2010年11月02日

台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その5

10月30日に台北で開催された台灣同志遊行=台湾プライドパレード(Taiwan LGBT Pride、オフィシャルサイトwikipedia)について、直前のエントリで取り上げたばかりですが、あともう少しだけ、追加的にふれておきます。

なお、関連するエントリについては、その1その2その3その4を、高雄のプライドパレードについては、その1その2をご参照ください。


4. 大炳のカムアウト

バラエティータレントで、ドラマにも出演していた芸能人の大炳(wikipedia)。「敗犬女王」でロミオ(羅密歐)役を演じていた人といえば、わかる人もいるのでは。「ハートに命中!100%」でも弁護士役でした。

実は彼は、これまで3度もドラッグで逮捕されています。2007年が最初で、その後2009年4月、次に2010年4月。2度目の逮捕後に事務所から契約を解除され、事実上芸能界から去っていました。

この大炳、実はこのプライドパレードにはこれまで数回参加したことがあり、パレードの際にステージに上がることもありました。ただ、そうした際に紹介されるときは、「LGBTの“好朋友”」、つまりLGBTにサポーティブな「友人」であるとされていたそうです。しかし、3度目の逮捕のときに、「彼氏」と一緒だったことが報道されたこともあり、大炳は今回のステージ上で、「これ以上演じる必要はもうないね!」と言い、事実上カムアウトしたとのことです。下記の映像でも(おそらくその話をした箇所で)、その発言に観衆がわっと盛り上がっています。



また大炳は、あくまでも逮捕されたのはドラッグが理由であって、LGBTということで逮捕されたわけではないとして、ドラッグとLGBTのことを一緒にしないでほしいと述べたそうです(以上、苦勞網中時電子報NOWnewsなど参照)。

大炳、さすがにもう消えてしまうのかと思っていましたが、思わぬ形で姿を見ることができました。少なくとも会場での人気は上々のようなので、また「復活」することがあるかも???



5. 多彩な参加グループ

台湾プライドパレードのオフィシャルサイトのこのページに、パレードに参加したグループの一覧が載っています。この数の多さもなかなかですが、実にさまざまな団体が参加しているのがわかります。

その中で印象に残ったのは、大学生のグループがかなりみられることです。大学の公式な機関に近いグループもあるようですが、少なからず学生の自主的な組織と思われるものが多々あります。例えば、苦勞網のページ(「2010台灣同志大遊行 三萬人齊聚 「投同志政策一票」」)の上から3つ目・4つ目の写真は学生のグループです。この記事によると、今年は学校などで、セクシュアルマイノリティや青少年のセクシュアルライツに関わる事件が多々発生したことから、学生グループが積極的に立ち上がったとあります。具体的にはどんな事件があったのか、学生以外の多様なグループの例の紹介などを続けて書こうかと思ったのですが、それにはさらなるリサーチが必要そうなので、今回はここまで。でも、学生が学生であることを明示したグループでこうしたパレードに参加する(できる)というのは、なかなかなことだと思います。


台湾のプライドパレード、まだ掘ればいろいろ出てきそうですが、とりあえず一区切り。来年はどういうテーマで、どういう展開になるのか、楽しみです。
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2010年11月01日

台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その4

このブログで何度かエントリを書いてきた台灣同志遊行=台湾プライドパレード(Taiwan LGBT Pride、オフィシャルサイトwikipedia)、10月30日に台北で無事開催されたようです。今回はこれについて、いくつか断片的に。

なお、関連するエントリについては、その1その2その3を、高雄のプライドパレードについては、その1その2をご参照ください。


1. 日本での報道

今回のパレード、おっと思ったのは、なんと日本のメインストリームのメディアで報道されたことです。しかも写真入り!

時事通信(jiji.com)「台北で今年もゲイパレード=3万人参加、アジア最大級」

さらに、朝日新聞のasahi.comにも、時事通信の配信記事として掲載されました(asahi.com「台北で今年もゲイパレード=3万人参加、アジア最大級」)。ただし、asahi.comに載ったからといって朝日新聞の紙面に載るとは限らず、手元にある版では残念ながら掲載されていない模様。もし載っているものがあるようならお知らせください。

この記事、「プライドパレード」と表現してほしい気がしなくもないけど、何はともあれ報道されたのはめでたい限り。他方で、8月の東京・渋谷でのプライドパレードが日本のメインストリームのメディアで一切報道されなかったことを思うと、「なぜ台湾だと報道されるのか」と思わざるをえないのも事実。「3万人」という数字がすごいから? 所詮別の社会での出来事だから?


2. 阿密特=アーメイ(張惠妹)の参加

前のエントリで紹介したとおり、今回のパレードの「彩虹大使」(レインボー大使)を務めたのは阿密特ことアーメイ(張惠妹、阿妹)。やはりアーメイの存在は大きく、パレードではなくアーメイをメインに取り上げる報道も台湾ではいくつか見られました。その中からひとつ、ニュース動画を。



腕輪もネックレスもレインボーの装いで登場したアーメイ、かっこいいです! 別のニュース動画では、全身レインボーにしようと思ったと語っていました。上の動画では、「レインボー大使を務めているかどうかとは関係なく、LGBTのみんなのためなら自分はずっと無償で支援したい」(大意)といった発言もしています。聯合報の記事(「阿密特代言 3萬人冒雨挺同志政策」)によると、「アーメイを総統に!」なんて声まで上がったとか。


3. 政治家の参加をめぐる議論

以前のエントリでもふれたとおり、台湾は月末に大きな選挙(主要都市の市長選)があることもあって、今回のパレードはLGBTに関係する政策の実現など、政治的な面が強調されています。以下のニュース動画でも、主催者側(台灣同志遊行聯盟)の一人である呂欣潔さんが、「候補者がどの政党の所属かということではなく、自らが求めているLGBTのための政策が何か」を考えることや、「人権尊重といった言葉だけではなく、実際にLGBTのための実践的な政策を提示すること」が求められている、といった発言をしています(大意)。



そんな中、実は開催数日前に、台北市長選で民進党から立候補している蘇貞昌がパレードに参加することを表明していました。これに対して、当初主催者側は立場を問わず参加を認める方向でしたが、激論の末、最終的に「不歡迎」つまり参加を歓迎しないという発表をしました(「台灣同志遊行聯盟聲明: 請尊重遊行主體 不歡迎沒有同志政策的候選人」)。蘇貞昌は台湾の大物政治家といっていい存在で、これまでさまざまな要職を経てきた人ですが、その経歴の中で特にLGBTのためになることを(しうるだけの立場にあったにもかかわらず)した実績があるとはいえず、この点が問題になったとのことです。LGBTのためになる政策は歓迎するが、LGBTを「消費」する立場は歓迎しない、と述べられています。これを受けて、蘇貞昌はパレードへの参加を見送りました。

このあたりはいろいろ文脈もあり、もっと詳しく知りたいところです。高雄市長の陳菊(彼女も月末の選挙で再選を目指して立候補しています)は、高雄のプライドパレードでLGBTから好評を博していたけど、彼女はどういう実績があるんだろう、などなど、気になることは広がるばかり。

ともあれ、こうしたエピソード自体も、台湾社会においてこのイベントの存在感、さらにはLGBT自身の存在感がどのようなものかを浮かび上がらせているような気がします。そしてやはり、では日本は?とまた考えてしまいます。

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2010年10月20日

台灣同志遊行(台湾プライドパレード)その3(阿密特=アーメイ!)

10月30日に台北で開催される台灣同志遊行(Taiwan LGBT Pride、オフィシャルサイトwikipedia)。以前これについては二度ほどエントリを書いているけど(その1その2、高雄のプライドパレードについても二度書いた:その1その2)、いよいよ当日=10月30日が迫ってくる中で、新しい情報が入ったので「その3」を書いておきます。それは、毎年このパレードで定められている「彩虹大使」(レインボー大使)について。

「彩虹大使」とは、この企画の宣伝・支援をする代表的な役目で、パレードのゴールに設置されたステージで歌うというのがお決まりのパターン。台湾の場合、毎年、半端じゃなくトップクラスのメジャー度の芸能人が担当しているのがポイント。そして、今年の彩虹大使もついに決まったという報道が出ました。

誰になったかというと……「阿密特」ことアーメイ(張惠妹)に決まったそうです! アーメイは2007年にも彩虹大使をやっていたので、再登場ということになります。ちなみに昨年(2009年)はフィッシュ・リョン(梁靜茹)でした。

台灣同志遊行オフィシャルサイトでは、以下のページで報告されています。

「2010同志遊行彩虹大使出爐 1030同志遊行當天歌聲支持」

報道は以下。

蘋果日報「阿妹再當彩虹大使 領軍同志遊行」

この記事の内容や、関連する阿密特=アーメイ方面の情報は、A*mei Projectさんのtwitter(@AmeiProject)で既にある程度紹介されているのだけど、違う客層の方もいらっしゃるかと思うので(?)、こちらでも多少ご紹介を。

台灣同志遊行オフィシャルサイトでは、「正視自己原住民身分,藝人阿密特come out了」と書いています。阿密特という原住民(先住民族)としての名前を名乗ってCDをリリースしたアーメイについて、阿密特を名乗ったこと自体が一種のカムアウトだというわけです。アーメイのファンにはLGBTも多かったこともあって、再び彼女を起用することになったようです。

アーメイ自身もやる気満々のようで、「蘋果日報」の記事では、既にDJにそのための編曲を依頼したと述べています。また、プライドパレードの主催者の台灣同志遊行聯盟から、彩虹大使をやるのは二度目だけどいいかと言われたのに対して、アーメイは全然構わないと答え、毎年声をかけてもらえるなら毎年行く!と言ったとのこと。

というわけで、阿密特の「彩虹」のMVを貼っておきます。A*mei Projectさんのツイートによると、この「彩虹」は「もともと「我的同志朋友」というタイトルでゲイの友達に宛てた曲」で、「辛いとき、受け止めてくれる大切な友達への感謝を歌った感動的な曲」だそうです。少しだけ歌詞を。
衣櫃不算太ェ 藏著你的天堂 依然歡迎我分享
我們的愛很像 都因男人而受傷 卻又繼續碰撞

當天空昏暗 當氣溫失常 你用巨大的堅強 總能抵擋
當尖銳眼光 當刺耳聲響 你用彩虹的浪漫 溫柔包裝




あと、台湾の話題ではないけど、無関係ではないことをひとつだけ。

日本でもラトガース大学の事件は報道されていたけど(例えば毎日新聞)、アメリカで最近、同性愛への嫌悪によるいじめや迫害などから、LGBTの若者の自殺が相次いで報道されました。これを受けて、アメリカでは明日(今日)10月20日に、亡くなった若者たちを追悼する意味を込めて、紫色の服を着ようという声が上がっています。日本語ではあまり紹介されていない気もするし、ちょうどプライドパレードのエントリでもあるので、参考までにご紹介。いろんなページに載っているけど、一例としてひとつだけリンクを。

R.I.P. ;; In memory of the recent suicides due to gay abuse, wear purple.
It's been decided. On October 20th, 2010, we will wear purple in honor of the 6 gay boys who committed suicide in recent weeks/months due to homophobic abuse in their homes and at their schools. Purple represents Spirit on the LGBTQ flag and that’s exactly what we'd like all of you to have with you: spirit. Please know that times will get better and that you will meet people who will love you and respect you for who you are, no matter your sexuality. Please wear purple on October 20th.


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2010年09月21日

高雄同志遊行(台湾・高雄プライドパレード)その2

数日前に「高雄同志遊行(台湾・高雄プライドパレード)」というエントリを書いたけど、予定通り9月18日に高雄で初めてのプライドパレードが行われたようです。台風とぶつかるのではないかと心配していましたが、問題なく開催されたようで何より。

この話題を、開催後に日本語で紹介したものは、現時点までに気づいた範囲では、「な〜るほど・ザ・台湾」の「今日のNEWS」だけです。そこで、台湾での報道をちらちら(中国語初級レベルなりに)見てみました。いくつか記事をリンクしておきます。

聯合報「高雄同志大遊行 站出來「好自在」」(動画もあり)

自由時報「高雄上千同志遊行 陳菊相挺」

NOWNews「高雄首屆同志大遊行 吸引逾3000人」

ニュースの動画は、上の聯合報のページのもの以外に、以下をみつけたのではりつけておきます。


パレードの参加人数は報道によって差があり、おおむね2000人〜3000人のようですが、この数字だけみれば、今年の東京のプライドパレードと同じぐらいでしょうか。

さ、この高雄のパレードでいくつか気になったのは:

1.
「花媽」こと陳菊・高雄市長がパレードに登場。会場ステージで、「尊重每一個多元的個體」「相愛是人權」などなど、多様性の尊重を謳う、シンプルだが悪くないメッセージを話したようです。こういう立場の人がLGBTにサポーティブだということの意味は、本当に大きい気が。そんな市長に、「花媽愛同志、同志愛花媽」というコールが投げかけられ、市長も「謝謝、花媽愛大家」と返す風景は感慨深いです。

2.
高校生のLGBTのグループも参加していた様子。規模は小さいのかもしれないけど、そういうグループが存在してパレードに参加するぐらいであるということが、やはり感慨深い。

3.
「LGBTの親のグループ」というのもあるそうで、その人たちもパレードに参加していたとのこと。

他にも何かわかったら、このエントリに追記するかtwitterでつぶやくことにします。


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2010年09月16日

高雄同志遊行(台湾・高雄プライドパレード)その1

今回は、先日の台湾「出張」とは別の話題。

今年(2010年)の10月30日に行われる台湾(台北)のプライドパレード(「台灣同志遊行」)については、これまでエントリを2回載せたけど(その1その2)、たまたま今日新たな情報をキャッチ。

なんと今年は、高雄でもプライドパレードを開催するらしい! しかも、時期はもうすぐ、9月18日(土)! 今週末!

詳細は「台灣同志諮詢熱線協會968南部辦公室」のブログにあり。日本語でも、概略はg-lad xxのページで読むことができます。

いやあ、全然知らなかった。日本でも東京以外の都市でプライドパレードはあるけど、以前のエントリに書いたとおり、台北のプライドパレードはアジア最大規模の参加人数を誇るけど、その勢いが高雄でもみられるんでしょうか。高雄は初開催みたいだけど、これも定例化していくなら結構すごいかも。

キャッチコピーは「勇敢站出來、同志好自在」。上のg-lad xxのページでは、「勇気を持って立ち上がれば、同性愛者はもっと自由になれる、という意味のようです」と書いていますが、「勇敢站出來」はまさにカムアウトってことだよね。とてもストレートなメッセージです。

以下のものは、高雄のプライドパレードについて、いろんな人が語るプロモーション動画。ヴァリエーションがあって、適度に素人っぽくて、なかなかいい感じ。


そして、以前のエントリでは、昨年の台北のプライドパレードでは、フィッシュ・リョン(梁靜茹)が「彩虹大使」に選ばれてこの企画の宣伝・支援をしたことも紹介したけど、今回の高雄のプライドパレードも、メジャーな芸能人がサポートしています。「網路大使」(ネット大使?)に選ばれたのは……蕭亞軒(ELVA)! やはり結構なメジャーどころが起用されています。

ELVAからのメッセージの動画もアップされています。1分のヴァージョンと2分半のヴァージョン。あまり内容は重なっていません(!)。

こっちが短いヴァージョン。


こっちが長いヴァージョン。


ELVAはtwitterもやってるので、当日はプライドパレードについてツイートしてくれるかもしれませんね。

前日の夜には『我的高雄同志夢?』と題されたシンポジウムもあったりして、初回ながらいろいろ企画されているみたいです。

最後に、この高雄のプライドパレードの宣伝のために、ボードを持って(!)街を練り歩く様子がアップされていました。これも素人っぽくてなかなか感慨深いです。

これは(1)ですが、実は(6)まであります。ご関心の向きはどうぞ。

posted by 研究員B at 02:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする