2014年10月20日

「核電歸零」と「今天拆大埔,明天拆政府」

大象體操(Elephant Gym)のライブ(渋谷O-Nest、2014年10月17日)に行ってきました! 素晴らしいパフォーマンスでとても良かった! 当日のツイートや、記憶の限りのセットリストは、twitterやFacebookに載せたので、そちらをご参照ください。ライブのレポを書くことも考えたのですが、きっと他にも書く人がいるだろうと思ったので、ここでは、おそらく当研究所のブログでないと(日本では)多分誰も書かないであろうネタを取り上げることにします。

まずは、こちらの画像をご覧ください。渋谷でのライブを前の方で観ていた方( @yukogrohl さん)が、大象體操のベーシスト・張凱婷のベースの画像をアップしてくれたものです(感謝!)。twitterとinstagramのリンクを載せておきますが、画像は同じものです。

https://twitter.com/yukogrohl/status/523114042877964288
http://instagram.com/p/uTNCdHkYPe/

これを見ると、2種類のステッカーが貼ってあることがわかります。それぞれどういう趣旨のものなのだろう?と思う人もいるかもしれないので(そんな人、いない?)、説明しておこうと思います。

【核電歸零】

ひとつは、「核電歸零」と書かれた黄色のステッカー。下の方に書かれている小さな字は、「Nuclear go zerO」と書かれています。

Nuclear_go_zerO.jpg

これは告F公民行動聯盟という台湾のNGOが作ったステッカーで、台湾の原発全般に対して廃止を求める運動で用いられています。現在の台湾では「核四」と呼ばれる第四原子力発電所の動向が原発関係では最大の問題になっているため、「核四」の建設中止を求めるアピールの際にも、このステッカーはよく見かけます(第四原子力発電所の問題については、さしあたり日本語wikipediaなどをご参照ください)。

実はこのステッカー、私も持っています。2013年12月にリリースされた、《不核作:台灣獨立音樂反核輯》博客來)という、原発に反対する台湾のインディーズのバンドやアーティストが参加した、2枚組のコンピレーションアルバムがあるのですが、これは上記の告F公民行動聯盟が関わって製作されたものです。これに、「核電歸零」のステッカーが一緒に入っています。これを楽器に貼り付けているインディーズのアーティストは、本当にたくさんいるような気がします。なお、この《不核作》には大象體操は加わっていませんが、大象體操のアルバムに参加した巴奈や鄭宜農(のバンドの猛虎巧克力)の曲も収録されていますし、他にも多数のアーティストが参加した充実の作品です。ご関心の方はぜひチェックを。

20141019b.jpg


【今天拆大埔,明天拆政府】

もう一つのステッカーには、「今天拆大埔,明天拆政府」というメッセージが書いてあります。「拆」の下にマークのようなものが見えますが、これはパワーショベルの絵です。

f_the_g.png

以下で説明しますが、「大埔事件」と呼ばれる一連の争議があり、その中で、2013年7月18日に苗栗縣の大埔地区の4軒の家屋が、重機により強制的に取り壊されるという事件がありました。そうした行動に出た地方自治体や黙認した政府に対して、強い批判の運動が起こり、その過程で作られたのがこのステッカーです。パワーショベルの絵は、家屋を取り壊した重機を表すものです。

大埔事件は、1990年代に苗栗縣政府により立案された開発計画と、それに伴う用地買収をめぐって長く続いていた問題で、開発を批判し立ち退きを拒否する住民と、強硬姿勢を続ける苗栗縣政府の間で対立が続いていました。上記の2013年7月以前にも強制的な対応がなされたことがあり、住民側に自殺者が出るなど、大きな問題となっていましたが、特に昨年7月の事件を経て、大規模な政府批判のデモが行われるようになりました(大埔事件についてより詳しく知りたい方は、中国語ですがwikipediaをご参照ください。ちなみにその後、立ち退きを迫られた住民の訴えが裁判で認められ、政府が敗訴するなど、2014年に入ってからもいろいろ展開があります)。ステッカーのメッセージ「今天拆大埔,明天拆政府」は、「今日大埔を壊すのなら、明日は政府が壊される」という感じの意味になるでしょうか(間違っていたらご指摘を!)。

「核四」の件も大埔事件も、台湾社会で大きな議論を呼んだ(呼んでいる)問題ですが、大象體操に限らず、こうした社会問題に対する台湾のアーティストの反応は非常に敏感です。Facebookを見ていてもそのことはよく分かると思うので、そこまで視野を広げて聴いてみると、またサウンドも違って聞こえるかもしれません。


最後に。大象體操のみなさんに、CDにサインしてもらったので、掲載。ありがとうございました!
20141019a.jpg

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posted by 研究員B at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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