2016年06月23日

「台湾の音楽フェスへ行こう!」這・世界音樂節

「台湾の音楽フェスへ行こう!」3日目・這・世界音樂節

虎ノ門の台湾文化センターによるトーク&ライブイベント「台湾の音楽フェスへ行こう!」、3日間のレポをまとめるシリーズ、今回は3日目(6月13日)のレポです(1日目・2日目のレポはそれぞれこちらこちら)。

この日は、前2日に比べかな〜り“濃さ”がにじみ出る企画でしたが、大変楽しく興味深く、前2日に負けない充実の内容でした。楽しさという点では3日間で最高だったかも。あー楽しかった。

この日のテーマは、「這・世界音樂節」Facebook)。台湾文化センターのページによると、2015年12月に初めて開催された、「台湾初のワールド・ミュージックに特化した音楽フェスティバル」で、「台湾原住民や客家を初め、アジア各地のエスニックな音楽アーティスト」を招いたものだそうです。この日、原住民と客家のアーティストがライブに登場するのはこのフェスをふまえていたからですね。

ただし!!この日のトークでは、このフェスについてはほとんど(まったく?)言及されませんでした(笑)! ではどうだったかというと…

この日のトークで登場したのは、這・世界音樂節のオーガナイザー・張四十三。個性的な作品を多数リリースしている台湾のレーベル「角頭音樂」公式サイト)を率いている人物です、また、今回の一連の企画では取り上げられていませんが、台湾で最も有名な音楽フェスの一つ「貢寮國際海洋音樂祭」(2000年〜)を立ち上げた人でもあります。(あと、今回は話題に出ませんでしたが、以前からずっと観たい!と思っている舞台劇+映画の《很久沒有敬我了妳》Facebook予告編動画)のプロデュースも担当していました。)

缶ビールを持って登場した張四十三、まず始めたのは、ある日本の若者の捜索依頼(笑)でした。詳細は略しますが、この話題で盛り上げ(!)オーディエンスの心をぐっとつかんだ後は、彼が率いるレーベル「角頭音樂」の紹介。25cm×25cmの紙ジャケット入りの角頭音樂のCDは、台湾のCDショップを訪れた人なら見おぼえがあるかもしれません。「やくざの親分(K社會老大)」という意味の「角頭」をレーベルの名前に選んだのはなぜか(かつて角頭になりたいと思っていたけどなれなかった、だから音楽で「角頭」をめざそうと思った、と!)など、ノリよく本題に沿っているようないないような話を展開して、どんどん会場を盛り上げていきます。原住民音楽の佳作を多数リリースしていることで知られる「角頭音樂」ですが、日本のアーティストなど幅広い音楽を紹介してます。でも、この日紹介された、(新たに台北駐日経済文化代表処駐日代表に就任した)謝長廷のオカリナのCD(!)なんてものまでリリースしているのは知りませんでした!

その後、どうやら張四十三がこの日一番話したかったらしい話題へ。それは、彼が企画した来月開催の「金光舞台車閃閃嘉年華」の紹介と勧誘(笑)、でした。

その前段として、彼が解説したのは、台湾のお祭り(だけではないのですが)に登場する華やかな山車(といっていいのか)の変遷です。「傳統藝閣車」→「電子琴花車」(元はトラック、荷台部分で歌い踊れる)→「貨櫃舞台車」(開くとステージになる)という展開を画像を見せながら説明し(どんなものか気になる方は検索してみてください!)、さらに「吉普鋼管車」(ジープの屋根にポールを設置してそこでポールダンスをする!)などまで動画で紹介していました。ご存じの方はご存じの、台湾南部のコテコテカルチャーです。

で、7月9日に台北・市政府前で開催される「金光舞台車閃閃嘉年華」Facebook)では、この「貨櫃舞台車」を台湾中から市政府前に30台(!)集結させ、西樂隊の演奏、鋼管女郎のポールダンス、小吃などが楽しめるというもの。また台客ロックのライブもあり、濁水溪公社・董事長樂團・四分衛・流氓。阿コ・Skaraokeという納得の面々が登場します。コテコテカルチャー全面展開のこのイベント、かな〜り気になりますが、張四十三はとにかくこのイベントをプッシュしていて、即刻フライトと宿泊を予約せよ!と繰り返し強調していました(笑)。

というわけで、この張四十三のトークは非常に面白かった! 彼の話術も、持ち出されるネタのユニークさや強烈さもすごかったのですが、同時に強く感じたのは、ただそれだけではない話だったということです。話の要所要所で、原住民の社会的位置にふれたり、彼自身の親の話を持ち出したりするなどして、一見びっくりなネタであっても、具体的な生活実感に結びつけて語られていたように感じました。だからこそ、コテコテ南部風のネタ各種も、笑いを誘うだけの話ではなく、どれもいわば血の通った話として伝わっていたように思います。だからこそ、本当に面白い話でした。
ちなみに、「貨櫃舞台車」の写真の展示会を9月下旬に台湾文化センターで開催するとのこと。気になります!

続いてはライブ、最初に登場したのは查勞.巴西瓦里Facebook)。查勞は去年(2015年)の金曲獎で最佳原住民語專輯獎(ベスト原住民語アルバム賞)を受賞した、アミ族の歌手です。受賞作収録曲のMVで聴いていた彼の音楽は、マダガスカルやスペインのテイストが交じり合う、洗練された印象だったのですが、生の查勞はいい意味で洗練とは違いました(笑)。なかなかストレートにパンチのある歌い手で、ニコニコしながらて実にノリよく、オーディエンスを積極的に巻き込みつつ盛り上げて歌ってくれました。原住民音楽の枠を超えるぐらいの勢いは確かにあり、楽しめました。
改めて、MVをはりつけておきます。

查勞‧巴西瓦里《藤 Rattan》


次に登場したのは、ベテランの客家の歌手で、新寶島康樂隊のメンバーでもある、黃連U(Ayugo: Facebookwikipedia)。この3日間で一番のベテランの登場!と思ったけど、なぜか微妙に緊張して落ち着かない様子。実際ご本人も緊張していると言っていて、ギターが微妙な瞬間もありました(笑)。まあ、いつもはバンドを従えての登場なので、彼ひとりというのはあまりないのは確かかも。
とはいえ、歌声の見事さは間違いなく本物。一曲ごとに徐々に調子を上げ、最後の「山歌一條路」は実に素晴らしく、聴き入ってしまいました。新寶島康樂隊でも来日してほしいものです。
というわけで、その「山歌一條路」のMVをはりつけておきましょう。

黃連U「山歌一條路」



以上、期待以上に楽しい夜でした! 日本で体験できる企画としては本当に貴重で、満足満足。関係者のみなさんにはほんと感謝です。

最後に、すべて終了後の、リラックスしたオヤジ3人の図を!

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2016年06月22日

「台湾の音楽フェスへ行こう!」簡單生活節

「台湾の音楽フェスへ行こう!」2日目・簡單生活節

虎ノ門の台湾文化センターによるトーク&ライブイベント「台湾の音楽フェスへ行こう!」、3日間のレポをまとめるシリーズ、今回は2日目(6月12日)のレポです(1日目のレポはこちら)。

今回とりあげるフェスは、「Simple Life 簡單生活節」公式サイトFacebook)。2006年から隔年で開催されてきたフェスです。

Simple Lifeって、確かに二年に一度の音楽フェスではあるのですが、もともと音楽だけに限定されてはいないイベントという印象がありました。二年に一度だけではなく、日常的に行われているいろいろな幅広いクリエイティブな活動(例えば、週末に開催されるSimple Marketのような活動)こそがSimple Lifeである、という感じがあったので、そのあたりも含めて、どういう話が聞けるのだろうと楽しみにしていました。

この日登場したのは、Simple Life 簡單生活節のオーガナイザーである音楽プロデューサー張培仁(Landy)。長く多彩なキャリアの彼、年表(!)を映しながら、Simple Lifeに至るまでの諸活動を自ら説明してくれました。彼の話は興味深い点がたくさんあって実に面白かったのですが、一番印象に残ったのは、音楽とライフスタイルが不可分であるという点を強調していたことです。

かつて西洋音楽が憧れの対象だった時も、音楽が単独で成り立っていたのではなく、当時の人々のライフスタイルを取り入れて成り立っていたものだったということ。そのことに改めて気づき、ライフスタイルと結びついた形での音楽やフェスをやろうと考えたのだそうです。ただその第一弾はSimple Lifeではなく、「台客ロックフェスティバル(2005年の台客搖滾演唱會・2006年の台客搖滾嘉年華など)」でした。その後、音楽と生活スタイルのつながりという問題意識をさらに展開したのが、Simple Life 簡単生活節だというわけです。

個人的には、これはかなりびっくりしました。だって、シンプルさやナチュラルさを志向するSimple Lifeと、コテコテの極みである台客ロックフェスティバルって、かなり距離があるような気がしたので! でも、改めて考えると、「台客搖滾」はまさに音楽と生活スタイルのつながりをストレートに示す企画だったと思います。あの頃に一気に盛り上がった「台客」ブームを、こういう文脈で見る視点は意外ながらも納得でした(台客ロックフェスティバルに張培仁が関わっていたとは気づいていませんでしたが、帰宅後に当時買った本・『《Call Me台客!》』(2005年、博客來)を調べると、確かに張培仁の記事「「我的生活就是美」 談台客的爆發力」が載っていました)。

張培仁いわく、今の音楽は、スタジオやCDに閉じ込められるものではなく、「逆に生活に戻ってきている」のであり、生活のかかわりを経てこそパワーを得るとのこと。1枚のCDや一人のアーティストが個々バラバラに…というのは、今では制約の中にあることでしかなく、生活との関わりは、それを超えた自由や可能性や創作意欲の発露の足場となるものとして張培仁は考えているようでした。今の時代の創作意欲は、そのような環境をつくることによってかきたてられるのだとも言っていた気がします(間違いなどあればご指摘を!)。Simple Lifeだけでなく、彼がかかわったLegacy好,丘も、こうした考えが原点にあるのだとか。

ただアーティストを集めてライブをするというのではなく、音楽にとどまらない自分たちなりのビジョンを抱いてフェスを営んでいるということがよく伝わってくる話でした。それも、個々のクリエイターが創作意欲をフルに発揮できるような場をつくるということが出発点なので、ただビジョンを上から提示するという形でもないのが興味深かったです。新しいフェスのあり方として、一つの「都市」という表現をしていたのは、そういうことなのだろうと感じました。

トーク終了後はライブ。最初に登場したのは、蘇珮卿 Paige SuFacebook)。Flying Monkeysとのトリオで登場することが多いと思いますが、今回はパートナーでもあるCody Byasseeとのデュオでの演奏でした。

鮮やかな青のハープを、エフェクターも駆使しつつ、華麗に、そしてダイナミックに弾きながら歌う、なかなか見事なパフォーマンス。彼女はかなり正統な音楽教育を小さい頃からしっかり叩き込まれた人ですが(でも小さい頃は反抗的だったと自ら語っていましたが・笑)、クラシックから南インド音楽に至るまで、本格的かつ多彩な音楽キャリアがにじみ出るユニークなスタイルでした。あと、演奏だけでなくシンガーとしても非常に説得的で、落ち着いた歌声が印象的でした。
また、Codyのプレイもなかなか効いていました。かなりこちょこちょと(?)細かいことをやっていましたが、パーカッショニストとして引き出しが多そうな人で、彼自身にも興味を持ちました。Codyは蔡健雅、宇宙人、岑寧兒などのサポートでも演奏しているみたいです。

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次に登場したのは、個人的に今回の一連の企画で最大の注目、‪皇后皮箱‬ Queen SuitcaseFacebook)。日本で聴ける日が来るとは、感慨深い!

皇后皮箱、やはり生で聴いても素晴らしかった! ボーカルの卡菈の声が実に好聽で、耳に残るメロディー、サウンドのスタイリッシュさ、4人のファッションなど、魅力満点でした。卡菈がやはりステージでは目立つのですが、個人的に印象に残ったのはギターとボーカルの阿怪でした。音楽的に彼がキーパーソンであるのはわかっていましたが、ハスキーなボーカルが意外に(すいません)味わいがあり、音楽の幅を広げていました。60s〜70sサウンドを忠実に、でもどこか独自性を入れつつ料理してみせる手腕はなかなかで、ポップさとスタイルの完成度の調和は見事で、とっても楽しめました。ぜひまた日本でのライブをやってほしい!

ちなみに、皇后皮箱のMVは以前SNSでまとめて紹介しています。どれもユニークで楽しいものばかりなので、未見の方はぜひ! → https://www.facebook.com/okiraku.tw/posts/1016168138419166

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今回出演した蘇珮卿も皇后皮箱も、自分たちのスタイルをすごく感じさせる2組で、その点もSimple Life 簡単生活節のコンセプトとも響きあっていて、よかったと思いました。いい雰囲気の、楽しくまた刺激を受けた時間を過ごせました。

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終了後、張培仁にお願いして、自宅から持ってきた本、王鵬淩・E Jay・陳怡如『簡單生活的寧靜革命 We Are Beautiful』(2010年、博客來)にサインをもらいました。もともとは研究員Aが買った本ですが、もう少々古くなったかもしれないけど、Simple Lifeについては一番まとまっている本だと思います(積読ですが…)。これを機に読まねば!というか、読めるだけの語学力をまず身につけねば…。

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2016年06月19日

「台湾の音楽フェスへ行こう!」大港開唱

「台湾の音楽フェスへ行こう!」1日目・大港開唱

虎ノ門に台湾文化センターがオープンして1年、それを機に開催される「台湾カルチャーフェスティバル」のオープニング企画として、「台湾の音楽フェスへ行こう!」という3日間のトーク&ライブイベントが開催されました。幸運にも抽選に当たり、全日行くことができたので、(もう一週間経ってしまいましたが…)レポをまとめておこうと思います。既にSNSに載せたものをベースに、適宜情報を追加しました。

今回は、まず1日目(6月11日)のレポを。
この日は、夜のイベントに先立って、午後2時から関係者向けのオープニングセレモニーが1時間ほど開催されました。ありがたいことに関係方面からお声をかけていただき、末席から覗かせてもらいました。
このセレモニーは、同じ日からスタートするもう一つのアート関係の企画との合同のものだったので、関係者の数も多く、それぞれの挨拶とスピーチを一通りやって写真撮影をするだけでタイムアップ、というものでした。その中で、注目はやはり閃靈のフレディ・リム(林昶佐)でした。

台湾語での挨拶から始めたフレディのスピーチの内容は、アジアンパラダイスの記事に詳しく紹介されています。印象に残ったのは、文化の面での交流がもつ意味の大きさを強調していたところで、それを語る彼の姿になんとなく「ホームグラウンド」感があったのです。今や立法委員(国会議員)であるフレディ、その立場にふさわしい(?)落ち着いた雰囲気をたたえてはいましたが、今回は政治的な文脈をことさらに意識したり強調したりしなくてもいい「文化」に関わる活動であるせいか、適度にリラックスして発言できるのかもなあ、などと(あくまで想像ですが)思いながら聞いていました。

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続いて、夜のトーク&ライブイベント。進行の遅れやオーディエンスの多さなどで、入場まではなかなか大変でしたが(整理番号がかなり後ろの方だったので、結構長時間屋外待機でした…笑)、充実した内容で楽しい時間を過ごせました!

この日は、高雄で開催されているMegaport Festival(大港開唱)がテーマ。まずは、元・大港開唱のオーガナイザーであるフレディが再び登場してトーク。でもフェスについてはあまりふれず、昼のスピーチの内容を日本の音楽ファン向けに言い換えて伝えるというものでした(これはこれで興味深かったです)。フェスの具体的な内容は、フレディに代わって登場した閃靈のドリス(葉湘怡)が説明。眼鏡姿のドリスはステージで観るのとは全然違う印象。たまたま目撃したのですが、開場前に、外に並んでいるファンの目の前をドリスが入っていく場面があって、でもほぼ気づかれずにさりげなく通り抜けていました。この日の彼女だとなかなか気づかないかもしれません!

ステージ設営の工夫などを淡々と語るドリスの話で印象に残ったのは、メインのオーディエンスである若者たちの親世代のアーティストも起用しているという点。確かに今年の大港開唱でも、沈文程や徐懷トなどがラインナップに加わっていて、面白い試みだと思いました。もう一点は、フェスは若者の現実逃避の場なのではないという考えから、現実の社会的な諸問題を考える機会を提供する場にもしているということでした。同性婚やひまわり学生運動の例を挙げていましたが、上映された映像でも、高雄同志遊行(高雄プライドパレード)のブースが映っていました。ただ音楽を聴かせるというだけではない、意味のある場にしようという姿勢は(他のフェスにもみられるものですが)興味深かったです。

トーク終了後は、KKBOXでの生中継があるせいか質疑応答などはなく、そのままライブに移行。
まず登場したのは阿飛西雅Facebookwikipedia)。彼らは2年前の台ワンダフル/サマソニ以来の来日ライブ。あの轟音のスタイルを、ビルの中のスペースで本当にやるのだろうかと思っていましたが、容赦なく(笑)実行していました。

ベテランの彼らは今回も安定のパフォーマンスで、でも2年前よりソリッドさが増していて、非常にかっこよく、印象的でした。意外にも(?)、ステージ後のインタビューが笑いに満ちて盛り上がりました(笑)。小花(吳逸駿)があんなキャラだったとは!
ちなみに阿飛西雅のベース・KKこと葉宛青は、著名インディーズレーベルの小白兔唱片を立ち上げた、台湾インディーズ界の重鎮の一人。ステージ左のギター張勝為は、去年のサマソニにも拍謝少年の一員として来日しています。

次に登場したのは宇宙人(Cosmos People)。彼らもこれまた安定のパフォーマンスでした。この人たち、短い時間でも、オーディエンスを盛り上げ楽しませるツボを本当によくわかっています。今回もその力量をいかんなく発揮、とっても楽しい時間でした。演奏のクオリティもますます上がっていた気が。インタビューも「広末涼子」やら「堂本剛」やら、意外?な名前が。

トリは滅火器(Fire EX.)。この日の滅火器は、とっても珍しいアンプラグドでのパフォーマンスでした。台湾でも5回ぐらいしかやっていないとのこと。どんな雰囲気になるのだろう…と思っていましたが、始まってみるとこれが非常に味わい深く、はっきり言ってかなり感動的なステージで、生で聴けたのは本当に幸運でした。よくよく彼らを見てみると、東北支援のリストバンドとか広島カープのギターストラップとか、随所に日本アイテムを身に着けていました(翌日は千葉ロッテの試合に行ったようですが)。

というわけで、非常に満足度の高い夜でした。特に、場つなぎ程度かと当初思った(すみません)インタビューが、どのバンドも相当に面白く充実していて、会場の雰囲気を非常によくしていたと思います。司会の関谷元子さんと通訳の星原宣子さんに感謝!

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2016年02月29日

Cicada・来日ライブと紹介

2/28の夕方に行われた、台湾のポストクラシカルアンサンブル・Cicada公式サイトFacebookbandcamp)のライブに行ってきました。会場は神宮前のVACANT。店舗2階のオープンスペースに各種椅子を並べて会場にしていました。場所のせいか、それともオーディエンスのみなさんの印象か、なんとなくいつもの台湾もののライブと雰囲気が違う…。

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台湾のポストクラシカルといえば、文句なしにこの人たちですが、実は2009年の結成以降、何度かメンバーチェンジがあり、直近では2015年1月に3人の弦のメンバーがグループを離れ、新しいメンバーを加えて現在は5名の編成です。今回来日したのもこの5名で、ステージでは右端にピアノの江致潔、左端にギターの謝維倫、中央には左からヴァイオリンの許罡ト、チェロの楊庭禎(桃子)、ヴィオラの鍾漁靜という並びでした。

で、ライブですが、とてもよかった! 弦の三名の華麗な演奏もすごく印象的だったけど、その舞台を軽やかに、でも同時にしっかりずっしりと作り上げる江致潔のピアノが本当に見事。そして謝維倫のフィンガースタイルのギターがさり気なく、でも非常に効いていて、これまた見事。繊細ながらも力に満ち、アンサンブルとしてのトータルなバランスを確かに感じさせつつ、緩急の切れ味も鮮やかで、素晴らしい時間を過ごせました。

どの曲も良かったけど、『邊境消逝』収録の「當叢花毅然綻放 Blooms in Dark」「匯流向海 into the Ocean」が生で聴けたのがうれしく、特に印象に残りました。メンバーチェンジを経ても、Cicadaはやはり間違いなくCicadaでした。

現時点では、flauのInstagramにごく短いライブの動画がアップされているので、リンクしておきます: https://www.instagram.com/p/BCUhYmms7Co/

ライブでのMCは、江致潔と鍾漁靜の二人が英語で進めていました(この二人がかぶっていた帽子が、どちらもとっても可愛かった!)。前日の晩に、予習(?)を兼ねて、BIOS「當潛入太平洋的蟬繼續吟唱−−專訪 Cicada《仰望海平面》」 という記事を読んでいたのですが、この中にも出てくる緑島でのダイビングの経験の話などをはじめ、短いながら興味深いエピソードをいろいろ聞かせてくれました(そういえば、MCでは言及されなかったけど、そのダイビングのときにはさらにこんなこともあったのですが)。

アンコールにも1曲応えてくれ、最後にはメンバー全員勢揃いでCDにサインも。flauからリリースされた日本のCDでもよかったのだけど、せっかくなので(現メンバーに参加していない人がいるのも気にせず)台湾盤の『邊境消逝』と『一起走吧』を持っていき、快くサインしていただきました。感謝!

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以下、今回のライブを通じてCicadaを知った人もいるのではと思い、Cicadaおよび5人のメンバーについて、情報をあれこれ書いておきます。参考になれば幸いです。

グループ名のCicadaは「蝉」という意味。姿を見てではなく鳴き声を聞いて蝉がいることに気づくということから、グループ名を「蝉=Cicada」にしたとのこと。

まず、リーダーでピアノの江致潔(Jesy)。2009年の結成以来、Cicadaの中心であり続ける彼女は、作曲も担当しています。台北芸術大学の大学院出身ですが、実は音楽ではなく美術史を専攻していたそうで、修士論文のテーマはドイツ出身のアーティストのキキ・スミスについて。現在は出版社に勤務し、作曲は夜にやっているのだとか。2011年には川秋沙の『春日遲遲』にも参加しています(Youtube:この組み合わせは意外!)。

ヴァイオリンの許罡トFacebook)は2015年加入、3歳からヴァイオリンを始め、東呉大学音楽学系での専攻もヴァイオリン。16人の男性弦楽奏者から成るグループ「無解 No Solution」Facebook)のメンバーでもあります。この「無解」、江宦EA-Lin・蘇打高ネどのライブや金曲獎のステージなどで、バックで演奏した経験もあるようでます。

ヴィオラを担当しているのは鍾漁靜(Eunice)。台北芸術大学の音楽系でピアノを専攻、ヴィオラを副専攻として学んでいます。しかしそれだけではなく、實踐大学で服飾デザインを学び、さらにはイギリスのKinston Universityでブランド経営についても学び、Fashion Design and the Creative Economyの修士号も得ているそうです。さらになんと、2015年からはモナコのジュエリーブランドapmの台湾地区の社長(!)も兼務しているのだとか。まだ20代なのに、華やかなキャリアでびっくり!(自由時報の記事「〈人物報報〉家有兩位總經理」を参照)。

チェロの楊庭禎(桃子;FacebookInstagram)も2015年加入、許罡トと同じく東呉大学音楽学系出身。2014年12月には、その東呉大学でソロのリサイタルを開いています。落ち着いたプレイを聴かせた今回のライブの後、お好み焼きを上手にひっくり返しています!

ギターの謝維倫は、東海大學建築系出身。メンバーからは「謝爸爸」と呼ばれているのだとか! フィンガースタイルで、落ち着いた、でも存在感に満ちたプレイを聴かせてくれた彼は、ギターデュオ・WoodyWoody樂團Facebook)の一人でもあります(個人的なお勧めは「南方牧場」)。WoodyWoody樂團でも来日してほしいものです。


個人的には、Cicadaのアルバムで一番注目だと思っているのは、『邊境消逝』『仰望海平面』の2作(flauからの編集盤「Ocean」のオリジナル)です。前者は台湾の西海岸の、後者は東海岸の風景を描くというコンセプトの作品ですが、本当に台湾らしさを感じることができる気がします。伝統的な中華の楽器もなく、中華風のメロディーもなく、原住民テイストももちろんなく、西洋楽器のみの演奏のはずなのに、台湾の風、台湾の陽光、台湾の湿度が伝わってくる感じがして(私だけ???)、この2作を聴くと(そして今回のライブでも)Cicadaの音楽は台湾から生まれたのだと実感します。今回の来日でのオーディエンスには、台湾という文脈でCicadaに注目している人は多くなかったかもしれないけど、そういう面からも注目されてほしいと思ったり。

『邊境消逝』リリース時にコンセプトを語った、江致潔のインタビュー動画を載せておきます。台湾の自然への思いを、自らの言葉でしっかり伝えてくれています。



なかなか難しいかもしれませんが、ぜひ再度の来日を期待したいと思います。

posted by 研究員B at 21:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

台ワンダフル2015プレス・カンファレンス

Taiwanderful(台ワンダフル)2015 プレス・カンファレンス

2015年8月14日に、昨年に続いて「Taiwanderful(台ワンダフル)」公式サイトFacebook)が恵比寿リキッドルームで開催されました。今年も参加すべく、7月には発売初日にチケットを買い(おかげで早い整理番号に)、当日の仕事を午後から休む手配もして……と準備万端でしたが、開催日近くになって、なんとお世話になっている関係者方面から、当日開催される「Taiwanderful(台ワンダフル)2015」のプレス・カンファレンス(記者発表会)へのご招待のお手紙をいただきました! プレス関係者でもないのに申し訳なかったのですが、ご好意に甘えて潜入させてもらいました。ありがたや…。

せっかく機会をいただいたので、みなさんにお知らせするべく、簡単ではありますがレポを。遅くなってすみません! あと素人写真なので画像のクオリティも申し訳ありません! このプレス・カンファレンスについて、より詳しくは、既にいくつか出ている記事をご参照ください(ADCnewsAstageサンスポなど)。


進行役は、豪華なことに関谷元子さんが担当されていました。

まずはフォトセッション。最初に登場したのは、キャラクター4体(OPENちゃん、PLEASEちゃん、タイワンダー、オーション)。さすがに4名勢揃いの風景は圧巻(というかヘビー感あり・笑)。並んでみると、動きやすさで一段劣るタイワンダーは落ち着いた感じになり、可動性の高いオーションはアピールに積極的で、その分若干うっとうしい(笑)感じになるのが興味深い。
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続けて全員勢揃いの撮影タイム。台湾文化センターの朱文清さんと、スペースシャワーネットワークの清水さんも。
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そして、出演者ごとの撮影に。まずは閃靈(Chthonic)Freddy・Doris・Jesseと、DJ Mykal a.k.a. 林哲儀。この企画のオーガナイザーでもあるフレディは、開始前にテレビカメラを引き連れて、レポーターとして(!)会場内のあちこちを回っていました。やがて動画が公開されるといいのですが。
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拍謝少年(Sorry Youth)。台湾語ロックのバンドとして一定の地位を得ている彼ら、前日には『SLAM DUNK』の舞台の鎌倉へ行って気合を入れてきたとのこと。それだけ聞くと、台湾観光客らしい行動だなあとしか思えないかもしれませんが、実は彼らはバンドのプロフィールに「以井上雄彥為精神導師」と書くぐらいの、筋金入りのファンなのです。さぞ気合も入ったことでしょう!
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血肉果汁機(Flesh Juicer)。ジャンルとしてはあまり知らない方面だけど、そんな私でも彼らは知っているという、独特の存在感のあるバンド。コメントからライブへの気合が感じられました。ところで翌日、『台ワンダフル』のフリーペーパーを見ている所長(8歳)に、「このお兄さんは、記者会見のときもライブのときもずっと豚のマスクをかぶっていたんだよ」と言ったら、所長いわく「え、でも(記者会見の)部屋の外で、この豚の顔を持った人を見たよ」と! それは見てはいけない「中の人」かもしれないので秘密にするように!(笑)
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盧廣仲(クラウド・ルー)。微妙に緊張しているような感じもありましたが、でも笑うとあの笑顔が自然に出てきます。ちなみにこの日は、記者会見・川島小鳥とのトーク・ライブのすべてで違う衣装でした! 最初の挨拶の中で「今朝も日本の朝食を楽しみました」と、さっそく早餐ネタにふれていました。
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撮影タイム終了後は、質疑応答へ。プレスではない立場なので遠慮していたのですが、次から次へと質問が出てくる……という感じではなかったので、途中で思わず挙手してたずねてしまいました。何をたずねたのかというと:

「クラウド・ルーさんの、朝ごはんについて歌っている曲が大好きなのですが、今朝の朝食で何を食べたのでしょうか?」

上に書いたように、自ら早餐ネタを話していたので、そこにふれないでどうする!と思ってしまい、「早安,晨之美」をふまえていることを示しつつたずねてみました。すると、盧廣仲いわく、

「ホテルのビュッフェで食べたけど、日本のごはん(米)はおいしいですね。納豆も好きです」(大意)

とのことでした。そうかー、納豆好きなんだー、と、なんだか新発見な気分でした(笑)。ちなみに私は納豆そんなに好きじゃありません…(研究員Aと所長(8歳)は大好き)。

さらに質疑応答を経て、記者会見の最後。各出演者がライブへの意気込みを語る中、盧廣仲は「日本のオーディエンスのみなさんに、「早安,晨之美」のサビの部分の「どぅえあどぅえあ、どぅえあどぅえあー」を一緒に歌ってほしい」と言っていました(このあとのライブで、オーディエンスが歌った歌声が、盧廣仲に届いているといいのですが)。

以上で時間になり、プレス・カンファレンスは終了。おつかれさまでした〜。


実際にこういう記者会見の場に同席すると、一ファンとしての立場からは見えにくい、プレスの方々やイベントの運営側の方々など、さまざまな立場のみなさんのご苦労がちょっとだけリアルに感じられ、貴重な経験でした。関係者・出演者のみなさんに感謝!

なお、この日の夜に行われた「Musicの部」=ライブについては、リアルタイムの感想をFacebookにまとめていますので、簡単な内容ですがそちらをどうぞ:
https://www.facebook.com/okiraku.tw/posts/888973287805319


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