2016年06月22日

「台湾の音楽フェスへ行こう!」簡單生活節

「台湾の音楽フェスへ行こう!」2日目・簡單生活節

虎ノ門の台湾文化センターによるトーク&ライブイベント「台湾の音楽フェスへ行こう!」、3日間のレポをまとめるシリーズ、今回は2日目(6月12日)のレポです(1日目のレポはこちら)。

今回とりあげるフェスは、「Simple Life 簡單生活節」公式サイトFacebook)。2006年から隔年で開催されてきたフェスです。

Simple Lifeって、確かに二年に一度の音楽フェスではあるのですが、もともと音楽だけに限定されてはいないイベントという印象がありました。二年に一度だけではなく、日常的に行われているいろいろな幅広いクリエイティブな活動(例えば、週末に開催されるSimple Marketのような活動)こそがSimple Lifeである、という感じがあったので、そのあたりも含めて、どういう話が聞けるのだろうと楽しみにしていました。

この日登場したのは、Simple Life 簡單生活節のオーガナイザーである音楽プロデューサー張培仁(Landy)。長く多彩なキャリアの彼、年表(!)を映しながら、Simple Lifeに至るまでの諸活動を自ら説明してくれました。彼の話は興味深い点がたくさんあって実に面白かったのですが、一番印象に残ったのは、音楽とライフスタイルが不可分であるという点を強調していたことです。

かつて西洋音楽が憧れの対象だった時も、音楽が単独で成り立っていたのではなく、当時の人々のライフスタイルを取り入れて成り立っていたものだったということ。そのことに改めて気づき、ライフスタイルと結びついた形での音楽やフェスをやろうと考えたのだそうです。ただその第一弾はSimple Lifeではなく、「台客ロックフェスティバル(2005年の台客搖滾演唱會・2006年の台客搖滾嘉年華など)」でした。その後、音楽と生活スタイルのつながりという問題意識をさらに展開したのが、Simple Life 簡単生活節だというわけです。

個人的には、これはかなりびっくりしました。だって、シンプルさやナチュラルさを志向するSimple Lifeと、コテコテの極みである台客ロックフェスティバルって、かなり距離があるような気がしたので! でも、改めて考えると、「台客搖滾」はまさに音楽と生活スタイルのつながりをストレートに示す企画だったと思います。あの頃に一気に盛り上がった「台客」ブームを、こういう文脈で見る視点は意外ながらも納得でした(台客ロックフェスティバルに張培仁が関わっていたとは気づいていませんでしたが、帰宅後に当時買った本・『《Call Me台客!》』(2005年、博客來)を調べると、確かに張培仁の記事「「我的生活就是美」 談台客的爆發力」が載っていました)。

張培仁いわく、今の音楽は、スタジオやCDに閉じ込められるものではなく、「逆に生活に戻ってきている」のであり、生活のかかわりを経てこそパワーを得るとのこと。1枚のCDや一人のアーティストが個々バラバラに…というのは、今では制約の中にあることでしかなく、生活との関わりは、それを超えた自由や可能性や創作意欲の発露の足場となるものとして張培仁は考えているようでした。今の時代の創作意欲は、そのような環境をつくることによってかきたてられるのだとも言っていた気がします(間違いなどあればご指摘を!)。Simple Lifeだけでなく、彼がかかわったLegacy好,丘も、こうした考えが原点にあるのだとか。

ただアーティストを集めてライブをするというのではなく、音楽にとどまらない自分たちなりのビジョンを抱いてフェスを営んでいるということがよく伝わってくる話でした。それも、個々のクリエイターが創作意欲をフルに発揮できるような場をつくるということが出発点なので、ただビジョンを上から提示するという形でもないのが興味深かったです。新しいフェスのあり方として、一つの「都市」という表現をしていたのは、そういうことなのだろうと感じました。

トーク終了後はライブ。最初に登場したのは、蘇珮卿 Paige SuFacebook)。Flying Monkeysとのトリオで登場することが多いと思いますが、今回はパートナーでもあるCody Byasseeとのデュオでの演奏でした。

鮮やかな青のハープを、エフェクターも駆使しつつ、華麗に、そしてダイナミックに弾きながら歌う、なかなか見事なパフォーマンス。彼女はかなり正統な音楽教育を小さい頃からしっかり叩き込まれた人ですが(でも小さい頃は反抗的だったと自ら語っていましたが・笑)、クラシックから南インド音楽に至るまで、本格的かつ多彩な音楽キャリアがにじみ出るユニークなスタイルでした。あと、演奏だけでなくシンガーとしても非常に説得的で、落ち着いた歌声が印象的でした。
また、Codyのプレイもなかなか効いていました。かなりこちょこちょと(?)細かいことをやっていましたが、パーカッショニストとして引き出しが多そうな人で、彼自身にも興味を持ちました。Codyは蔡健雅、宇宙人、岑寧兒などのサポートでも演奏しているみたいです。

20160612a.JPG

次に登場したのは、個人的に今回の一連の企画で最大の注目、‪皇后皮箱‬ Queen SuitcaseFacebook)。日本で聴ける日が来るとは、感慨深い!

皇后皮箱、やはり生で聴いても素晴らしかった! ボーカルの卡菈の声が実に好聽で、耳に残るメロディー、サウンドのスタイリッシュさ、4人のファッションなど、魅力満点でした。卡菈がやはりステージでは目立つのですが、個人的に印象に残ったのはギターとボーカルの阿怪でした。音楽的に彼がキーパーソンであるのはわかっていましたが、ハスキーなボーカルが意外に(すいません)味わいがあり、音楽の幅を広げていました。60s〜70sサウンドを忠実に、でもどこか独自性を入れつつ料理してみせる手腕はなかなかで、ポップさとスタイルの完成度の調和は見事で、とっても楽しめました。ぜひまた日本でのライブをやってほしい!

ちなみに、皇后皮箱のMVは以前SNSでまとめて紹介しています。どれもユニークで楽しいものばかりなので、未見の方はぜひ! → https://www.facebook.com/okiraku.tw/posts/1016168138419166

20160612b.JPG

今回出演した蘇珮卿も皇后皮箱も、自分たちのスタイルをすごく感じさせる2組で、その点もSimple Life 簡単生活節のコンセプトとも響きあっていて、よかったと思いました。いい雰囲気の、楽しくまた刺激を受けた時間を過ごせました。

20160612c.JPG

終了後、張培仁にお願いして、自宅から持ってきた本、王鵬淩・E Jay・陳怡如『簡單生活的寧靜革命 We Are Beautiful』(2010年、博客來)にサインをもらいました。もともとは研究員Aが買った本ですが、もう少々古くなったかもしれないけど、Simple Lifeについては一番まとまっている本だと思います(積読ですが…)。これを機に読まねば!というか、読めるだけの語学力をまず身につけねば…。

20160612d.JPG 20160612e.JPG
【音楽の最新記事】


posted by 研究員B at 00:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
私も2日目に行きました。(1日目はハズレました〜)
Simple Lifeは、その居心地の良さにいつも感動しているので、ランディさんのお話が聴けて嬉しかったです。

皇后皮箱のボーカル卡菈は、可愛い、おしゃれ、明るいって感じでまさにSimple Life(に来る若い子達)のイメージ通り!って思いました。
Simple Life2015のメインビジュアルになっていたのも頷けます。
私は音楽には詳しくないのですが、ボーカルに卡菈と阿怪二人いることで、男子女子両方のファンがいそうだな〜と思いました。
阿怪は特に男子に人気ありそう!
ずっと盧廣仲命で他のミュージシャンをチェックしてなかったので、新しいバンドを知ることが出来て良かったです。
Posted by モリンガ at 2016年06月22日 13:56
モリンガさま

コメントありがとうございます!
Simple Life、二年に一度の音楽フェスはまだ行ったことがなくて、今回のランディさんの話を聞いて一層行きたくなりました。でも時期が…。

皇后皮箱、いいですよね。日本で生でライブを観られるとは思っていなかったので、個人的には大変うれしかったです。確かに、阿怪の存在はいろんな面で大きいと思います。彼らはMVもとっても楽しくスタイリッシュなので、まだでしたらぜひご覧ください!
Posted by 研究員B at 2016年06月23日 02:08
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/439260517
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック