2010年08月13日

台湾語・台湾華語の教材情報4 辞書編

何事もなかったかのように「台湾語・台湾華語の教材情報」シリーズ再開。本日、第4回目は「辞書編」。これまで、「きっかけ編」「台湾語教材編」「台湾華語教材編」と書いてきたので、未読の方はそちらもどうぞ。

さて台湾語・台湾華語に関係する辞書。教材ほど数はないので、台湾語・台湾華語双方に関係するものをとりまぜてご紹介。実は辞書好きな研究員A。調べてて一人で盛り上がってました。

1. 村上嘉英 『東方台湾語辞典』(東方書店、2007年)
 【研究員Aの買いたい度 ★】
★の数が少ないのは、単に研究員Aが台湾語初心者でまだ辞書を買うレベルにないから、というだけ。もしあなたが台湾語の辞書を買おうかなと思っているのならば、まずこれを買うべしと強くお勧めしておきます(まあ台湾語の辞書なんて他にないから、お勧めも何もないのだけど)。コンパクトでとっつきやすい体裁は、導入の辞書として最適。単語がアルファベット順に並んでいるのも読みやすい。個人的に印象に残ったのは、冒頭に筆者が書いているこの辞書編纂の経緯。前に諸橋大漢和の作成過程について書かれた『『大漢和辞典』を読む』を読んだ時も思ったけど、辞書って我々の想像もつかないような苦労を乗り越えて作られている。それを越えてまで作ろう、という編纂者たちの情熱ってどこから来るのかしら? 自分がこうやって簡便に未知の言葉を学べるということに、心から感謝したくなるようなエピソード。

2. 台湾総督府(編) 『台湾語大辞典』 (国書刊行会、2002年)
 【研究員Aの買いたい度 ★】
店頭にはなく、ネットでも在庫切れ表示。なので、図書館で見てきた。1931年に台湾総督府が出した『台日大辞典』の復刻版。本気で台湾語を極めたい方は入手すべし。なぜなら収録語数が圧倒的に多い。その数、約9万語! 「1」に収録されているのが13,500語ということを考えると、その凄さが分かるだろう。偉いぞ、国書刊行会! よくぞ復刊してくれた!! ただもちろん難点もあって、単語がひらがな表記順に掲載されている。コツをつかむまでは自分の求める単語にたどり着くのに時間がかかりそうだな。まあ高いし本格派すぎるので、私は必要になったら図書館で利用する程度の使い方になりそうだけど。

3. 張福武 『五カ国語共通のことわざ辞典―日本語・台湾語・英語・中国語・韓国語対照』 (慧文社、2007年)
 【研究員Aの買いたい度 ★★★】
これも図書館で見た。編者は台湾生まれ。台湾大学を出た後、アメリカで修士・博士号をとった理系の研究者。台湾語のことわざと同じような言い回しが他の言語にもあることに気付いて集めてみた、という説明が冒頭になされていた。な、なんて気軽な…。で、この経緯からも分かるけど、この辞書の面白いのは「台湾語にあることわざ」が軸になっていること。そこから他言語で同じものがあるかを探していったという過程なので、「日本語」が中心ではない。「台湾」に興味を持つ人にはうってつけ。ことわざってちょっと知ってるだけで文脈が飛躍的に理解できたり、相手に「やるな」と思わせたりできるから、学んでおいて損はない。中国語も英語ものってるし、手元に置いて拾い読みしたいなー、と個人的には思う。

4. 邱質朴編 『大陸和台湾詞語差別詞典』 (南京大學出版社、1990年)
(Seesaaブログは繁体字を表示してくれないので「台湾」の字は変えてます)
 【研究員Aの買いたい度 ★★★★】
たまたま図書館で見つけた。リンク先は台湾で発行された版なので、微妙に書誌情報が違う。もしかしたら大陸版と台湾版で微妙に内容が違ったりするのかもしれないけど、とりあえず大陸版について説明すると、大陸にあって台湾にない単語を前半で、その逆を後半で説明している辞書。これは「北京語は学んだが、台湾華語は今一つ分からん」状態の研究員Aのツボに激しくはまる。北京語と台湾華語の間にある「誤差」を埋めてくれる材料になるから。辞書の構成も面白くて、大陸にあって台湾にない言葉の場合、単語を[簡体字/繁体字」と二種類で表記。発音も[ピンイン/注音字符]で表記。説明文は繁体字。後半になると、[繁体字/簡体字」[注音字符/ピンイン]、説明文が簡体字、となる。ちなみに、後半では「甜不辡」なんて言葉も載っている。楽しいぞ。中国辞書について膨大な情報量を誇るこちらのブログによると、この辞書が出版された後、台湾から大陸へと持ちこまれた単語もあるみたいで、その辺は時代と共に追いかけていかなければいけない部分があるのかも。

しかし、上記のブログを見ると他にも楽しそうな辞書が色々。気になる〜、と見ていて、はたと思いついた。こういう台湾華語と北京語の「誤差」を埋めるための教材は、むしろ中国語で出版されてるんじゃない?今、気がついたぞ。すごく単純なことなのに。これは、次回出張時に調査すべき項目ですな。

さて、「台湾語・台湾華語の教材情報」シリーズ、これで終わりかと思いきや、まだちょっと続きます。次回は、本シリーズ執筆のため資料探しをしていてめぐりあった古い台湾語教材について。ちょっとマニアックだけど、すっごく面白かったので紹介します。題して「歴史資料編」。お楽しみに!

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posted by 研究員A at 23:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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