2015年06月14日

台湾の絵本その2:日本語で読める台湾の絵本等

台湾の絵本・その2:日本語で読める台湾の絵本・児童書

今回も、台湾の絵本・児童書について書きます。
「その1」では、「気になる台湾の絵本5冊」を紹介しましたが、いずれも台湾で刊行されている絵本でした。当然中国語です。日本語で読めたらいいのに!と思うわけですが……

調べてみると、英語圏のものに比べれば圧倒的に少ないかもしれないけど、台湾の絵本や児童書で日本語に訳されているものも、決してないわけではありません。ただ、データベースなどで検索して探そうとしても、台湾について書かれた本なら「台湾」というキーワードですぐ探せますが、台湾の絵本や児童書の翻訳ものは、別にタイトルに「台湾」と入っているわけではないので、一発で見つかるわけではありません。

そこで、あれこれ手を考えて検索してみた結果、台湾の絵本・児童書のそれなりのリストができあがったので、エントリにまとめてみたのが今回の「その2」です。ただ、あくまでもとりあえずのリストですので、漏れているものもあると思います。もし未掲載のものがあれば、ぜひお知らせください。追記します。

リストをつくってみて感じるのは、(「その1」で紹介したような)いわば「台湾度」の高い内容の作品よりも、どこの国の話かわからなくても、そのまま日本の子どもたちが気にせず読めるような作品が多く翻訳されている、ということです。仕方ないといえばそれまでですが、台湾に関心がある者からすると、むしろ「台湾度」の高い作品も積極的に翻訳されてほしい気持ちがありますが、なかなか難しいのかもしれません。

いくつかの本には、その本の「台湾度」について適宜コメントをつけています。個々の本の一般的な内容紹介は、リンク先など他サイトでご確認ください。ではさっそく…


『赤い花』(チェンチーユエン,朔北社,2004)(『想念』陳致元,1999)


『ぼく、グジグジ』(チェンチーユエン,宝迫典子訳,朔北社,2004)
(『Guji guji』陳致元,2003)


『いちばんすてきなクリスマス』(チェンチーユエン,片山令子訳,コンセル,2006)
(『一個不能沒有禮物的日子』陳致元,2006)


『シャオユイのさんぽ』(チェンジーユエン,中由美子訳,光村教育図書,2012)
(『小魚散步』陳致元,2005)


以上4冊は、いずれも陳致元の作品。陳致元は屏東出身の絵本作家。やんちゃな「米米」が主人公のシリーズや、各国で訳された『ぼく、グジグジ』など、多彩な作品を発表していますが、この4冊の中では『シャオユイのさんぽ』が個人的には一番印象的。母が残業なので、たまごチャーハンをつくるという父に言われ、卵を買いに行く少女シャオユイの話ですが、雑貨店の店主との会話、少女の想像力など、実にいい味わいです。随所に台湾らしさがあるのも素晴らしい。
『赤い花』は言葉のない、絵だけの作品ですが、都会から田舎へ帰るための電車の切符に「台北−屏東」と書かれています。
陳致元については、台北ナビに紹介記事(「台湾の絵本作家、陳致元さんの世界」)があるので、そちらもどうぞ。


『おこりんぼうのアングリー』(ライマ,宝迫典子訳,朔北社,2006)
(『我變成一隻噴火龍了』ョ馬,1996)


『あわてんぼうさん』(ライマ,宝迫典子訳,朔北社,2006)
(『慌張先生』ョ馬,1999)


『パラパラ山のおばけ』(ライマー,中由美子訳,岩崎書店,2006)
(『帕拉帕拉山的妖怪』ョ馬,2003)


ョ馬も多数の作品を発表している絵本作家。台東にはギャラリー「ョ馬繪本館」もあります。
日本語訳が出ている上記3冊のうち、『あわてんぼうさん』以外の2冊は見ましたが、どちらも親しみやすい内容だけど、「台湾度」は高くないかも…。でも龍が火を噴くのは、台湾というか中華圏的ではあります(!)。


『たね、ぺっぺっ』(李瑾倫,宝迫典子訳,PHP研究所,2001)
(『子兒吐吐』李瑾倫,1993)


『100ぴきのいぬ100のなまえ』(チンルン・リー,きたやまようこやく,フレーベル館,2002)
The Very Kind Rich Lady and Her One Hundred Dogs, Chinlun Lee, 2001)


『きょうもいいこねポー!』(チンルン・リー,きたやまようこやく,フレーベル館,2004)
Good Dog, Paw, Chinlun Lee, 2004)


李瑾倫Facebookブログ)は台北出身、多数の絵本を書いています。一番最初の出版は日本でのもので、『なしうりとふしぎなたびびと:中国の民話より』(岡信子・文,学習研究社,1992)の絵を担当したことのようです。Royal College of Art in Londonに留学してイラストレーションを学んだ経験があり、上記の3冊のうち2冊はイギリスで英語で出版されたものです。そのせいか、後の2冊は「台湾度」は低いのですが、100匹の犬の名前に微妙に中華由来と思われるものが混じっています(気のせい?)。
『たね、ぺっぺっ』は、子ブタがある果物を種ごと食べてしまい、頭から芽が出て木が生えてきたらどうしよう!と心配に……という話。この果物が、リンゴやスイカではなく、パパイヤであるところに「台湾」が感じられます!


『きみのうち、ぼくのうち』(ヤンホアン・文,ホアンシャオイェン・絵,中由美子訳,岩崎書店,2006)

1950年代に書かれた児童詩に絵をつけた作品とのこと。


『アティと森のともだち』(イェンシュニュィ・文,チャンヨウラン・絵,中由美子訳,岩崎書店,2005)


『島のみみずくトゥトゥウ』(何華仁,中由美子訳,童心社,2006)
(『小島上的貓頭鷹』何華仁/文・圖,2004)


原住民にかかわる作品にも翻訳があります。『アティと森のともだち』は未見ですが、ツォウ族の自然観が描かれているとか。『島のみみずくトゥトゥウ』は蘭嶼を舞台に、蘭嶼に生息するランユイコノハズクが、さまざまな生き物に出会うという作品。トビウオとかタオ族の漁船とかも出てきて、巻末には簡単な解説ページまであります。


『おねぼうこうてい』(コウサイ ホウ原作,ハンムン リー絵,新世研,2001)
(『起床啦,皇帝!』郝廣才/文,李漢文/圖,1988)


『十二支のひみつ』(チャンリンリンさく,リーハンムンえ,新世研,2001)


『幸せをよぶ魚』(ダン チェンシーさく,リー ハンムンえ,おおいし まりこ訳,新世研,2002)


『ひとくいトラがやってきた!』(グワン・グワンさく,リーハンムンえ,やまもとくみ訳,新世研,2002)


上記4作は、いずれも台湾の李漢文(リー ハンムン)が絵を担当している作品です(物語は、古い中国の話だったりさまざま)。この李漢文、絵といっても、紙細工による立体的なイラストレーションで作品をつくる人で、実に見事です。公式サイト(李漢文紙雕工作室)でも、その見事なペーパークラフトの数々が見られるので、ぜひどうぞ。


『ねずみのおよめいり』(モニカ・チャン文,レスリー・リョウ絵,高佩玲訳,河出書房新社,1994)

物語自体は伝統中華的な話。


以上はすべて絵本です。あれ、ジミー(幾米、ジミー・リャオ)の作品がまだでは?と思う方もいるかもしれませんが、日本では大人向け絵本として訳されているケースが多いことから、このエントリでは割愛しました。ファンの方すみません! ジミーの作品については、余力があれば、後日追記するか、別のエントリを書こうと思います。

続いて、以下は、絵本というには字がしっかりある本なので、児童書ということにしてまとめてみました。児童書は他にもあるかもしれません。


『太陽征伐 台湾の昔ばなし』(張良沢 文,丸木俊 絵,小峰書店,1988)


『カバランの少年』(李潼 著,中由美子訳 てらいんく,1998)(『少年噶瑪蘭』李潼)


『いすになった木』(梁淑玲,宝迫典子訳,PHP研究所,1999)(『椅子樹』梁淑玲)


『チュ・ママの台湾民話』(野村敬子編著,松田けんじ絵,邱月莠・語り,星の環会,2001)



長々と列記してきましたが、いかがでしょう? まだまだ他にあるのか、このくらいしかないのかわかりませんが…。訳者・出版社などの努力に深い敬意を抱きつつも、さらなる翻訳が進むことを期待したいと思います。それと同時に、ここまで読んでくださった方、もしご関心のものがあればぜひ書店や図書館などで探して、手にとってみてください。結構楽しめますよ。

【2016.10.5追記】
SNSでこのエントリを久々に紹介したら、何人かの方に関心をもっていただいたようなので(ありがとうございます)、その後に翻訳が刊行された台湾の絵本を1点追記しておきます。

『海のなかをはしった日』(チョン・シューフェン,中由美子訳,童心社,2016)(『塞車』鄭淑芬,2012) → amazon



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posted by 研究員B at 01:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本・雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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