2011年10月04日

ドラマ《田庄英雄》

台湾滞在中に見かけたものの中で、絶対に日本では放送されないと思われるドラマを紹介しようというシリーズ。その1として、客家語のチャンネルでやっていたドラマ《流漂子》を紹介しましたが、今回はその2。今度は一転して、台湾で放送が始まったばかりのドラマです。

タイトルは《田庄英雄》。英語タイトルは「Local Hero」。公式サイトはこちら、wikipediaはこちら。帰国前日の夜にやっていた、第2話だけを観たのですが、思いっきり引きこまれました(笑)。

ドラマの舞台は、日日村というある田舎の村。そこの派出所に「副座」として勤める警官・李達官(蔡振南)。田舎の村の派出所というぱっとしない場に、出世することなくずっととどまるが、村民からの信望は厚い。この派出所に、将来有望で優秀な若い警官・馬尚宏(吳慷仁)が「主管」として赴任してきた(本当は、ある事件を調査するための赴任らしい)。警官としての有能さだけでなく、ユーモアや人あたりの良さも兼ね備えた彼は、あっという間に村民たちの心をつかみ活躍する。この2人に、若い女性警官の王惠敏(趙小僑)と、孫勇志(民雄)を加えた4人(あと犬の仔仔)が、日日村派出所のメンバー。日日村で活躍する彼ら(李達官・馬尚宏のみ?)が、Local Hero=「田庄英雄」である。

――こう書くと、舞台が田舎だというだけでそれなりに普通のドラマにみえるかもしれないけど、基本はコメディーです。もちろん謎の解決や、恋愛や親子関係など人間関係の展開なども当然ベースにあるのですが、そういうあたりをあまり気にしないと(!)田舎を舞台にしたドタバタした(くっだらない、いやいや)笑いが目立ちます。そうした点で、このドラマは《夜市人生》のような、本土劇の演歌風な人生叙情ものではありません。警官ものということもあって、謎の解決が重要な機軸に(一応)なっているのは確かですが、他方で、ことさらにベタな田舎っぽさがいちいちネタにされ、それと笑いを結びつけるあたりは、『カエルになった王子様(王子變青蛙)』『マイ・ラッキー・スター(放羊的星星)』を思い起こさせます。実際、ドラマ中では台語もそれなりに出てくるものの、基本は國語です。

例えば、観ることができた第2話だと:
突如、村で女性の下着泥棒が続発。村中は大騒ぎに。実はその犯人は、派出所で村民の信頼を得ている李達官の息子・李顯耀(李博翔)だった。激怒しつつも、父子関係の難しさの中でコンプレックスを抱いていた息子を理解できず悩む父。そこへ、たまたま下着が盗まれた同じ夜に、村で豚を盗もうとした2人組・葉仔(錢君仲)と菁仔(錢君銜)が、棒や箒で(!)追いかける村民たちにつかまり、下着泥棒だと思われる。すべての事情を知った馬尚宏は、上司の李達官を落ち着かせ、言えない理由があるのだろうと李顯耀をいったんかくまいつつ、真犯人を明かさずに村民をなだめ(!)、さらに(このあたりドタバタがあるのですが)誤って薬を飲んで眠ってしまった王惠敏をおんぶして自宅に届けたり、大忙しな展開をさわやかにこなす。
翌日、下着泥棒の犯人とされて警察に拘留されたままの葉仔と菁仔。王惠敏は、我慢できなくなった彼らの一人と手錠でつながれながらトイレに行く羽目になったり、そこへ出勤してきた李達官は、「自分たちは犯人じゃない」という彼らに、後ろめたさもあって口ごもり、でも息子の部屋から持ち出した下着がいっぱいのバッグの説明に窮したり、さらにそこに「なぜ早く厳しい処分をしないんだ」と村民たちがわあわあとやってきたり、かぎつけたテレビ局のレポーターがやってきたりの大混乱。
その一方で、馬尚宏が面倒をみている、友人の子・唐曉萱(尤人立)と李顯耀は無断で外に出て、父子関係の話や複雑な過去の話をするようになる。しかし唐曉萱が突然倒れて…。

――どうでしょう? 先が気になりませんか? そんなことない?(笑)

主役の(髪型がなんだか微妙だけど)かっこいい警官・馬尚宏を演じるのは、吳慷仁(クリス・ウー、中文wikipediaFacebook日本語wikipedia)。「秋のコンチェルト(下一站,幸福)」でフア・トゥオイエ(花拓也)役を演じていた人、というとわかるかも(と書いている自分は秋コン未見なのでわからず)。個人的には、彼は映画「愛が訪れる時(當愛來的時候)」で來春の恋人役だった人というイメージで、それ以外にも最近では、台北電影節のノミネート作品の一つ・映画「河豚」で主演していたり(詳細はアジアンパラダイスさんのページを参照)、明日を担う若手の映画俳優の有望株、という印象でした。その彼が、いきなりこんな(!)連続ドラマの主役、しかも田舎の警官役!というのは結構びっくりでした。吳慷仁、幅広いです。やりますねこの人。

毅然として頑固な人でありつつ、何かと追い込まれて当惑する羽目に陥る(そこが笑うポイントだったりするわけですが)李達官を演じるのは、蔡振南。彼というとやはり《多桑》なのでしょうが、未見の自分が思い浮かぶのは《求婚事務所》で李威の父親役。このドラマでは意外にヘタレ(といっていいのか)な面もあるキャラクターを演じていて、個人的には新鮮。

そして女性警官・王惠敏役の、元・七朵花リーダーのジョイスこと趙小僑(元「趙虹喬」、wikipedia)。こんなところでお見かけするとは! 『カエルになった王子様(王子變青蛙)』で都会のお嬢様役だった彼女が、5年を経て田舎の女性警官をコミカルに演じるに至るというのは何とも感慨深い。でもこの役の彼女、ハマってます。

ところで、第2話では登場しなかったけど、非常に重要な登場人物(杜文昇)として出てくるのが、5566のトニー・孫協志wikipedia)! 若き台語歌手から始まる彼の多彩なキャリアの現在地点は、田舎の郷長の秘書で、幼なじみの王惠敏に思いを寄せる役。

もう一人の警官役は、「海角七号」にも出演していた原住民の歌手・民雄。また笑いどころでちょくちょく出てくる2人組、葉仔・菁仔役の錢君仲錢君銜(錢氏兄弟/Money Money)は、ドラマ「新兵日記」にも出演していたけど、ここでも起用されています。実は芸達者な彼らについては、そのうちエントリを書こうかと。他にも小Sの物真似で知られる小8とか、いろんな人が出ています。

このエントリを書くためにYoutubeでもう一度見てみたけど、うーん、なんというか、苦笑してしまう…。本土劇とはまた違うコテコテの方向性、楽しめそうな方はぜひどうぞ。吳慷仁が気になる方は必見ですよ。

というわけで、オープニングの動画を。片頭曲は吳忠明「嗯嘛」。



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posted by 研究員B at 02:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!
初めてコメントさせていただきます。

2年前から台北に嵌り、何度目かの台北旅から戻ってきたばかりなのですが、滞在中この「田庄英雄」を見て嵌ってしまい「8時にはホテルに戻らなくっちゃ」状態になっていました。
と言っても見られたのは、日曜の再放送を含めて3回ほどですが。

私は完璧に呉慷仁クン狙いで見ておりました。
偶像劇「下一站,幸福」や「鐘無艶」に出ている彼を見て、次はきっと主役だろうと期待しているのに出てこないなぁと思っていたら。
こんなドラマに出ていたんですね〜。

そして。
「カエルになった王子様」の趙小僑嬢や5566の孫協志氏の姿に、ほんのり今昔を感じました。(絶頂期の5566は知りませんけど)

それにしても。
毎週月〜木の8時から10時までの2時間放送とは、日本では考えられない放送枠ですよね。

もしDVDが出る事があれば、手に入れて見てみたいです。

Posted by mizmiz at 2011年10月13日 11:17
コメントありがとうございます。

「田庄英雄」、ハマった方が他にもいらっしゃると知り、うれしいというか安心したというか(!)、よろこばしい限りです、はい。

呉慷仁、「下一站,幸福」・「鐘無艶」と来たら、確かに主役級の話が来てもいいと思いますよね。でも来たのは来たけど偶像劇じゃなかった、というのはなかなかおもしろいです。でも堂々と引き受けている呉慷仁はなかなか立派かも。

このドラマ、出演者が本当に多彩で、ベテランから若手まで、イケメンからお笑いまで、さらに趙小僑・孫協志といった元アイドル(?)など、なかなか見事なキャスティングだと思います。

いま台視のサイトで、「田庄英雄」の男性陣で、一番ガッツがある登場人物を選ぶ人気投票をやっています。
http://www.ttv.com.tw/event/2011/LocalHero_Guts/Default.asp
こんな企画まで始まるとは、台湾でもそれなりに人気なのでしょうか???

DVD、果たして出るんでしょうか…。確かに見てみたいですね。
Posted by 研究員B at 2011年10月13日 16:49
はじめまして。
台湾が大好きな女性です。
10月22日から3泊4日で台北に行っており、たまたま夕方に再放送でやっていた田庄英雄を見て、夫婦で見入ってしまいました。
初めは、秋のコンチェルトのかっこいいお兄さんが出ている!というだけで私が見入っていたのですが、だんだん夫もはまってきてました。
中国語はわからないので字幕の漢字と雰囲気だけで背景を想像してました。

呉慷仁の役は、キャリアの警察官で地方に出向していて、ベテラン警察のおじさんはノンキャリなんだろうかー、なんて夫と想像してみてました。

あと、お姉キャラや、吉本のお笑いコンビみたいな二人組みとか、親しみがあってよかったです。派出所も瓦屋根で、日日村という設定がいいなーと思いました。
ロケは新竹市のほうみたいですね。

日本でBS4あたりで放送してくれないかなと期待しています。
Posted by milktea at 2011年10月25日 23:40
milkteaさん、コメントありがとうございます。
またまたこのドラマについてコメントがいただける人がいらっしゃるとは、確実に人の心をつかむものがあるんですかねえ、なんて。興味をもつのは自分だけかと思っていたので、うれしいです。

このドラマの魅力の元は、おっしゃるとおり、親しめる多数のキャラと日日村という設定にあると思います。いいですよね。

BSでの放送…さすがにかなり厳しいかと思いますが、夢は捨てちゃいけませんかね。実現することを祈りつつ。
Posted by 研究員B at 2011年10月26日 17:58
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