「手風琴」臺北市立美術館

手風琴(アコーディオン)を弾く女性を描いた、1935年の絵画。映画の中では、阿蕊がこの絵と同じ服で現代の台北の街を訪れていました。陳進(1907-1998,wikipedia)は、直接大稻埕とは縁がない人だった気が…。

阿蕊が歌う「丟丟銅仔」

映画の中で、日本の警察が劇場に入ってきて、台湾語の舞台は禁止だとして、上演の中止を求めるシーンがあります。そのとき、阿蕊が立ち上がって一人で歌を歌い始めると、やがて劇場内の人たちが一緒に歌うようになり、その歌声に日本の警察の面々が気圧されてしまい、結局出て行ってしまう、という展開でした。


このページ掲載の画像)

このとき、阿蕊が歌っていた歌は「丟丟銅仔」。この歌、台湾の人なら誰でも知っている(?)、身近な歌(民謡・童謡)です。この歌については、かなり前にエントリを書いているので、ご関心があればそちらもどうぞ(宜蘭民謠らしいのですが、wikipediaの記載によれば、これを歌った阿蕊は宜蘭出身という設定みたいです)。

しかし、なぜこの場面でこの歌を?ということですが、実は1943年に、この歌がある舞台で歌われたことに対して、日本政府による「台灣民謠只准演奏、不准演唱」という規定に反したとして、その後歌うことが禁止されたという事実があります(参照:「丟丟銅仔」のwikipedia)。映画の舞台である1920年代とは時期が異なりますが、その歴史的事実があったことをふまえて、このシーンで「丟丟銅仔」を歌うという脚色がなされたのでしょう。


以上、とっても断片的ですが、映画の背景について理解の助けになる(かもしれない?)雑情報でした。何かの参考になればいいのですが。

posted by 研究員B at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月04日

『ピース!時空を越える想い』(大稻埕)その1

シネマート六本木で開催中の「台湾シネマ・コレクション2015」では、新作が4本上映されました。今回はそのうちの1本、《大稻埕》『ピース! 時空を越える想い』の、研究員Bによるレビューです。

まずは基本情報を:

『ピース! 時空を越える想い(大稻埕)』
導演 / 葉天倫
演員 / 謝友偵 (豬哥亮)、王宥勝 (宥勝)、簡嫚書、隋棠、李李仁、楊烈、李易、吳朋奉、葛西健二、鍾欣凌、吳素珠 (素珠)、趙正平、王彩樺、陳竹昇、蔡君茹 (六月)
wikipedia(中文)Facebook公式ブログ臺灣電影後浪潮

次に予告編を。



おもしろく、また興味深い映画でした。台湾の人が台湾の人のためにつくったエンタメ作品。もっとドタバタなのかと(勝手に)予想していましたが、力技ながらも意外にまとまりのある作品でした。

いや、一方でかなりあれこれ盛り込みすぎなくらいだったのも確かで、およそまとまっているとは言いがたい面もあります(笑)。ただ、作品に込められた基本的な思いはシンプルかつストレートなもので、その意味ですっきりした作品だったと思います。

この『ピース! 時空を越える想い』は、2014年の台湾の「旧正月映画」として製作されたものです。お正月だし、笑いに満ちて、ちょっとホロリとさせつつ、多くの人が楽しめるようなエンタメ作品であることがまず求められるわけですが、そこで起用されたメインキャストが、豬哥亮wikipedia)。豬哥亮は台湾でとっても有名なコメディアンで、バラエティー番組の司会者としても非常に人気のある人です。あのおかっぱのヘアスタイルや台湾語のトークなど、外からみると今一つ良さがわかりにくいのですが(笑)、彼は前年にも旧正月映画に主演していて(《大尾鱸鰻》、しかもヒットした)、いわば「鉄板」な人選です(ちなみに2015年にも旧正月映画に主演しました:《大囍臨門》)。

というわけで、正月映画だし豬哥亮だし、庶民的で、コテコテで、台湾語も多く、荒唐無稽なところがあっても気にされない(失礼!)、だからこそ台湾ローカル色が強くて日本のオーディエンスにはややピンとこない、そういう作品だろうなあというのが事前の予想。しかし観てみると、確かにそういう面もあるし、ツッコミどころはたくさんあったけど(笑)、でもそれだけにとどまらない、いろんな切り口から楽しめる映画になっていました。びっくりしましたが、いやはやお見事。

映画のオリジナルタイトルの「大稻埕」は、台北のあるエリア(大同區あたり)の地名。歴史のある地名として現在でも使われていますが、住所などに公式に用いられることはなくなっています。観光客にとっては、夏の花火大会(大稻埕煙火節)や、迪化街、霞海城隍廟、大稻埕慈聖宮などがよく知られています。この大稻埕、貿易(特に茶葉の貿易)の拠点となったことを機に、19世紀半ば以降に大きく発展した地域です(映画の中でも茶の売買を営む登場人物が出てきました)。また、日本統治期にかけて、経済・社会の中心地となっただけでなく、文化の中心地にもなったことでも知られています。ただその後は、そうした繁栄とはそれほど縁のない時代を長く送ってきました。

しかしこの大稻埕は、当時のノスタルジックな雰囲気が残る点などが再び注目を集め、近年では新たにユニークな店舗や工房が相次いで進出しています(例えば、台湾観光月刊のこの記事などを参照)。昨年9月には、大稻埕の「葉金塗古宅」(1929年完成)が、歴史的な外観を保持したままスターバックスの新店舗「保安門市」としてリニューアルされています(このツイートこのツイートを参照)。つまり、大稻埕は、「かつて繁栄し、その後その繁栄を失った古い街」であると同時に、「その価値が再び発見されつつある街」でもあり、そうした「リバイバル」の真っ只中にあることと響き合う形で、この映画も製作されたわけです。

そして、こういうかつての歴史的な経緯や事実を、今の台湾社会にとっても意味のあるものとして再発見するというのは、最近の台湾ではあちこちで積極的になされていることですが、映画の世界でも同様で、この『ピース! 時空を越える想い』もまさにそうした試みの一つといえるでしょう。その意味で、映画の大半は1920年代にもかかわらず、今の台湾社会の雰囲気にふれたように感じました。

さて物語です。現代の台北の大学生が1920年代の台北・大稻埕にタイムスリップ。その後いろいろあったが、仲間もでき、思いを寄せる相手もできる。しかし、やがて歴史的事件に巻き込まれていくことに……という物語ですが、突拍子もない設定と、ラブストーリーと、実際の1920年代の出来事をうまく結びつけた、意外に工夫されたプロットでした。

ただ、個人的に印象的だったのは、ラブストーリーの部分などよりは、異なる立場や背景の人たちが、徐々に協力しあい団結を強めていく過程です。大稻埕の街の中での諸対立が、やがて日本への対抗、というか台湾意識の高まりの中で団結に向かっていく展開は、おそらく(当時以上に)今の台湾社会(の多く)のツボなんだろうなあと感じました。その際、ただ団結といっても、変に「みんな同じ」といったことが強調されず、個々の立場や背景の多様さを残したままである点も興味深く、特に、うまくない台湾語を笑われながらも、街で確かな立場を得ている大陸出身の阿純(ソニア・スイ)の存在は注目でした(当時の大稻埕に阿純のような大陸出身者が実際にいたのか気になるところですが、それが事実かどうかはともかく、マンダリンを話す登場人物をこのような形で配置している点は興味深く感じました)。

日本についての描写は、確かに日本の警官たちの横暴さを描き出してはいたものの、映画としてみた場合、基本的に一貫して「引き立て役」という位置づけだったように思いました。これは最近の映画での特徴を共有していて、日本の存在は歴史的事実でありつつも、ストレートにそれへの批判が向けられるというより、ひたすら舞台装置として主人公たちを引き立てるため、(上述の)自分たちの団結を輝かせるために持ち出されるだけ、という感じでした。

というわけで、自分にとっては、映画として素直に楽しむというよりも、今これが台湾の人たちによって製作され、台湾の人たちが観たということ自体がいろいろ面白く、発見もあり、勉強になりました。もちろん、何しろ旧正月映画なので、リラックスして楽しめるのは間違いなし。未見ならぜひ一度どうぞ!

出演者の情報や、その他の雑情報については、「その2」で。

posted by 研究員B at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする