2017年06月23日

第28屆金曲獎・ノミネートリストの再チェック(前)

今週末、2017年6月24日(土)は「第28屆金曲獎」の発表日です(公式サイト)。毎年使っている説明を今年も繰り返すと、この金曲獎、「台湾のグラミー賞」としばしば言われる、台湾で最もメジャーな音楽賞です(同時に、選考に一癖あるともよく言われます)。明日発表されるのは、金曲獎の中の「流行音樂」(ポピュラー音楽)関連の諸部門です。

例年同様に、今回のエントリでは、発表前の復習として、ノミネートリストの再チェックをしてみます。過去の金曲獎については、以下のリンクをご参照: 2016年(ノミネートリスト(前)ノミネートリスト(後)結果)、2015年(ノミネートリスト結果)、2014年(ノミネートリスト結果)、2013年(ノミネートリスト結果)、2012年(ノミネートリスト結果)、2011年(ノミネートリスト結果)、2010年(結果の一部)。

以上、ほぼ例年のコピペです(すみません)。ではさっそく、以下長くなりますがご容赦を。


【演唱類】(ボーカル部門)

■年度專輯獎(ベストアルバム賞)
圍庄 Village Besieged﹙生祥樂隊﹚
醜奴兒﹙草東沒有派對﹚
最佳國語專輯獎入圍作品
最佳台語專輯獎入圍作品
最佳客語專輯獎入圍作品
最佳原住民語專輯獎入圍作品

今年から新設された部門(近い内容の部門は過去にもあり)。昨年までは、「ベスト國語アルバム賞」「ベスト台湾語アルバム賞」などの各部門ごとにベストアルバム賞があるだけでしたが、今回からそれらをまとめた全体でのベストアルバムを選出する賞が設けられました。國語・台語・客語・原住民語の各ベストアルバムのノミネート作品に、生祥樂隊と草東沒有派對のアルバムを加えた24作品から選ばれます。


■年度歌曲獎(ベストソング賞)
告白氣球《周杰倫的床邊故事》﹙周杰倫﹚
年輪說《年輪說》﹙楊丞琳﹚
蹦孔《釘子花》﹙伍佰﹚
我們的總和《說 艾怡良》﹙艾怡良﹚
頑固《自傳 history of Tomorrow》﹙五月天﹚
大風吹《醜奴兒》﹙草東沒有派對﹚
離心力 Centrifugal Force《離心力 CENTERIFUGAL FORCE》﹙楊乃文﹚
天真有邪《今日營業中》﹙林宥嘉﹚

例年にも増して、本当に強力でクオリティの高い作品ばかり。どれが獲るんでしょう? ひとまずここでは、林宥嘉の《天真有邪》を。日本からだと、小松菜奈出演、島田大介が監督というMVが注目されるかもしれませんが、曲も歌もクオリティが高いのが印象的。林宥嘉自身も、プロデューサーの荒井十一(荒井壯一郎)の力量もすごいです。

林宥嘉《天真有邪》



■最佳國語專輯獎(ベスト國語アルバム賞)
JTW 西遊記﹙方大同﹚
飛行器的執行週期﹙郭頂﹚
說 艾怡良﹙艾怡良﹚
自傳 history of Tomorrow﹙五月天﹚
末路狂花﹙魏如萱﹚
萬松嶺﹙許鈞﹚

ここもまた困るほどレベルの高いラインナップ。二つ紹介します。
一つは魏如萱。とんがり感を保持しながらポピュラーな浸透ぶりも達成する、本当に見事なアーティストになったwaa、今作もとても魅力的でした。カラフルなMVです。

魏如萱《‬i‭ ‬will be fine》


もう一つ、許鈞もご紹介。今回の金曲獎は台湾以外からのアーティスト(中国・香港)のノミネートが従来よりもさらに多い気がしますが、この許鈞も中国から。2015年の「中国好歌曲第二季」でベスト8入りしたシンガーソングライターとのことですが、歌も曲も説得力があります。

許鈞《萬松嶺的嬉皮士》



■最佳台語專輯獎(ベスト台湾語アルバム賞)
釘子花﹙伍佰﹚
台北直直撞﹙李英宏 aka DJ Didilong﹚
REBORN﹙滅火器﹚
舊年﹙謝銘祐﹚
台客電力公司同名專輯﹙台客電力公司﹚
董事長的少年時代﹙董事長樂團﹚

今年のこの部門のノミネート、例年以上に多彩で華やか(?)な気がします。昨年夏に代々木公園で行われた台湾フェスタで来日していた台客電力公司が、いきなりノミネートされていてびっくり。人気の李英宏もさっそくノミネートされています。どれを紹介するか迷いましたが、伍佰にしましょう! SKARAOKEを迎えた《釘子花》もいいのですが、悪党伍佰と取締官のョ雅妍が登場するこちらを。メーガンかっこいいです! ゆるさも素晴らしい。

伍佰 & China Blue《愛妳無目地 + 放浪舞者》



■最佳客語專輯獎(ベスト客家語アルバム賞)
光亮徬徨的閃耀年紀﹙二本貓﹚
百夜生﹙米莎×地下河﹚
笑笑仔世界﹙溫尹嫦;羅思容;林生祥﹚
桐花放客﹙楊淑喻; 吉那罐子﹚
我爸講海陸,我媽講四縣﹙陳瑋儒﹚

新発見が楽しみで毎年目が離せない客家語の部門、今年も充実です。文句なしのトップクオリティの二本貓、味わいのある米莎、かつてフジテレビ「ASIA VERSUS」にも登場した吉那罐子と、どれも掛け値なしに要注目。子ども向けの客家語の歌の教材として編集された《笑笑仔世界》も、これもこれで気になるけど、ここでは陳瑋儒を紹介。
陳瑋儒は、高校生のときに既に全国レベルのコンテストで入賞したり、その後公視のドラマ「熱血青春」でテーマソングを担当したりと活躍しかけたものの、ブレイクしきれずいろいろな経験を経て、2011年の客家語のオリジナルソングコンテストで入賞したのを機に、客家語での創作にシフトしていったとのこと。彼の両親は客家人だそうですが、彼自身は子どもの頃から客家語は話せず、後になって学び始めたようです(参照)。
今回ノミネートされたアルバム(2016年)のタイトルは「我爸講海陸,我媽講四縣」。台湾の客家語は、もともとの地理的な由来から複数の種類があるのですが(声調の違いがあるみたいです)、アルバムのタイトルは「父は海陸腔の客家語を話し、母は四縣腔の客家語を話す」というわけで、両親がそれぞれ異なる客家語を話しているということですね。
ここでは、アルバム収録のヴァージョンではないかもしれませんが、このタイトルチューン《我爸講海陸,我媽講四縣》の動画をはりつけておきます(映像は少し前のもので、弟と二人でやっていた青鳥合唱團のものだと思います)。二種類の客家語が続けて歌われる歌詞からは、20代になってから客家語を学び始めた彼の当惑と、でも客家語を学ぶことへの前向きな気持ちが伝わってきます!

陳瑋儒《我爸講海風,我媽講四縣》



■最佳原住民語專輯獎(ベスト原住民語アルバム賞)
桑布伊創作專輯 - 椏幹﹙桑布伊﹚
順著河流走﹙戴曉君﹚
郭明龍-Longer Story 創作專輯﹙郭明龍﹚
vavayan 女人﹙阿爆(阿仍仍)﹚
看月亮SADU KATA BUAN﹙馬詠恩與農男樂團﹚

今年の原住民アルバムも多彩なのですが、ここは阿爆を取り上げましょう。かつて阿爆&Brandyとして2004年に最佳演唱組合獎を受賞した阿爆が、昨年久々にリリースしたソロアルバムは、サウンドの原住民音楽らしさは希薄かもしれないけど、歌詞は全面的にパイワン族の言葉で、歌われている内容は現在の原住民女性の等身大の目線に徹しています。ステレオタイプ的な「伝統的」イメージではなく、原住民以外の人たちと同じ現代台湾社会に生きる原住民の姿を描こうというスタンスは、阿爆自身も出演していた原住民族電視台のコメディードラマ「米高級公寓」を思い出させます。
この《izuwa 有》の歌詞でも、子どもをおんぶして抱っこして農業にいそしんでいた世代の女性とはもう違う、今ではベビーシッターもいるし保育所もある、洗濯機もあるしマクドナルドもある、Facebookをチェックするのに忙しい……と歌われています。

阿爆 (阿仍仍)ABAO《izuwa 有》



■最佳音樂錄影帶獎(ベストミュージックビデオ賞)
拆《張三李四》﹙導演:彭o益;朱啟光;張錫安﹚:張三李四
床邊故事《周杰倫的床邊故事》﹙導演:周杰倫﹚:周杰倫
水星記《飛行器的執行週期》﹙導演:黃婕、﹚:郭頂
獨善其身《日常》﹙導演:比爾賈﹚:田馥甄
頑固《自傳 history of Tomorrow》﹙導演:陳奕仁﹚:五月天
Dust My Shoulders Off《張靚穎英文單曲Dust My Shoulders Off》﹙導演:廖人帥﹚:張靚穎

映像がユニークなMV、引き込まれるドラマを描くMVなど、どれも魅力的なのですが、ここでは昨年多数ノミネートされていた張三李四の《拆》のMVをご紹介。人形劇ですが、庶民の困難を歴史的なスパンをもって描いていて、見事なMVです。終盤には「大埔事件」を思わせる展開も(大埔事件については、以前のエントリで少し取り上げているのでご参考まで)。ただ、ストーリーとしてはなんだか救われない展開で、ちょっとしんどくもあり…。

張三李四《拆》



■最佳作曲人獎(最優秀作曲賞)
郭頂/淒美地《飛行器的執行週期》﹙郭頂﹚
艾怡良/我們的總和《說 艾怡良》﹙艾怡良﹚
五月天 怪獸/後來的我們《自傳 history of Tomorrow》﹙五月天﹚
草東沒有派對/大風吹《醜奴兒》﹙草東沒有派對﹚
魏如萱/你啊你啊《末路狂花》﹙魏如萱﹚
謝銘祐/下晡的ワルツ《舊年》﹙謝銘祐﹚
黃建為/離心力 Centrifugal Force《離心力 CENTERIFUGAL FORCE》﹙楊乃文﹚

佳曲いっぱいで、ここも何が受賞するのか気になりますが、草東沒有派對をご紹介。インディーズシーンではとにかく大変な反響を呼んで人気を集めた彼らですが、金曲獎でもこんなに多くの部門でノミネートされるとはびっくり。華やかとはいいがたいけど響いてくるこのスタイル、ぜひご一聴を。

草東沒有派對《大風吹》



■最佳作詞人獎(最優秀作詞賞)
吳青峰/年輪說《年輪說》﹙楊丞琳﹚
伍佰/蹦孔《釘子花》﹙伍佰﹚
郭頂/淒美地《飛行器的執行週期》﹙郭頂﹚
艾怡良/我們的總和《說 艾怡良》﹙艾怡良﹚
五月天 阿信/成名在望《自傳 history of Tomorrow》﹙五月天﹚
草東沒有派對/爛泥《醜奴兒》﹙草東沒有派對﹚
謝銘祐/彼卡皮箱《舊年》﹙謝銘祐﹚

作曲賞と重なる面々が多いけど、選ばれている曲が違っているのが興味深いです。ここでは、年度歌曲獎にもノミネートされている楊丞琳の《年輪說》をご紹介。吳青峰の歌詞はもちろんですが、レイニーのこの曲、とにかく何から何までクオリティがとっても高くて、実に見事だと聴くたびに思っています。

楊丞琳《年輪說》



残りの部門は、明日改めて! → 後半はこちら

タグ:金曲獎
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posted by 研究員B at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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