2018年06月23日

第29屆金曲獎・ノミネートリストの再チェック(前)

本日、2018年6月23日(土)は「第29屆金曲獎」の発表日です(公式サイト)。毎年使っている説明を今年も繰り返すと、この金曲獎、「台湾のグラミー賞」としばしば言われる、台湾で最もメジャーな音楽賞です(同時に、選考に一癖あるともよく言われます)。今日発表されるのは、金曲獎の中の「流行音樂」(ポピュラー音楽)関連の諸部門です。

例年同様に、今回のエントリでは、発表前の復習として、ノミネートリストの再チェックをしてみます。ただ、今年はあれこれ忙しくて、ギリギリになってようやくエントリを書いている状況で、例年ほどきっちり紹介できないかもしれません! その点ご容赦を…。

なお過去の金曲獎については、以下のリンクをご参照: 2017年(ノミネートリスト(前)ノミネートリスト(後)結果)、2016年(ノミネートリスト(前)ノミネートリスト(後)結果)、2015年(ノミネートリスト結果)、2014年(ノミネートリスト結果)、2013年(ノミネートリスト結果)、2012年(ノミネートリスト結果)、2011年(ノミネートリスト結果)、2010年(結果の一部)。

ではさっそく、以下長くなりますがご容赦を。


【演唱類】(ボーカル部門)

■年度專輯獎(ベストアルバム賞)
最佳國語專輯獎入圍作品
最佳台語專輯獎入圍作品
最佳客語專輯獎入圍作品
最佳原住民語專輯獎入圍作品

國語・台語・客語・原住民語の各ベストアルバムのノミネート作品から、全体でのベストアルバムを選出する賞。各部門の受賞アルバムのいずれかがここでも受賞するとは限らないので要注意。


■年度歌曲獎(ベストソング賞)
有 無 (片尾曲) 《大佛普拉斯的電影配樂》﹙林生祥﹚
長途夜車《進擊下半場 Begin The Second Half》﹙滅火器﹚
魚仔《魚仔》﹙盧廣仲﹚
致觀音山《家III》﹙羅大佑﹚
偉大的渺小《偉大的渺小》﹙林俊傑﹚

バラバラなような、でもどこか共通性があるような…というラインナップ。全部男性とは! どの曲も強そうですが、ここでは映画「大仏+」から、林生祥「有無」を。客家語ではなく「客家腔台語歌」のこの曲、金馬獎の最佳原創電影音樂・最佳原創電影歌曲の2部門を受賞しています。映像には大竹研・早川徹のお二人も登場。やや映画ネタバレ感があるので、映画未見の方に紹介するのはちょっと躊躇も。

林生祥《有無》



■最佳國語專輯獎(ベスト國語アルバム賞)
忽然有一天,我離開了台北﹙鄭興﹚
心裡學﹙徐佳瑩﹚
C'mon In~﹙陳奕迅﹚
偷故事的人﹙aMEI﹚
偉大的渺小﹙林俊傑﹚
神經誌﹙丁世光﹚

新人から大御所まで混在していますが、ここでは大陸出身の鄭興をご紹介。揚州/北京/台北と移ってきた経験を経て歌われるこの歌、雨の台北の風景を思い出させ、しみじみ印象に残ります。

鄭興《台北下的雨》



■最佳台語專輯獎(ベスト台湾語アルバム賞)
卡通人物﹙茄子蛋﹚
縫夢﹙許富凱﹚
撼山河﹙陳明章﹚
根﹙農村武裝青年(江育達)﹚
人生我敬你一杯﹙蕭煌奇﹚

ここもベテランからニューフェイスまで多彩です。ここでは農村武裝青年を取り上げます。台湾の農村や土地に根差した音楽活動を続けている彼ら、現在はボーカル阿達(江育達)の故郷・彰化田中鎮を拠点にしています。このMVには、著名な舞踏家・林宜瑾が出演しています。

農村武裝青年「揣啊揣」



■最佳客語專輯獎(ベスト客家語アルバム賞)
大嶺腳下2﹙秋林﹚
夜色﹙黃瑋傑﹚
黃泥路﹙黃連U﹚
細妹恁靚2017﹙蕭迦勒﹚

しばしば新しい発見がある客家語の部門、今年は数がちょっと少なめで残念。今回紹介するのは蕭迦勒。彼は母親が桃園楊梅の客家人だったそうですが、自身はもともと客家語は聞き取れても話すことはできなかったそうです。創作活動を進める過程で、客家文化の豊かさに気づかされたとのこと。以下で紹介する曲では、歌詞は客家語と台湾語ですが、途中で原住民サイシャット族の言葉やインドネシア語も混じっています。

蕭迦勒《浪漫山線》



■最佳原住民語專輯獎(ベスト原住民語アルバム賞)
圍坐在一起 Paliulius / 8664樂團﹙Paliulius 樂團﹚
渲染﹙桑梅絹﹚
直美﹙CMO樂團﹚
有我陪伴﹙馬詠恩;古伊‧達理瑪勞;高蘇珊;米鴻恩;張理軒﹚

ノミネート数は少なめですが、充実しています! どれも魅力的で迷った結果、例外的に2つ紹介しようと思います。
一つ目は、2年前に続き2度目のノミネート・CMO樂團。アミ族の蘇瓦那(元・歐開合唱團)が率いるCMO樂團、今作も洗練されたサウンドとアミ語の響きが見事です。他にも、アルバムには宮古島出身の歌手・真喜志亜希子(HIRARA)が参加した曲もあります(金曲獎授賞式にも参加するとのこと!)。

CMO樂團「遠行」


もう一つは、花蓮・花東縱谷出身のバンド・台玖線樂團。MVには南投縣信義鄉の小学校・久美國小の子どもたちが登場しています。楽しそう!

台玖線樂團「有我陪伴」



■最佳音樂錄影帶獎(ベストミュージックビデオ賞)
他是末日預言中的宇宙碎片《戰神卡爾迪亞》﹙導演:談宗藩﹚:陳珊妮
泰國恰恰《亞洲通吃》﹙導演:Chayanop Boonprakob﹚:Namewee 黃明志
言不由衷(The Prayer)《心裡學》﹙導演:比爾賈﹚:徐佳莹
與浪之間 Waves《次等秘密 Insignificant Secret》﹙導演:邱柏昶 Birdy﹚:Vast & Hazy
未單身《A-LIN同名專輯》﹙導演:廖人帥;姚國禎﹚:A-LIN
雪女《末路狂花》﹙導演:MO (YAMANYAMO)﹚:魏如萱
身後《偷故事的人》﹙導演:羅景壬﹚:aMEI 張惠妹

例年同様、今年もユニークで工夫に満ちたMVがたくさんノミネートされています。すべて観てほしいのですが、悩んだ結果サンディーを選びました。いつもながら、とてもユニークです!

陳珊妮「他是末日預言中的宇宙碎片」



■最佳作曲人獎(最優秀作曲賞)
陳珊妮;魏如萱/不要不要《戰神卡爾迪亞》﹙陳珊妮;魏如萱﹚
盧廣仲/魚仔《魚仔》﹙盧廣仲﹚
艾怡良/言不由衷(The Prayer)《心裡學》﹙徐佳瑩﹚
李劍青/在家鄉《仍是異鄉人(Still An Outlander)》﹙李劍青﹚
林俊傑/偉大的渺小《偉大的渺小》﹙林俊傑﹚

■最佳作詞人獎(最優秀作詞賞)
王昭華/有 無 (片尾曲) To Have, or Not To Have《大佛普拉斯的電影配樂》﹙林生祥﹚
盧廣仲/魚仔《魚仔》﹙盧廣仲﹚
嚴彬; 李宗盛/在家鄉《仍是異鄉人(Still An Outlander)》﹙李劍青﹚
葛大為/連名帶姓《偷故事的人》﹙aMEI﹚
宋冬野/郭源潮《郭源潮》﹙宋冬野﹚

■最佳編曲人獎(最優秀編曲賞)
黃少雍/同在《同在》﹙宋念宇﹚
溫奕哲/閻羅王《我有我自己》﹙閻奕格﹚
Kenn C/跳舞的梵谷《No.13 作品 : 跳舞的梵谷》﹙孫燕姿﹚
Jerald Chan/床上的K洞《C'mon In~》﹙陳奕迅﹚
常石磊/漂白《來日方長》﹙黃齡﹚

この3部門、実力派が多々ノミネートされて迫力があります。また悩んだ結果、連続で恐縮ですがもう1本サンディーを! 魏如萱waaとのコラボ、サウンドもクールでかっこよく、MVも張庭歡 Una Changのダンスがシャープで見入ってしまいます。

陳珊妮+魏如萱「不要不要」



残りの部門は、改めて! できれば授賞式が始まる前に!

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2017年12月08日

KAO!INC.のアーティストに質問!(4)夜貓組(YEEMAO)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズとして、これまで第1回(蛋堡)第2回(國蛋)第3回(李英宏 aka DJ Didilong)と続けてきました。

最後になる第4回の今回は、夜貓組(YEEMAO)(Facebook)です。

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夜貓組は、春艷とLeo王の二人組。「顏社有史以來最不酷帥壞屌、最Young組合,非典型饒舌歌手的怪洨氣質」って書いてるけど、うーん、どう訳そう(笑)。ともかく、これまでのKAO!INC.の歴史の中で、イケメンではないかもしれないけど(!)、最も若いユニットで、「典型的ではない」ラッパーである、というわけです。この「非典型」であるところにこそ新しさや可能性がある、というのがポイントです。

春艷(余承恩、FacebookInstagramtwitter)は台北出身、復興商工→中國文化大學廣告學系。ソロで活動してきたラッパーで、ミニアルバム「大男孩主義」(2014)など、CDのリリース経験もあります。

Leo王(王之佑、Facebook)は高雄出身、高師大附中→台灣大學社會學系。もともとはインディーズロックバンド巨大的轟鳴(Gigantic Roar)でボーカルを務めていました。2015年以降ラッパー「Leo王」としてソロ活動を始め、2016年にはKAO!INC.からソロアルバム《藝術家脾氣》をリリース(その中の「陪妳過假日」は、先日9m88についてのエントリで紹介しました)。最近では、雀斑frecklesの「不標準情人(不完全な恋人)」でのラップを聴いた人も多いかもしれません。

この春艷とLeo王によるユニットが夜貓組なのですが、上で「非典型」と書いたように、彼らのスタイルは何だかちょっとヘンです(!)。今年10月に相次いで公開されたMVはすべてヘンですが、音楽的にもなかなか面白い試みをしているように思いました。

例えばこれは、昨日のエントリで紹介した李英宏が参加した曲。アニメのかなりのヘンさについ気をとられてしまいますが(笑)、サビになんとなく旺福にも通じるテイストがあるなあと思っていたら、ギターは旺福の小民でした。

夜貓組(Leo王+春艷)「健康歌」 feat. 李英宏 aka DJ Didilong


WifeとWiFiをかけたこの曲、MVはやはり相当にヘンですが(劣質/獵奇版安室愛美惠(歌手の名前ではなくて、陶子がだいぶ前にやっていたコメディドラマの名前)とあって笑ってしまった)、ポップで耳に残る曲。Brandyのバックコーラスもいいです。

夜貓組(Leo王+春艷)「妳是我的Wifi」 feat. 國蛋 GorDoN


さらにもうひとつ、これもヘンというかかなり作りこんだMVですが、サウンドは印象に残る仕上がり。ベースに盧廣仲のバンドでときどきプレイしているJack Ko 柯遵毓が参加しています。

夜貓組(Leo王+春艷)「驢子」


夜貓組、Leo王がもともとボーカリストだったことがとても大きいように思いました。メロディアスなボーカルスタイルもでき、さらにそこに自然に乗せるラップもでき……というのは、やはり強力です。

というわけで、夜貓組の二人には、おきらく研からは2つの質問を送りました。一つは音楽やMVのユニークさについて、二つ目は全アーティスト共通の質問です。

【Q1】春艷・Leo王それぞれのソロの場合とはまた違って、夜貓組はとてもユニークなスタイルの音楽だと思います。このスタイルを選んだ理由は何でしょうか。また、MVがどれも非常にユニークで印象的です。MVのアイディアはどういうときに浮かぶのでしょうか? 二人のどちらのアイディアなのでしょうか?

【A1】
(Leo王)実は、今回のアルバムのスタイルがユニークなのは、プロデューサーの李英宏のおかげだ。彼の指揮の下、僕たちは数多くの非常に優秀なミュージシャンと共に仕事をした。これはみんなの命の結晶であり、宇宙の巡り合い。だから、唯一無二の物になっているのは当然だろう。

(春艷)二人のスタイルが違うのは、多分、普段好きなものがあんまり同じじゃないから。こういうのって、かっこいいんじゃないかと思う。僕たち二人のものがぶつかって一つになったものが夜貓組のMVになっている。MVについては逆に、僕たちはあまり自分の意見を出さない。だって、監督さんたちはみんなあまりにも才能があるからね。

【Q2】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A2】(Leo王)お薦めの場所は、台北や台北近郊の川沿いにある公園。どこもかなりいいと思う。

自分たち自身の個性が出ているのだ、という答えが来るかと思ったら、二人とも単純にそうとは答えず、むしろコラボを通じてできあがるものとして個性やユニークさを語っているのは興味深いです。

以上、KAO!INC.の4組のアーティストを紹介してきました。この面々が一堂に会するステージを日本で体験できるというのは、本当に貴重だと思います。気になる方は、ぜひライブへ!

【画像提供:KAO!INC.】

posted by 研究員B at 02:28 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

KAO!INC.のアーティストに質問!(3)李英宏 aka DJ Didilong

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

第1回(蛋堡)第2回(國蛋)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第3回の今回は、李英宏 aka DJ DidilongFacebook)。みなさん来ましたよ、李英宏の番ですよ!

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※左が李英宏、右は蛋堡


李英宏は台北出身のシンガー/ラッパー/DJ。かつてラップ/ヒップホップのグループ大囍門(懐かしい!)の一員としてデビューしたときは、まだ17歳だったとのこと。しかし早々に音楽シーンから離れ、台灣藝術大學廣電系に入学・卒業。まったく音楽と関係のない仕事をしたこともありましたが、やがてKAO!INC.に加わることになりました。ただKAO!INC.での彼の仕事は、MVなど映像制作に関わるものであり、決して自ら音楽をつくる立場ではありませんでした(実際、つい数年前のKAO!INC.関連のMVにも、制作スタッフのクレジットの中に李英宏の名前をしばしば見つけることができます)。
ある日、李英宏はKAO!INC.のトップである迪拉(DELA)に、自分もアルバムをリリースしたいと言ったそうです。2015年にFinger Drummingの大会に参加して敗退した経験などから、一層音楽への思いは強まり、基礎から音楽を学んでいったとのこと。

そして2016年についにソロアルバム《台北直直撞》をリリース。台湾語をメインにした歌とラップは大いに注目されヒットし、翌年の金曲獎で、李英宏は最佳台語專輯獎と最佳台語男歌手獎の2部門で、伍佰らと並んで堂々とノミネートされるに至りました。

なんといっても、インパクトを与えたのはアルバムのタイトルチューン「台北直直撞」でしょう。必ずしも全体に占める台湾語の比重は大きくないのですが、要所要所の台湾語の響きが耳に残ります。このMV、台北という都市の描き方の一つとしても興味深いと思います。

李英宏 aka DJ Didilong 「台北直直撞」


もう一曲、これは蛋堡とのコラボ。これは台湾語が全面的に用いられていて、なかなか印象的です。旺福の小民がギターで参加していて、いい感じで効いています。MVには紀培慧(映画「九月に降る風」「南風」、來吧!焙焙!のMV〈全世界我最喜歡你〉など)が出演しています。

李英宏 aka DJ Didilong 「什麼時候她」 feat. 蛋堡 Soft Lipa


でも李英宏には、次に挙げるこんな曲もあるのです。台北の街の中で見かけた犬をめぐって、ピアノだけで歌い上げるこの曲からは、台湾語の味わいが一層強く伝わり、ヒップホップだけでない彼の引き出しの多さを感じさせます。

李英宏 aka DJ Didilong 「一隻狗仔」


一気にブレイクした李英宏、他のアーティストのコラボも積極的に行っていますが、音楽活動にとどまらず、映画への出演(連奕g監督の『全ては愛のため(痴情男子漢)』)や、さらには台湾版Marie Claireに登場するなど、どんどん活動の幅を広げつつあり、今後も大変楽しみです。

李英宏には、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは台湾語について。もう一つは、映像を制作する側から、映像を撮られる側に移った経験について。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と李英宏からの回答です。

【Q1】台湾語での歌やラップに取り組んだのは、どういう理由からなのでしょうか? 他の/過去の台湾語での歌手・ラッパーたちとは異なる自分の個性は、どういうところにあると思っていますか?

【A1】自分の慣れ親しんだ言語だから。できるだけ他の人とは違っていたい。

【Q2】映画『全ては愛のため(痴情男子漢)』に出演していますが、顔社に入った最初の頃はMVのディレクターをしていましたよね。映像を作る側から、映像に出演する側に変わるのはどういう気分でしょうか? 映像を作る側だったことが、MVや映画に出演するときに役立つことはあったのでしょうか?

【A2】こんな風に変わるなんて予想していなかった。カメラの前でパフォーマンスするのは、やっぱりちょっと恥ずかしいね。あと、物を運んだりする必要はなくなったな。
もちろん、すごく役に立っている。制作チームの仕事現場にすぐ入っていける。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南はとてもいいと思う。歴史があるし、どこに行っても美味しい台湾料理がある!

台湾語についてはシンプルな回答でした。個人的な印象では、台湾語へのこだわりゆえに台湾語で歌う・ラップをする、というだけでない、彼なりの音楽的な理由もあるような気がしますが、どうでしょう。
二つ目の質問については、堂々とふるまっているようにも思ったのですが、やはり戸惑いはあったようです。「物を運んだりする必要はなくなった」というのは面白いですね!
あと、台南出身ではない李英宏もまた、台南推しでした!

次回はいよいよ最後の、夜貓組(YEEMAO)です!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月06日

KAO!INC.のアーティストに質問!(2)國蛋(GorDoN)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

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蛋堡をとりあげた前回のエントリ(第1回)に続き、今回のエントリも、来日するKAO!INC.の各アーティストに対して、おきらく台湾研究所から送った質問と、各アーティストから届いた回答を紹介するシリーズです。

第2回の今回は、國蛋GorDoNFacebook)。

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國蛋(GorDoN aka Dr. Paper)は台南出身。高校は台南一中(蛋堡と同じ)、大学は台湾大学化学系と、どちらも名門の学校を卒業しています。また、2011年にはニューヨークに渡り、大学院に留学しています。KAO!INC.には2007年以来所属しており、インディーズシーンで長く支持されてきたラッパーです。蛋堡ほどの広い認知度はまだないかもしれませんが、台湾のヒップホップシーンで重要な存在であり続けているのは間違いないでしょう。

國蛋の特徴は、(十分に中国語を理解できていないことを棚に上げて言うと)リリックがとても都会的で、かつ内省的なところだと思います。オールドスクール風なシンプルなサウンドと相まって、クールな印象を強く与えるのが、國蛋のスタイルだと感じます。このことは、例えば2015年に第六屆金音獎で最佳嘻哈單曲獎を受賞した「Yesterday」でも、より最近に発表された「療程」でも感じられるのではないでしょうか。

國蛋 GorDoN 「Yesterday」


國蛋 GorDoN 「療程 Medical Treatment」


この秋には、排灣族出身の人気女性歌手・戴愛玲が10月にリリースしたアルバム《了不起寂寞》に収録されている曲で、國蛋はゲスト参加してラップを聞かせています。このコラボはなかなか面白い組み合わせで、國蛋のラップを新鮮な形で聴くことができます。

戴愛玲「不如沒問過」


さて、國蛋にはおきらく研からは2つの質問を送りました。一つは、上述した國蛋の都会的・都市的な面について。もう一つは、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と國蛋からの回答です。

【Q1】國蛋のリリックはとても都会的で、都市に生きる人の心情を見事に描いていると思います。この「都市に生きる人の心情」は、どこの都市でも共通していると思いますか、それとも違いがあるでしょうか? 台南、台北、ニューヨーク……それぞれの場所での経験は、リリックにどういう影響を与えているのでしょうか?

【A1】人、温度、言葉、スピードは都市ごとに違う。だから、生活の中で感じることも違うと思うし、それは結局僕の作品に影響を与えている。創作する時は、それぞれの環境で自分が感じたことを書いているだけ。感じたことのある部分は共通していると、後から振り返ってみてやっと気づくんだ。

【Q2】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A2】絶対に台南で鱔魚意麵を食べること!

なるほど、個々の異なる場所で感じたことの共通性は、その時点で気づくものではなく、後から振り返ってみて気づくというのは、わかる気もします。もっとリリックを読み込むことで、さらに発見できることもありそうですね。

あと、蛋堡に続き國蛋も出身地の台南を推していますが、より絞り込んで「鱔魚意麵」とは、実に台南出身者らしいチョイスです! 「鱔魚」とは田ウナギのことで、鱔魚意麵は台南ローカルの小吃の典型的なものの一つです。実は、國蛋の音楽を聴いてもまったく台南のイメージはなかったので、都市に生きる人の心情を描く國蛋が鱔魚意麵というコテコテなものを挙げるというのは、なんだか新鮮でした!

次回は、李英宏 aka DJ Didilongです! お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

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2017年12月05日

KAO!INC.のアーティストに質問!(1)蛋堡(Soft Lipa)

台湾のヒップホップレーベル「KAO!INC.」(顏社: 公式サイトFacebooktwitter)が、ワールドツアーの一環で日本でも公演を行います。12月15日(金)は原宿アストロホール18日(月)はOSAKA MUSE。出演は、KAO!INC.所属の4組のアーティスト、蛋堡(Soft Lipa)、國蛋(GorDoN)、李英宏 aka DJ Didilong、夜貓組(YEEMAO)です(公演の詳細:クリエイティブマン)。

台湾のミュージックシーンに関心がある人なら、ヒップホップについて詳しくなくても、KAO!INC.(顏社)について聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。KAO!INC.について、クリエイティブマンのページでの紹介を引用しておくと:「2005年7月に設立。台湾の伝説的HIPHOPレーベル。台湾ラップ・HIPHOPの発展において重要な役割を果たす。代表のDELA(張逸聖)はプロデューサーとして独特なセンスと美意識で数多くのヒット作を手掛けた」。ちなみにKAO!INC.のオフィスは、台北の富錦街にあります。KAO!INC.経営のカフェ「BEANS & BEATS」公式サイトFacebookInstagram)に行ったことがある人もいるかもしれません。

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今回の日本ツアーは、このKAO!INC.の面々が一同に会して来日するという、非常に貴重な機会で、間違いなく要注目!です。と思っていたら、なんとKAO!INC.から直々にお声をかけていただき、おきらく台湾研究所から各アーティストに対して質問を送ることができました。そこで、今回から4回に分けて、その質問に対してKAO!INC.の各アーティストから届いた回答を、ブログで紹介していきたいと思います。

第1回の今回は、蛋堡Soft LipaFacebookInstagram)です。

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蛋堡の本名は杜振熙、台南出身です。「蛋堡」という名前の由来は、子どもの頃、彼の父が毎朝「火腿蛋堡(ハムエッグ・バーガー)」を朝食に持たせていたからとのこと。大学時代にKAO!INCにスカウトされてデビューしてから、数々の賞を受賞しています。金曲獎に限っても、2010年に最佳新人獎・2011年に最佳專輯にノミネートされたほか、2014年には最佳國語專輯獎や最佳國語男歌手獎など3部門にノミネートされています。

蛋堡については、日本のクラブジャズバンドJABBERLOOPとのコラボを覚えている人もいるかもしれません。今回のツアーでも、15日の東京公演でジャバホーンズが友情出演するそうなので、楽しみです!

蛋堡 Soft Lipa X JABBERLOOP 「I Want You」


蛋堡の特徴は、なんといってもトラックのクオリティの高さでしょう。ヒップホップやラップについての固定的なイメージを超える、音楽的な洗練が感じられます。ヒップホップファン以外にも浸透していることや、ヒップホップ以外のアーティストとのコラボの多さにも、そのことが表れているように思います。個人的に好きなのは、例えばこの曲です:

蛋堡 Soft Lipa 「我們都有問題」 feat. N.CHEN


というわけで、おきらく研からは3つの質問を送りました。一つは、多彩な音楽の影響について。もう一つは、蛋堡のFacebookやInstagramにときどき登場する、お子さんの蛋花について(蛋花は、こんな子です。かわいい!)。最後は、全アーティスト共通の質問です。以下、質問と回答です。

【Q1】蛋堡の音楽は、典型的なヒップホップやラップにとどまらない、多様なジャンルの音楽の影響を感じさせます。これまで影響を受けた音楽やアーティスト(できれば、ヒップホップ関係以外)を教えてください。また、オフのときに聴く音楽はどんなものを聴いているのでしょうか。やはり多彩な音楽を聴いているのでしょうか?

【A1】ジャズ、ハウス、台湾の校園民歌、昔の流行歌。リラックスした状態では、フリージャズ、ニュージャズ、その他、ゆったりした気持ちになる音楽が好き。

【Q2】お子さん(蛋花)が生まれたことは、ご自身の音楽活動にどういう影響を与えましたか? 蛋花はどんな音楽が好きですか? 自分の音楽を聴かせることはありますか?

【A2】創作時間がずいぶん細切れになった。蛋花はしまじろうの歌なら全部好き。普段は蛋花が音楽の選択権を握ってるよ。リズム感がよくて、僕がヒップホップを聴いていると、きちんとリズムに合わせて頭を振ったりもできるんだ。でも、きっぱりと「この曲、聴きたくない!」と言うこともある。

【Q3】台湾に来たらぜひこういう体験をしたらいい、というおすすめはありますか? こういうことをやるのがお勧め・こういう場所に行くのがお勧め・これを食べるのがお勧めなど、体験・場所・食べ物でも何でも結構です。

【A3】台南で散歩したり、食べたりするのがお薦め。

Q1については、ジャズっぽいものは予想していたのですが、蛋堡が「校園民歌」を聴いているというのはちょっと予想外で興味深いです(校園民歌は、かつての台湾でキャンパスなどで歌われた歌の数々です。昨年の東京国際映画祭で台湾のドキュメンタリー映画『四十年』を観た方は、イメージがわくかもしれません)。

あとQ2で、仕事に集中する時間が細切れになってしまう……このくらいの子どもが身近にいた経験がある人にとっては、まさに「あるある」ですよね(笑)! 蛋堡も同じなんですね。しまじろう、人気です! 「これ聴きたくない!」というのも、目に浮かぶようです。

最後にQ3。やはり台南出身ということで、台南をご推薦ですね。私も久々に行きたい!

いかがでしょうか? こんな感じで、ほかの3アーティストについても順次紹介していきますので、お楽しみに!

【画像提供:KAO!INC.】

posted by 研究員B at 00:12 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする