1998年に結成されもう12年のキャリアをもつこのバンド、レトロ風サウンドとユーモラスなスタイルの組み合わせがとってもユニークで、2004年あたりからはメジャーシーンでも存在感を出しはじめ、インディーズ出身でメジャーに定着し活動を続けている貴重なバンドです。彼らを初めて知ったのはまさにその2004年だけど、インディーズから出てきた個性的なバンドではあったけど、まさかこんなに「長生き」するとは当時はとても予想できませんでした。
(参考:旺福樂團「肝功能衰竭」2004年)
コレクターズに注目されたのをきっかけに、2006年には初来日(所長着任前だったので見に行きましたよ、生の旺福を日本で見られるとは、感慨深かった!)、その後も日本でCDが継続的にリリースされているなど、それなりに(あくまでも「それなり」だけど)日本でも浸透しているバンドになりました。その過程で、サウンドは随分聴きやすいものになっていった気もしますが。
さてその旺福、10月3日にLegacy Taipeiでライブをやることが発表されたのだけど、そのライブが「暫別演唱會」と題されていたので、「解散?活動休止?」と本気で心配した人もいたかと思います。ただ本人たちがこんな感じで記者会見をしていたので(NowNews、9月27日)、どこまで本気かと思っていた人も、同じくらいいたのでは。
その「暫別演唱會」で発表されたのは、「旺福」は表舞台から去ってしまうこと、そして新しいバンド「小旺福」が登場すること、でした。で、後半はさっそく「小旺福」となって初のライブになったとのこと。リーダーの小民は小小民に、って書いてるけど(笑)。
彼らの側の公式的な説明(!)は、記事(新浪網、NowNewsなど)や、ライブの途中に流されたという以下の動画(ことさらに変換ミスをして訂正してみたり、とか彼ららしさが随所に)を参照。どこまで真に受けるかはともかくとして、ただ昨年のアメリカツアーの経験は本当に大きかったのは確かかも、と思いました。旺福のアメリカツアーについては、(以前のエントリでも紹介した)雑誌『台湾光華雑誌 Taiwan Panorama』の2010年4月号(中日文版)の記事「面白いだけじゃない――旺福楽団」で詳しく紹介されているけど、この中で書かれていたアメリカで受けたインパクトの話が、ほぼそのまま「小旺福」への“変身”の理由になっていて、本当にそう思ったんだなあと。
[彼らは]2001年に始まり全米に名の知れた「ポートランド・ロックンロール・キャンプ・フォー・ガールズ」を訪ね、大いにショックを受けた。……新学期にはファンク、パンク、メタル、フォークなどジャンルの立て看板が並び、学生が選ぶ。人数が集まり気が合えば、即バンドで楽しめる。
「あれは衝撃です。同年代の台湾の子供で、こんなにロックを分っている人はそういないし、東洋の音楽でさえ分からないのに」と小民はいう。音楽レベルの差以外に、欧米の親は子供が興味を発展させていくのを強力にバックアップしていることが一番の違いだ。教育慣習を変えなければ「ビートルズが台湾のバンドでも、飢え死にするかもしれません」(『台湾光華雑誌 Taiwan Panorama』2010年4月号(中日文版)p.101)
まあともかく、新バンド「小旺福」は、さっそく月末にThe Wallでライブをやるみたいです(「小旺福 10/30 The WALL 小旺聖節」)。さらに、12月はじめに開催されるSimple Life(2010簡單生活節)でも、ライブステージに立つことが発表されています。「小旺福」、どこまでは「旺福」と同じで、どこからは新しい面を出していくのか、とりあえず注目。「旺福變小了,但是目標卻變大了」ということらしいので!