2015年09月23日

『黒衣の刺客』を観てきた! その2

先日、渋谷TOEIで侯孝賢監督最新作『黒衣の刺客』(《刺客聶隱娘》、日本公式サイト)を観てきました。(先に観た研究員Aのレビューはこちら

おもしろかった! というわけで、観た直後につぶやいた感想は以下の通り:

『黒衣の刺客』観た! スー・チーかっこいい!
あの服、袖のあたりの赤いラインの入り方、たたずまい、本当にかっこいいなあと思っていると時間が過ぎていく。彼女に限らず、どの出演者の衣装も見とれるレベルの見事さ。そしてどこに行けばこんな映像撮れるんだと感嘆の映像美。

『黒衣の刺客』、これだけの映像美に見合う物語ってすごくバランスが難しいと思うけど、いい具合に(?)説明不足で、観る側の手探り感がある感じと、ある種過剰なまでの映像の見事さとのブレンド具合が、とっても絶妙に感じました。(B)


で、帰宅してから研究員Aとあれこれ話したのですが、一致した結論は、「『黒衣の刺客』はエンタメであり、娯楽作品である!」というものでした。この作品については、いろいろ小難しい言葉が語られるのを見かけることが多いけど(そして、それはそれで決して意味がないわけではないけど)、でも基本はなんといっても娯楽作品であって、侯孝賢だからといってこねくりまわす必要はなく、リラックスしてシンプルに楽しめる作品、と感じました。

エンタメ作品っぽくない雰囲気を感じるのは、物語がわかりやすいとはいえないからかもしれません。ただ、上に「説明不足」と書いたけど、Aいわく「過去の侯孝賢の映画と比べれば十分説明的だった」と。うーん、それはそれで確かにそうかも。実際、わかりにくい点があるとすれば、ストーリーそのものというよりも、登場人物の説明が少なかったことにあるのでは。

というわけで、改めて日本公式サイトの「人物相関図」を見てみました。映画を観る前にもこれを見ていたので、見つけにくいと評判だった(笑)イーサン・ルアンもちゃんと観ながら確認できていたのですが、映画を観たあとにこの図を見ると、なんだか不十分な気がしてきました。確かに主要人物はカバーされているけど、載っていない人もいるし、説明もなんだかちょっと足りない気が…。むしろよくわからなかったのは、これに載ってないくらいの登場人物なわけで、パンフを買ってくるべきだったかと思いつつ、ネットにもう少し詳しい情報はないか探してみました。

で、たどりついた(というか、当然真っ先に見ておくべきだった?)のが、この映画の中文公式サイトにある、「人物關係圖」のページ。11人の画像入りにとどまった日本公式サイトと違い、こちらは14人をカバー。さらに個々の登場人物の関係に、日本版になかった説明も書き加えられています(聶隱娘の母と田季安の父がいとこであるとか)。もしかしたら、パンフを買えば、こちらくらいの内容が載っているのかもしれないけど、日本公式サイトにはなぜ簡略化した図を載せたのだろう? 謎です。

で、映画を観ていて私自身が一番「あの人だーれー?どういう関係のひと?」となったのは、突然聶隱娘と戦う仮面の女性・精精兒だったのですが、この「人物關係圖」を見て納得。精精兒、田季安の正室・田元氏と「雙面」として結び付けられている! 正室でありながら見事な刀使いになるのはさぞ大変かと思いますが(!)、そうだったんだー、と思いました。精精兒については、「あの人は誰」状態になった方は他にもいらっしゃるようで、検索するとさまざまな推察をしたり、彼女の登場に象徴的な意味を読み込んで解釈したりする例も見かけたけど、実際には身も蓋もなく、田元氏イコール精精兒だったようです(観てすぐわかった人には、間抜けな話ですみません!)。

あと、さらにその後、Aが見つけたのが中央社のこの記事です:「刺客聶隱娘 人物關係圖曝光」。この記事にも人物関係図が載っていて(こちら)、これもまた日本公式サイトの図にはない情報がみられます。たとえば、聶隱娘・田季安・夏靖(イーサン・ルアンが演じた)の3人が「兒時玩伴(幼なじみ)」であったとありますが、これは中文公式サイトの図にもない情報です。

この記事の中に、こんな記述があります(厳密な訳じゃないのでご容赦を):「カンヌで上映した際に、多くの人が「精精兒は周韻が演じていた田元氏ではないか」という疑問を抱いた。侯孝賢も、映画の登場人物の関係をわかりやすく説明する図をつくることを望んだ。人物関係図があれば、映画を観る前に観客はストーリーが大まかに分かるし、さまざまな登場人物の関係についても簡単に説明しておくことができる。映画を観終わったあとに確認することもできる」。

つまり、人物関係図は「予習・復習」のためのものであると、侯孝賢自身が明言していた(!)というわけです。登場人物の関係を映像のみで理解して観ていく必要はなく、この図で「予習」しておけばよいと!

こうなってくると、象徴論的・映画論的な読解を求める作品というよりは、当初に書いたとおり、人物情報を事前にきっちりチェックした上で、徹頭徹尾エンタメ作品として楽しんじゃった方がやはりいいのかも?なんて思えてきます。というわけで、未見のみなさん、ばっちり人物関係図で予習して、きらく〜に楽しんで観てきてください!

あ、眠くなるという声も多かったけど、Aも私も眠くなりませんでした。私の場合は、上記のとおりスー・チーのかっこよさと映像美のすごさに圧倒されているうちに、全然眠さを感じずに最後まで行きました。将来DVDとかも出ると思うけど、あの映像はやはり大スクリーンで観るのがお勧めです。ぜひぜひ!

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posted by 研究員B at 21:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつもツイッターやFacebookを拝見しています。
毎日たくさんの情報を配信(転載ですが)していらっしゃるんですね。
子持ちなのにお時間があって羨ましいです^^
Posted by たいぺい at 2015年10月05日 23:21
たいぺい様

情報の配信は、純粋に自分の興味と、あと関心のある方に台湾の情報が少しでも届けばと思ってやっています。時間があるわけではまったくない!のですが(笑)、もう習慣化してしまっているのと、非常に多くの方にフォローしていただくようになったので、多少大変なときも発信するようになっています。でも時間がもっとあったらなあと、思う時は多いです。
Posted by 研究員B at 2015年10月06日 08:43
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