2017年12月07日

KAO!INC.のアーティストに質問!(3)李英宏 aka DJ Didilong

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

第1回(蛋堡)第2回(國蛋)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第3回の今回は、李英宏 aka DJ DidilongFacebook)。みなさん来ましたよ、李英宏の番ですよ!

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※左が李英宏、右は蛋堡


李英宏は台北出身のシンガー/ラッパー/DJ。かつてラップ/ヒップホップのグループ大囍門(懐かしい!)の一員としてデビューしたときは、まだ17歳だったとのこと。しかし早々に音楽シーンから離れ、台灣藝術大學廣電系に入学・卒業。まったく音楽と関係のない仕事をしたこともありましたが、やがてKAO!INC.に加わることになりました。ただKAO!INC.での彼の仕事は、MVなど映像制作に関わるものであり、決して自ら音楽をつくる立場ではありませんでした(実際、つい数年前のKAO!INC.関連のMVにも、制作スタッフのクレジットの中に李英宏の名前をしばしば見つけることができます)。
ある日、李英宏はKAO!INC.のトップである迪拉(DELA)に、自分もアルバムをリリースしたいと言ったそうです。2015年にFinger Drummingの大会に参加して敗退した経験などから、一層音楽への思いは強まり、基礎から音楽を学んでいったとのこと。

そして2016年についにソロアルバム《台北直直撞》をリリース。台湾語をメインにした歌とラップは大いに注目されヒットし、翌年の金曲獎で、李英宏は最佳台語專輯獎と最佳台語男歌手獎の2部門で、伍佰らと並んで堂々とノミネートされるに至りました。

なんといっても、インパクトを与えたのはアルバムのタイトルチューン「台北直直撞」でしょう。必ずしも全体に占める台湾語の比重は大きくないのですが、要所要所の台湾語の響きが耳に残ります。このMV、台北という都市の描き方の一つとしても興味深いと思います。

李英宏 aka DJ Didilong 「台北直直撞」


もう一曲、これは蛋堡とのコラボ。これは台湾語が全面的に用いられていて、なかなか印象的です。旺福の小民がギターで参加していて、いい感じで効いています。MVには紀培慧(映画「九月に降る風」「南風」、來吧!焙焙!のMV〈全世界我最喜歡你〉など)が出演しています。

李英宏 aka DJ Didilong 「什麼時候她」 feat. 蛋堡 Soft Lipa


でも李英宏には、次に挙げるこんな曲もあるのです。台北の街の中で見かけた犬をめぐって、ピアノだけで歌い上げるこの曲からは、台湾語の味わいが一層強く伝わり、ヒップホップだけでない彼の引き出しの多さを感じさせます。

李英宏 aka DJ Didilong 「一隻狗仔」


一気にブレイクした李英宏、他のアーティストのコラボも積極的に行っていますが、音楽活動にとどまらず、映画への出演(連奕g監督の『全ては愛のため(痴情男子漢)』)や、さらには台湾版Marie Claireに登場するなど、どんどん活動の幅を広げつつあり、今後も大変楽しみです。

李英宏には、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは台湾語について。もう一つは、映像を制作する側から、映像を撮られる側に移った経験について。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と李英宏からの回答です。

【Q1】台湾語での歌やラップに取り組んだのは、どういう理由からなのでしょうか? 他の/過去の台湾語での歌手・ラッパーたちとは異なる自分の個性は、どういうところにあると思っていますか?

【A1】自分の慣れ親しんだ言語だから。できるだけ他の人とは違っていたい。

【Q2】映画『全ては愛のため(痴情男子漢)』に出演していますが、顔社に入った最初の頃はMVのディレクターをしていましたよね。映像を作る側から、映像に出演する側に変わるのはどういう気分でしょうか? 映像を作る側だったことが、MVや映画に出演するときに役立つことはあったのでしょうか?

【A2】こんな風に変わるなんて予想していなかった。カメラの前でパフォーマンスするのは、やっぱりちょっと恥ずかしいね。あと、物を運んだりする必要はなくなったな。
もちろん、すごく役に立っている。制作チームの仕事現場にすぐ入っていける。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南はとてもいいと思う。歴史があるし、どこに行っても美味しい台湾料理がある!

台湾語についてはシンプルな回答でした。個人的な印象では、台湾語へのこだわりゆえに台湾語で歌う・ラップをする、というだけでない、彼なりの音楽的な理由もあるような気がしますが、どうでしょう。
二つ目の質問については、堂々とふるまっているようにも思ったのですが、やはり戸惑いはあったようです。「物を運んだりする必要はなくなった」というのは面白いですね!
あと、台南出身ではない李英宏もまた、台南推しでした!

次回はいよいよ最後の、夜貓組(YEEMAO)です!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月06日

KAO!INC.のアーティストに質問!(2)國蛋(GorDoN)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

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蛋堡をとりあげた前回のエントリ(第1回)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第2回の今回は、國蛋GorDoNFacebook)。

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國蛋(GorDoN aka Dr. Paper)は台南出身。高校は台南一中(蛋堡と同じ)、大学は台湾大学化学系と、どちらも名門の学校を卒業しています。また、2011年にはニューヨークに渡り、大学院に留学しています。KAO!INC.には2007年以来所属しており、インディーズシーンで長く支持されてきたラッパーです。蛋堡ほどの広い認知度はまだないかもしれませんが、台湾のヒップホップシーンで重要な存在であり続けているのは間違いないでしょう。

國蛋の特徴は、(十分に中国語を理解できていないことを棚に上げて言うと)リリックがとても都会的で、かつ内省的なところだと思います。オールドスクール風なシンプルなサウンドと相まって、クールな印象を強く与えるのが、國蛋のスタイルだと感じます。このことは、例えば2015年に第六屆金音獎で最佳嘻哈單曲獎を受賞した「Yesterday」でも、より最近に発表された「療程」でも感じられるのではないでしょうか。

國蛋 GorDoN 「Yesterday」


國蛋 GorDoN 「療程 Medical Treatment」


この秋には、排灣族出身の人気女性歌手・戴愛玲が10月にリリースしたアルバム《了不起寂寞》に収録されている曲で、國蛋はゲスト参加してラップを聞かせています。このコラボはなかなか面白い組み合わせで、國蛋のラップを新鮮な形で聴くことができます。

戴愛玲「不如沒問過」


さて、國蛋にはおきらく研からは2つの質問を送りました。一つは、上述した國蛋の都会的・都市的な面について。もう一つは、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と國蛋からの回答です。

【Q1】國蛋のリリックはとても都会的で、都市に生きる人の心情を見事に描いていると思います。この「都市に生きる人の心情」は、どこの都市でも共通していると思いますか、それとも違いがあるでしょうか? 台南、台北、ニューヨーク……それぞれの場所での経験は、リリックにどういう影響を与えているのでしょうか?

【A1】人、温度、言葉、スピードは都市ごとに違う。だから、生活の中で感じることも違うと思うし、それは結局僕の作品に影響を与えている。創作する時は、それぞれの環境で自分が感じたことを書いているだけ。感じたことのある部分は共通していると、後から振り返ってみてやっと気づくんだ。

【Q2】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A2】絶対に台南で鱔魚意麵を食べること!

なるほど、個々の異なる場所で感じたことの共通性は、その時点で気づくものではなく、後から振り返ってみて気づくというのは、わかる気もします。もっとリリックを読み込むことで、さらに発見できることもありそうですね。

あと、蛋堡に続き國蛋も出身地の台南を推していますが、より絞り込んで「鱔魚意麵」とは、実に台南出身者らしいチョイスです! 「鱔魚」とは田ウナギのことで、鱔魚意麵は台南ローカルの小吃の典型的なものの一つです。実は、國蛋の音楽を聴いてもまったく台南のイメージはなかったので、都市に生きる人の心情を描く國蛋が鱔魚意麵というコテコテなものを挙げるというのは、なんだか新鮮でした!

次回は、李英宏 aka DJ Didilongです! お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月05日

KAO!INC.のアーティストに質問!(1)蛋堡(Soft Lipa)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

台湾のミュージックシーンに関心がある人なら、ヒップホップについて詳しくなくても、KAO!INC.(顏社)について聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。KAO!INC.について、クリエイティブマンのページでの紹介を引用しておくと:「2005年7月に設立。台湾の伝説的HIPHOPレーベル。台湾ラップ・HIPHOPの発展において重要な役割を果たす。代表のDELA(張逸聖)はプロデューサーとして独特なセンスと美意識で数多くのヒット作を手掛けた」。ちなみにKAO!INC.のオフィスは、台北の富錦街にあります。KAO!INC.経営のカフェ「BEANS & BEATS」公式サイトFacebookInstagram)に行ったことがある人もいるかもしれません。

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今回の日本ツアーは、このKAO!INC.の面々が一同に会して来日するという、非常に貴重な機会で、間違いなく要注目!です。と思っていたら、なんとKAO!INC.から直々にお声をかけていただき、おきらく台湾研究所から各アーティストに対して質問を送ることができました。そこで、今回から4回に分けて、その質問に対してKAO!INC.の各アーティストから届いた回答を、ブログで紹介していきたいと思います。

第1回の今回は、蛋堡Soft LipaFacebookInstagram)です。

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蛋堡の本名は杜振熙、台南出身です。「蛋堡」という名前の由来は、子どもの頃、彼の父が毎朝「火腿蛋堡(ハムエッグ・バーガー)」を朝食に持たせていたからとのこと。大学時代にKAO!INCにスカウトされてデビューしてから、数々の賞を受賞しています。金曲獎に限っても、2010年に最佳新人獎・2011年に最佳專輯にノミネートされたほか、2014年には最佳國語專輯獎や最佳國語男歌手獎など3部門にノミネートされています。

蛋堡については、日本のクラブジャズバンドJABBERLOOPとのコラボを覚えている人もいるかもしれません。今回のツアーでも、15日の東京公演でジャバホーンズが友情出演するそうなので、楽しみです!

蛋堡 Soft Lipa X JABBERLOOP 「I Want You」


蛋堡の特徴は、なんといってもトラックのクオリティの高さでしょう。ヒップホップやラップについての固定的なイメージを超える、音楽的な洗練が感じられます。ヒップホップファン以外にも浸透していることや、ヒップホップ以外のアーティストとのコラボの多さにも、そのことが表れているように思います。個人的に好きなのは、例えばこの曲です:

蛋堡 Soft Lipa 「我們都有問題」 feat. N.CHEN


というわけで、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは、多彩な音楽の影響について。もう一つは、蛋堡のFacebookやInstagramにときどき登場する、お子さんの蛋花について(蛋花は、こんな子です。かわいい!)。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と回答です。

【Q1】蛋堡の音楽は、典型的なヒップホップやラップにとどまらない、多様なジャンルの音楽の影響を感じさせます。これまで影響を受けた音楽やアーティスト(できれば、ヒップホップ関係以外)を教えてください。また、オフのときに聴く音楽はどんなものを聴いているのでしょうか。やはり多彩な音楽を聴いているのでしょうか?

【A1】ジャズ、ハウス、台湾の校園民歌、昔の流行歌。リラックスした状態では、フリージャズ、ニュージャズ、その他、ゆったりした気持ちになる音楽が好き。

【Q2】お子さん(蛋花)が生まれたことは、ご自身の音楽活動にどういう影響を与えましたか? 蛋花はどんな音楽が好きですか? 自分の音楽を聴かせることはありますか?

【A2】創作時間がずいぶん細切れになった。蛋花はしまじろうの歌なら全部好き。普段は蛋花が音楽の選択権を握ってるよ。リズム感がよくて、僕がヒップホップを聴いていると、きちんとリズムに合わせて頭を振ったりもできるんだ。でも、きっぱりと「この曲、聴きたくない!」と言うこともある。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南で散歩したり、食べたりするのがお薦め。

Q1については、ジャズっぽいものは予想していたのですが、蛋堡が「校園民歌」を聴いているというのはちょっと予想外で興味深いです(校園民歌は、かつての台湾でキャンパスなどで歌われた歌の数々です。昨年の東京国際映画祭で台湾のドキュメンタリー映画『四十年』を観た方は、イメージがわくかもしれません)。

あとQ2で、仕事に集中する時間が細切れになってしまう……このくらいの子どもが身近にいた経験がある人にとっては、まさに「あるある」ですよね(笑)! 蛋堡も同じなんですね。しまじろう、人気です! 「これ聴きたくない!」というのも、目に浮かぶようです。

最後にQ3。やはり台南出身ということで、台南をご推薦ですね。私も久々に行きたい!

いかがでしょうか? こんな感じで、ほかの3アーティストについても順次紹介していきますので、お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月01日

9m88

Youtubeで聴いてとっても印象に残り、日本語での紹介があまり見当たらないので、じゃあブログで紹介しよう、と以前から思っていました。でもあれこれ忙しくてできないうちに半年以上経過。すると突如、7インチ盤リリースという話が飛び込んでびっくり、さらになんと来日まで決まってしまった。ようやく、慌てて紹介することにします。誰のことかというと、「9m88」です。

9m88FacebookInstagram)は、台湾出身の女性シンガー。“jiu-em-ba-ba”というこの名前は、イングリッシュネームのJoanneに中文のニックネーム「小芭」を加えたというもの。現在はニューヨーク在住ながら、台湾でもときどき活動しています。ジャズっぽさも感じさせつつ、ジェントルだけどソウルフルな、すごくポテンシャルを感じさせる注目のボーカリストです。以下、いくつかの中文のウェブページの情報(これとかこれとかいろいろ)をもとに書いてみます。

子どものころから歌が好きで、高校の時にはダンスもやっていたという彼女。台北の實踐大學服裝設計學系に進学してファッションデザインを学び、好きだったジャズのテイストを加えたデザインの卒業作品は高い評価を得たそうです。2014年にはニューヨークで吳季剛(ジェイソン・ウー)のもとでインターンとして働くほどになったものの、彼女は最終的にファッションデザインの道を選ばないことにしました。代わりに選んだのが、もともと好きだった音楽の道。このニューヨーク滞在中に、ブルックリンのSpike Hillで小さなギグを行う(エイミー・ワインハウスのカバー!)など、音楽活動を少しだけ経験したこともきっかけの一つだったようです。

台湾に戻り著名ショップの「Ne.Sense」で働きながら、さらにステージパフォーマンスの経験を少しずつ重ね、なんとニューヨークの名門、The New SchoolのThe School of Jazz & Contemporary Musicに受かった彼女、再びジャズを学ぶ大学生としてニューヨークに舞い戻りました。これが2015年7月だそうです。ニューヨークで音楽活動を続けながら(例えば、2015年10月にはこのライブに出演)、現在もThe New Schoolに在学中のはず。

台湾で9m88の認知度が高まったきっかけは、なんといってもLeo王「陪妳過假日」への参加でしょう。2016年10月、Leo王がメンバーだった巨大的轟鳴がツアーでニューヨークに立ち寄った際に撮影されたこのMVで、「彼女は誰?」状態になり、9m88は台湾で一気に注目されるようになります。この曲、ゆるめのLeo王のラップも、ゆったりながらもシャープさを感じさせる9m88の歌も、二人のファッションも、MVの雰囲気もすべて最高です!

Leo王「陪妳過假日」feat. 9m88


ちなみに、Leo王は9m88よりも一足先に来日ライブの開催が決まっています(KAO!INC. 顏社の日本ツアー(12/15原宿・18大阪)に、春艷との「夜貓組」として登場予定)。こちらも要チェック。

9m88の歌をより味わうことができるのは、2017年1月にMVが公開された、ソロ名義の「九頭身日奈」。DJ Mitsu The Beatsの"Playin' Again"をサンプリングしたチューンです。このMVのビジュアル面のテイストは、個人的にはあまり好みじゃないのだけど(笑)、でも9m88の歌の、ソウルフルな熱さをクールダウンさせたような、心地よい味わいはなかなかです。タイトルは文字通りには「9頭身のひなの」で、吉川ひなの(!)が着想のもとらしいけど、歌われているのは「美少女」と呼ばれていても時間が経ってしまったら…の9パターン?というような、ネガティブにも見える内容。でもそこに込められているのは、自分の美しさは自分自身で定義するものだという力強いポジティブな思いのように感じました(って、Blow 吹音樂の記事の受け売りですが)。

9m88「九頭身日奈 NINE HEAD HINANO」


なお、歌詞の日本語訳の字幕があるヴァージョンもあるので、そちらもぜひ。

2017年2月〜3月には、ライブやセッションの動画を掲載する樂人TVのYoutubeチャンネルに、9m88の二つの動画(「BB88」「Eyes」)がアップされました。どちらも、シンプルなセッションである分、9m88のシンガーとしての魅力がストレートに伝わってきて、かなりいい感じです。特に方大同の「BB88」のカバーは印象的で、必聴です(個人的には、この路線をさらにジャズ度を高めて追求してほしいかも)。

9m88「BB88」


9m88「Eyes」



2017年4月には、Louisa Rosiとの「巴黎,我想跟你一起去」も公開。アマチュアテイストあふれるMVですが、落ち着いた味わいが印象に残るチューン。

9m88「巴黎,我想跟你一起去」



そして2017年7月には、北京出身のトラックメイカーFishdollとのコラボ作「Air Doll」のMVが公開。これ、9m88のボーカルという点では押し出しが弱いかもしれないけど、浮遊感のあるユニークなトラックで、気に入りました。

9m88 and Fishdoll「Air Doll」



こんな感じで、いまの時点ではシンガーとしてまだ成長中で、スタイルが固まっているとはいえず、粗削りな面もあるのも確かだけど、歌声も雰囲気もとっても魅力的で、個人的にはかなり強力に可能性を感じます。今後、いいプロデューサーに巡り合うなどの機会があれば、将来さらにいろんな方向に「化けて」くれそうで、期待!

こうしたMVの公開と並行して、落日飛車の今年7月のツアーに出演するなど、台湾でのステージ経験も積んでいく中、この11月になって突如発表されたのが、上で紹介した「九頭身日奈」の7インチ盤が、2manysoundから12月20日にリリースされるというニュースでした。B面には、竹内まりやの「Plastic Love」のカバーが収録されているとのこと(9m88、日本語で歌っているようです)。

このニュースに驚いていたら、さらに来日ライブも発表されました(1/9(火)青山月見ル君想フ)。一気に日本にも波が来はじめた感がありますが、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、大変楽しみです。

というわけで、9m88、注目です!

タグ:9m88
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2017年06月25日

第28屆金曲獎・結果

第28屆金曲獎」、2017年6月24日夜に、受賞者がすべて発表されました(公式サイト)。既にネットの生中継や報道などでチェック済みの方も多いでしょうが、このエントリでは、改めて受賞者・受賞作品のリストを紹介しておきます。

なお、今回のノミネートリスト全体は、このエントリ(前半)このエントリ(後半)で紹介しているので、あわせてどうぞ。
また、過去の金曲獎については、以下のリンクをご参照:
2016年(ノミネートリスト(前)ノミネートリスト(後)結果)、
2015年(ノミネートリスト結果)、
2014年(ノミネートリスト結果)、
2013年(ノミネートリスト結果)、
2012年(ノミネートリスト結果)、
2011年(ノミネートリスト結果)、
2010年(結果の一部)。


【演唱類】(ボーカル部門)

■年度專輯獎(ベストアルバム賞)
桑布伊(盧皆興)/桑布伊創作專輯 - 椏幹

今年から新設された総合ベストアルバム賞は、桑布伊が受賞。桑布伊さんまた来日して〜。
しかし、最佳原住民語專輯獎(ベスト原住民語アルバム賞)にノミネートされながら選ばれず、でもこっちの総合ベストアルバムに選ばれるというのは、なんだかちょっと落ち着かないですね。

■年度歌曲獎(ベストソング賞)
大風吹《醜奴兒》﹙草東沒有派對﹚

なんと草東沒有派對! 彼らのインディーズ方面での好評ぶりは確かにすごかったのだけど、しかし年度歌曲獎ですよ年度歌曲獎。さすがにこれはびっくりでした。
単曲のインパクトとクオリティは、ノミネート諸作品の中では楊丞琳《年輪說》が一番だと思っていたのですが……レイニー残念でした。

■最佳國語專輯獎(ベスト國語アルバム賞)
自傳 history of Tomorrow﹙五月天﹚

例年ならばんばん受賞する五月天、一時は(ほぼ)無冠に終わるのかと思ってしまいましたが、この賞はしっかり受賞。魏如萱残念でした。

■最佳台語專輯獎(ベスト台湾語アルバム賞)
釘子花﹙伍佰﹚

ここはしっかり伍佰が受賞。SKARAOKEを迎えたタイトルチューン《釘子花》をご紹介。巨大化する伍佰!

伍佰 & China Blue《釘子花》



■最佳客語專輯獎(ベスト客家語アルバム賞)
光亮徬徨的閃耀年紀﹙二本貓﹚

二本貓が受賞! 日本に来ませんか〜?
MVはノミネートリストのチェック(後半)のエントリで紹介しています。

■最佳原住民語專輯獎(ベスト原住民語アルバム賞)
vavayan 女人﹙阿爆(阿仍仍)﹚

阿爆! ご本人はグラストンベリー・フェスティバル参加のためイギリス滞在中で不在でした(去年は同様に、Sumingが行っていて不在ながら受賞してましたね)。久々のリリースが賞につながって何よりでした。
MVはノミネートリストのチェック(前半)のエントリで紹介しています。

■最佳音樂錄影帶獎(ベストミュージックビデオ賞)
拆《張三李四》﹙導演:彭o益;朱啟光;張錫安﹚:張三李四

ノミネートリストのチェック(前半)のエントリで紹介しました。ユニークなMVなのは確かですが、まさか激戦を勝ち抜いて受賞するとは、ちょっとびっくりでした。

■最佳作曲人獎(最優秀作曲賞)
黃建為/離心力 Centrifugal Force《離心力 CENTERIFUGAL FORCE》﹙楊乃文﹚

ここもいろいろ佳曲があったのですが、ダークホース的な黃建為のこの曲が受賞。とはいえ、楊乃文の力量を感じさせる、味わい深い見事な作品なのは確かです。

楊乃文《離心力》



■最佳作詞人獎(最優秀作詞賞)
五月天 阿信/成名在望《自傳 history of Tomorrow》﹙五月天﹚

「大方の予想」的なものから微妙にずれる今回の金曲獎、この部門とかびっくり展開が来そうなところ、きっちり阿信が受賞。お見事。

■最佳編曲人獎(最優秀編曲賞)
盧凱彤/還不夠遠《你的完美有點難懂並不代表世界不能包容》﹙盧凱彤﹚

盧凱彤が受賞! MVはノミネートリストのチェック(後半)のエントリで紹介しています。自身の「太太」について、スピーチですがすがしく語る姿が素晴らしかったです。

■最佳專輯製作人獎(最優秀アルバムプロデューサー賞)
荒井十一/vavayan 女人﹙阿爆(阿仍仍)﹚

荒井十一(壯一郎)が受賞! 2014年も莫文蔚のプロデューサーとして受賞していましたが、今回再びの受賞です。ちなみに名前が日本人風なのは、父が日本人だからです(母は香港人)。パートナーの方は原住民だそうで、そのせいか近年はこの阿爆をはじめ、原住民アーティストのプロデュースもいろいろ取り組んでいます。

■最佳單曲製作人獎(最優秀シングルプロデューサー賞)
陳君豪/是日救星《是日救星》﹙徐佳瑩﹚

ここもライバルは強力だったと思うのですが、ダークホース(と言っていい気がしますがどうでしょう…)の陳君豪が受賞! 徐佳瑩LaLaの力強い曲をはりつけておきます。

徐佳瑩《是日救星》



■最佳國語男歌手獎(最優秀國語男性シンガー賞)
方大同/JTW 西遊記

方大同が受賞! これは評価されるべき強力な作品だったと思うので、よかったよかった。MVはノミネートリストのチェック(後半)のエントリで紹介しています。

■最佳國語女歌手獎(最優秀國語女性シンガー賞)
艾怡良/說 艾怡良

艾怡良が受賞! 魏如萱に受賞してほしかったけど、でも艾怡良も文句なしの上質さです。

艾怡良《我們的總和》



■最佳台語男歌手獎(最優秀台湾語男性シンガー賞)
謝銘祐/舊年

(この部門だけ、なぜか欠落していたので6/25 9:40に追記しました。→ なんと、その追記自体が誤りだったことがわかりました!すみません! ご指摘に深く深く感謝! 修正しました:6/25 22:25)
受賞したのは謝銘祐。2013年に続いての受賞でした。
MVはノミネートリストのチェック(後半)のエントリで紹介しています。

■最佳台語女歌手獎(最優秀台湾語女性シンガー賞)
曹雅雯/思念的歌

受賞したのは曹雅雯。大卒直後に新人の賞を受賞してデビュー、特にここ数年は着実にリリースを重ねて、前作で初めて最佳台語女歌手獎にノミネート、そして今回受賞と、着実にステップアップしています。作詞作曲もやる彼女、今後も注目です。

曹雅雯《思念的歌》



■最佳客語歌手獎(最優秀客家語シンガー賞)
二本貓/光亮徬徨的閃耀年紀

二本貓はここでも受賞! 日本来て〜(二回目)

■最佳原住民語歌手獎(最優秀原住民語シンガー賞)
桑布伊(盧皆興)/桑布伊創作專輯 - 椏幹

桑布伊、ここでもしっかり受賞しています。

■最佳樂團獎(最優秀バンド賞)
草東沒有派對(林耕佑、・爲筑、楊世暄、劉立)/醜奴兒

五月天が強いよな〜と思っていたら、なんと草東沒有派對が受賞。これだけでも十分にビッグニュースなのですが、草東沒有派對はさらに受賞を重ねたので、なんだか印象が薄れてしまいました。

■最佳演唱組合獎(最優秀ユニット賞)
Mr. Miss(杜凱;劉戀)/先生小姐

ノミネートリストのチェックのエントリ(後半)で紹介した、Mr. Miss 先生小姐が受賞! これも本当にびっくりでした。自分にとっては面白かったけど、まさか受賞するとは! というわけでもう一つのMVをご紹介。

Mr. Miss 先生小姐《晚期拖延症患者》



■最佳新人獎(最優秀新人賞)
草東沒有派對/醜奴兒

草東沒有派對が受賞。ここだけかと思ったら…という展開でした。


【演奏類】(インストゥルメンタル部門)

■最佳專輯獎(ベストインストゥルメンタルアルバム賞)
SEDAR﹙演奏者:秦四風﹚

■最佳專輯製作人獎(最優秀インストゥルメンタルアルバムプロデューサー賞)
李欣芸/心情電影院﹙演奏者:保加利亞國家廣播交響樂團﹚

■最佳作曲人獎(最優秀インストゥルメンタル作曲賞)
秦四風/Arboreal Tunnel (feat. Richard Bona)《SEDAR》﹙演奏者:秦四風﹚

秦四風が2部門受賞! 後述の録音関係も受賞しているので、計3部門受賞と、これまたびっくり。短いけど、MVはノミネートリストのチェック(後半)のエントリで紹介しています。

ここでは、最佳專輯製作人獎を受賞した李欣芸のアルバム《心情電影院》を取り上げます。数々の作品を生み出してきた李欣芸、今作では彼女が関わったさまざまな音楽(《練習曲》《深海》《軍中樂園》などの映画音楽や、台北MRT板南線の電車入線時の音楽など)を、ブルガリア交響楽団(Bulgarian Symphony Orchestra)とジョイントして収録しています。せっかくの機会なので、製作ダイジェストの動画と、収録曲「西伯利亞的風」の動画の二つをご紹介します。

李欣芸 『心情電影院』

西伯利亞的風 / 李欣芸『心情電影院』官方試聽版



■最佳專輯包裝獎
陳星翰;何旭庭;講口萬;余品翰;小狐;毛怪;李夏/Welcome To The Next Level ( 陳星翰 )

ジャケット/パッケージの賞は、羅志祥や蔡依林ともコラボしているラッパー/プロデューサーの陳星翰が受賞。

■最佳演唱錄音專輯獎
桑布伊創作專輯 - 椏幹
(主要錄音人員:孫天致/主要混音人員:孫天致/主要母帶後製人員:Ted Jensen)

■最佳演奏錄音專輯獎
SEDAR:秦四風
(主要錄音人員:李岳松、馬力、須藤 滿、Goh Hotoda、王耀唯、Larry Williams、Gary Grant、Dustin Higgns、Richard Bona、Chris Parks、Brendan Muldowney、James Genus、、秦四風、Scott Henderson、賈軼男、Alain Caron、Julian Miller/主要混音人員:Goh Hotoda、馬力/主要母帶後製人員:Bob Ludwing)


◎特別貢獻獎
《 特別貢獻獎 》

紀露霞(紀秋英)、張雨生

張雨生へのトリビュートの張惠妹のパフォーマンス、見事でした。

◎評審團獎
《 評審團獎 》

生祥樂隊(圍庄)

生祥樂隊、演奏なしでしたね…。林生祥しか来場していなかったのかも。


全体として、今年の金曲獎は「癖のある金曲獎」だった気がします。金曲獎の選考に一癖あるというのはよく言われることで、むしろそれこそが金曲獎らしさといっても過言ではないのですが、今年はその「らしさ」をはっきり感じさせる回だったかもしれません。
この受賞結果が、今後の各アーティストの活動を無視できないレベルで左右することもあるので、いろいろ思わずにはいられませんが、それでもともかく、受賞したかどうかにかかわらず、ぜひ一人ひとりが気になる音楽にめぐりあう機会になれば幸いです!

(6/25 10:30追記)
映画監督の侯季然が、昨晩Facebookで次の言葉をポストしていました。

「如果你喜歡的音樂敗給你沒聽過的,第一件事應該是去聽聽那首你沒聽過的音樂。」

もしあなたの好きな音楽が、あなたが聴いたことがない音楽に負けてしまったのなら、第一にやることは、その聴いたことのない音楽を聴いてみることだ――ということでしょうか。そう、その通りなので、受賞結果にこだわらず、ぜひみなさんもいろいろ聴いてみてください! というわけで、改めてノミネートリストのチェックのエントリをご紹介(笑)。
ノミネートリストのチェック(前半)
ノミネートリストのチェック(後半)

タグ:金曲獎
posted by 研究員B at 02:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする