2019年11月10日

盧廣仲(クラウド・ルー)インタビュー(後編)

前回に続き、12月11日に渋谷TSUTAYA O-EASTでの来日ライブを控えている盧廣仲(クラウド・ルー)のインタビューをお届けします。

後編では、聴いている音楽、これまでのキャリアとこれからなどについて聞きました。インタビューは前編に引き続き、おきらく台湾研究所・研究員Bが担当しました。(B)

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【聴いている音楽】

――ご自身でもいろいろ音楽を聴いていると思うのですが、最近はどんなものを聴いていますか?

 最近ですか……9月に来日した時に教えてもらった「King Gnu(キングヌー)」。日本の新しいバンドですよね。あと最近は……チェット・ベイカーですね。チェット・ベイカーのプレイをギターで再現してみようとしたりしています。

――チェット・ベイカー! ジャズはずっと聴いてきていらっしゃいますよね。

 大人になってから一番よく聴いたのはジャズだと思います。

――残念ながら私は行けなかったのですが、昨年ビルボードライブ東京でやったライブでも、ジャズのセットがありましたよね。ジャズへのチャレンジは面白い試みなので、ぜひこれからもいろいろ挑戦してほしいと思っています。

 あの時のライブは自分でも強く印象に残っています。ジャズは即興性がすごく重要ですが、バンドのメンバーそれぞれも即興性に満ちた素晴らしいプレイをしてくれたと思います。

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【バンドのメンバーとお勧めの音楽】

――12月の来日ライブでは、バンドのメンバーはどのような面々になる予定でしょうか?

 台北アリーナに出演したときのメンバーを連れて行きたいと思っています。メンバーたちはみな素晴らしいプレイヤーで、それぞれがプロデューサーになれる力量がある人ばかりです。制作中の新しいアルバムでも、協力してもらっているんですよ。
 長く一緒にやっているメンバーも多いのですが、それはメンバーそれぞれの性格が似ているから、特に音楽について考えていることが近いので、お互いに遠慮なく言いたいことを言い合える関係になっているからかもしれません。

――個人的にうかがいたいのですが、キーボードの阿雞(十九兩樂團)はどういう方でしょうか?

 彼は非常にスペシャルな人です! おひつじ座らしく、まっすぐな性格ですね。IQの高い人で、話せば話すほど新しい発見があります。音楽についてだけでなく、普段の何気ない会話でもそうなので、彼と一緒に仕事をするようになってからいろいろなことを学びました。彼の頭の中にはたくさんのとても美しいハーモニーが眠っているので、それをどうしたらうまく引き出せるのか、今まだ模索しているところです。
 彼はステージパフォーマンスもすごいし、バンドメンバーというよりもアーティストですよね。ステージに立つとすごくオーラがあります。

――盧廣仲を通じて初めて台湾の音楽に接した日本のファンもいると思うのですが、おすすめの台湾のアーティストやバンドを教えてください。1番おすすめは盧廣仲だと思うので、2番目のおすすめを(笑)。

 んー……陳綺貞(チアー・チェン)!



――同じレーベルの先輩である陳綺貞とは作詞を共作したりしていますが、どんな関係ですか?

 師弟関係でしょうね。先生と生徒(笑)。一時期、作詞の方法やロジックについて指導を受けていましたから。前回のアルバムをレコーディングしたときも、彼女がボーカルディレクターをやってくれたおかげで、声の出し方について新しい発見がありました。

――本当に先生ですね! 厳しい先生ですか?

 それなりの威厳はありますね。

――陳綺貞はまだ日本でライブをやったことがないと思うので、機会があればぜひ日本でライブをするよう彼女にお伝えください。クラウドさんとの共演も歓迎です(笑)。

 わかりました、帰ったら必ず伝えます(笑)。


【節目を迎えていることと「大人」】

――デビュー以来の盧廣仲さんをみてきて、これまでいくつか「節目」を経験されていると感じています。例えば、兵役のあとに台南まで歩くという経験をしていますが、あれも新しいステージに進むための一つの節目だったのではと思っていました。
 そして、あくまで私の印象にすぎませんが、今また節目の時期を迎えているのではと感じています。単にデビューして11年経ったというだけでなく、俳優という新しい経験を積むなどして、アーティストとして新しいステージに進んだ、あるいは進みつつあるのかなと。特に、今年の台北と高雄のアリーナライブが「大人中」と題されていることからもそう感じました。



 確かに今は新しい段階に来ていると思います。これまでの活動で時期を分けるなら、一つは学生から兵役まで、もう一つはそれ以降現在までという二つに分けられます。
 「大人中」と題したのも、一緒にこの11年を過ごしてきた自分とファンが、以前はずっと先のことだと思っていた「大人」というものになる段階に来ているのかもしれないと思ったからです。だから「大人」は、自分とファンの方たち共通のテーマなのだと思っています。

――ご自身も「大人」になったという実感はありますか?

 ないですね(爆笑)。いや、でももしかしたら、ほんのちょっとはなったかも! むしろ「大人中」というタイトルをつけることで、このタイトルを見た人やコンサートに来てくれたファンに考えてもらえるかなあと思っていて。「大人ってどういうものだろう」というようなことをファンと一緒に話し合えたらいいなと。

――ご自身は「ほんのちょっと」は大人になったとおっしゃいましたが、それはどういう点でしょうか?(笑)

 デビューした頃は本当に恥ずかしがり屋で、公の場に出るとずっと床を見ていました。でも、ここ数年でやっと周りを気にかけることができるようになりました。ヘルプが必要な人はいるかなとか、水が必要な人はいるかな、とか。周りの人たちの手助けをできるようになってきたと思います。

――それは大人ですね!(笑)

 でもやっぱり時には床を見てしまいます。だから「ほんのちょっと」ですね(笑)。だけど、日々学んでいるんです。心理学者のユングが言うように、どんな人の心の中にも勇敢な子どもがいる。だからこそ誰もが子どものように、どんな人になりたいのか、日々学んでいるのではないでしょうか。

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――クラウドさんの音楽も、「大人」の音楽になっていくのでしょうか?

 すべて「大人」になる必要はないですけど、大部分は変わっていくのでしょうね。若い頃に書いた曲を歌いながら、「あれ、あの時自分は何を考えていたんだだろう? 何でこんな曲を作ったんだろう?」と思ってしまうこともあります。

――昔と今でご自身の目線が変わったという実感をお持ちなんですね。

 昔の歌で、「この辺の歌詞はちょっと直した方がいいんじゃないかなあ、直すのを手伝ってあげるんだけどなあ」と思ったりすることがあります。でもそれは否定しているわけではなくて。
 それはそれでその時の自分自身を表しているわけですし、こんな風に成長した自分もいる。今でもライブでは昔の曲を歌っていますが、それはオーディエンスの皆さんが、すべて合わさった今のこの自分を見てくれているからです。樹形図のように枝分かれをして広がっていった自分の人生を、ファンの皆さんと分かち合うような気持ちですね。

――これからの音楽活動で、どんな方向を目指していますか? 次のアルバムについてでも、もっと長期的な方向性でも結構です。

 新しいアルバムについては、ほとんど方向性が決まりました。新しい音や楽器を取り入れたいと思っています。今の時代は移り変わりが早いので、楽器やレコーディング機材はどんどん新しいものが出てきます。そうした新しい音を取り入れつつ、次の作品を作っていこうと思っています。僕も楽しみです。

――新しいアルバムは、いつ頃私たちは聴けそうですが?

 来年には必ず!(笑)

――12月の来日ライブはみんなとても楽しみにしていると思います。見どころを教えてください。

 先ほど言った「新しい音」をお届けしたいですし、セットリストも以前とは違うものにします。あと、みんなで一緒に踊れるような曲を少しやりたいと考えています。


【台南のおすすめ】

――最後に少し違うことを。私は9月に台南に行き、おいしい食事をたくさん食べて大変楽しく過ごしました。クラウドさんは台南のご出身ですが、台南エリアの魅力やおすすめの場所などがあればぜひ教えてください。

 僕より日本の方が台南のことをよく知っていると思いますよ! 本当に!(笑) 僕は台南生まれですが台南はとても大きいし、自分は家に引きこもってばかりいるタイプです。台南に戻っても家にいてばかりだから、みなさんがよく知っている台南の観光地については、あまり知らないのです。
 でもあえて自分が好きな場所を挙げるなら、億載金城安平古堡孔子廟のような古蹟ですね。そうした場所は大好きで、行くと柱や壁をさわってみたくなります。わあ、ここには何百年もの歴史があるんだ!と思うんですよ。
 食べ物なら、好物は牛肉湯、虱目魚肚湯、鱔魚意麵……。鍋燒意麵もとても美味しいです! 南部でしか食べられないんですよ。台北にはないんです。あと、台南では虱目魚肚湯を朝ごはんに食べるんですよ。

――私も台南で朝ごはんに虱目魚肚湯を食べました。

 おお、プロですね!(笑)

――ではどうもありがとうございました、12月のライブを楽しみにしています!

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(撮影:おきらく台湾研究所・研究員A)

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 インタビューは以上です! 盧廣仲の飾らない雰囲気が伝わっていれば何よりです。12月11日に、ちょっぴり「大人」になった彼の現在の姿を観ることができるでしょうか? 注目したいと思います。

 ワイズコネクションなど関係者のみなさま、通訳の星原宣子さん、そして盧廣仲に感謝!(B)


Crowd Lu 2019 World Tour Tokyo
【クラウド・ルー 2019 ワールド・ツアー・東京】

日程: 2019年12月11日(水)開場18:00 / 開演19:00
会場: Shibuya TSUTAYA O-EAST
料金(税込): 1Fスタンディング7,500円 / 2Fスタンディング7,500円
詳細: Crowd Lu クラウド・ルー 日本版オフィシャルサイト

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posted by 研究員B at 22:20 | Comment(2) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月09日

盧廣仲(クラウド・ルー)インタビュー(前編)

今回から2回に分けて、盧廣仲(クラウド・ルー)のインタビューをお届けします。

12月11日に渋谷TSUTAYA O-EASTでの来日ライブを控えている盧廣仲。その盧廣仲ご本人に取材する機会をいただきました!

今回のインタビューは「前編」として、海外でのライブの印象、俳優としての活動、創作の様子などについてです。クリエイターとしての盧廣仲の姿が、少しでも伝われば幸いです! なおインタビューは、前編・後編ともおきらく台湾研究所・研究員Bが担当しました。(B)

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【海外でのライブやイベントについて】

――クラウドさんは現在ワールドツアーで世界各地をまわっていますが、ライブに対する反応は国によって違いはありますか?

 そうですね、それぞれ違いがあります。例えば去年行ったアメリカやカナダではとってもクレイジーな盛り上がりで、何だか自分もスーパースターになったような気分になりました。今年行ったオーストラリアは、日本のライブと似た感じでした。静かな歌は静かに聴いてくれ、盛り上がってほしい歌ではすごく盛り上がってくれます。あとすごく集中してライブを聴いてくれて、手拍子のリズム感もすごくよかった。だからそれぞれ違いがありましたが、どれも素敵なライブ経験でした。

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――そうした国による反応の違いを意識して、ライブでのセットリストを変えたりすることはありますか?

 来てくれる人や場所によって変えることはあります。例えば日本では、野外でのステージの場合は、テンポの速いものやリズム感が感じられるものを選ぶようにしています。というのも、日本のみなさんは、自分の周りにちょっとしたスペースさえあれば、開放的な感じでノリよく踊ってくれるし楽しんでくれるので。昨年日本で出演した野外ライブでもそういう選曲をしました。

――9月には東京で、ファンとのトークイベントという面白い企画をやりましたね。

 なかなかない経験でした。世間話をしているのをみんなに見せるんですから(笑)。でも、すごくおもしろかったし、このスタイルはとても気に入りました。自分はブースの中にいるけど、みなさんの質問にすぐ返事ができますから。Instagramなどでもファンの質問に答えたりすることはあるのですが、その時よりももっとリアルにファンとやりとりをしている感じがありました。

――そんなイベントも開催できるほど、これまで活動を続けてきた結果日本のファンも広がってきたと思うのですが、ご自身で日本のファンの方々について変化は感じますか?

 日本で活動をするようになってまだ5年ぐらいですが、自分と大体同じくらいの年齢のファンが多いように思います。もう10年すれば、変化も感じられるようになるかもしれませんね。今のところ…、みなさん楽しそうです!(笑) 10年経ったら、子ども連れで来てくれる人もいたりするんじゃないでしょうか。だって台湾では、よく知っているファンが子どもを産んだり、結婚したりしているんですよ。これってすごく不思議な感覚で、ファンのみなさんと一緒に自分が年を重ねているような感じです。自分はずっと同じことをやっているのにね。

――ワールドツアーで世界各地をまわり、あちこちで食事をしてきたと思います。デビューアルバム収録の「早安晨之美」以来、朝食についてたずねられることが多いと思いますが、各地を旅する中で印象に残った朝食はありますか?

 もちろんあります。日本だとカレーと納豆ですね。日本のお米はおいしいです! 納豆を食べ始めたのは大学時代で、日本人の同級生から教えてもらいました。納豆は100回混ぜるように教わったのも彼なので、今でも納豆を混ぜるたびに彼のことを思い出します(笑)。出会った頃は独身だったのに、彼にはもう二人も子どもがいるんですよ。
 アメリカでは……パンケーキですね。パンケーキを自分で作って食べていました。とてもおいしかったです。毎日毎日食べていたので、台湾に帰ったらもうしばらくパンケーキは見たくないほどでした(笑)。


【俳優としての活動】

――ドラマ「花甲男孩轉大人(お花畑から来た少年)」への出演以来、俳優としての活躍も多くなっています。最近では、特にご自身の「愛情怎麼了嗎」のMVでの熱演は印象的でした。俳優としての活動が、音楽活動に対して影響を与えていることはありますか?



 あります。俳優として演技をする時は、自分とは違う人、時によっては自分とはまったくかけ離れた人を演じなければいけません。その人の世界を受け入れて、その人のやり方で話をしなければいけないわけです。自分の経験からすると、演技ってちょっと「霊媒」と似たようなところがあります。違う人が自分に乗り移り、自分とはまったく違う性格を自分のものにすることで、ストーリーを実体験できるんです。

――それは、俳優としての活動をすることで初めて経験できたことなのでしょうか。

 俳優の仕事をすることで、以前よりもそういう体験ができるようになりました。「霊媒」のような能力を前よりもっと発揮することができるようになったという感じでしょうか。演技をする時は役柄を研究しないといけない。自分と違う立場の人だったら、例えばコンビニの店員さんだったら、どんな経験をするだろう?どんな気持ちになるだろう?と考えなければいけません。「霊媒」の能力を使うことによって、いろんな人の抱えるストーリーを深く考えることができるようになりました。

――これからやってみたい役はありますか?

 今までの自分と違う役であれば、何でもやってみたいです。

――一緒にやってみたい監督や俳優はいますか?

 あまり考えたことはないのですが、これまでの経験だと、一緒に仕事をした監督や俳優の方々すべてから驚きを感じたり、新しいことを学んだりできました。だからもっとたくさんの素晴らしい方たちとお仕事ができるといいなと思っています。


【創作の現場】

――とっても忙しい毎日だと思いますが、その中で作曲や作詞に取り組むのはどんなときなのでしょう? 例えば朝なのか、夜なのか…。

 曲をつくるのは、朝起きて3時間以内にやるようにしています。その時間が一番大脳が動くからです。夜につくることもできますが、曲や詞を考えているうちに眠くなってしまうので(笑)。長い曲を書いていくのなら、朝の9時〜10時ぐらいの時間にやるのがいいと思っています。

――それは朝ごはんを食べた後ということでしょうか?(笑)

 そうです。ただし、朝ごはんをいっぱい食べてはいけません。食べすぎると血液が頭よりもおなかの方に行ってしまうので、控えめにする方がいいんです。これは科学的根拠に基づいた話ですよ(笑)。

――創作のインスピレーションは、日常のなかでどんなときに浮かびますか?

 メロディのインスピレーションを得るのは、移動中が多いですね。今回も東京に来る飛行機の中で一曲作りましたよ。飛行機の中は、スマホをいじることもできず、窓から見えるのもただ白い雲と空だけで、創作に集中できるぴったりの空間だと思います。

――作詞を他の人と共作した作品がありますが、共作するときはどのようにして進めるのでしょうか?

 いろんな方法があります。例えば80%ぐらいまで歌詞ができあがっているけど、どうやって完成させたらいいか迷った時や、タイトルを他の人が見た時にどう思うか気になった時などに、意見を聞いたりします。そこで新しい考えを聞いて、「わあ、そうだね!」となって歌詞を変えることもありますね。他に、先にタイトルを話し合って決めてから、その後もずっとアイディアを出し合いながら作り上げていくという方法もあります。

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(撮影:おきらく台湾研究所・研究員A)

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 インタビュー前編は以上です! 後編では、聴いている音楽、これまでのキャリアとこれからなどについてお届けするので、お楽しみに! 【後編はこちら】(B)


Crowd Lu 2019 World Tour Tokyo
【クラウド・ルー 2019 ワールド・ツアー・東京】

日程: 2019年12月11日(水)開場18:00 / 開演19:00
会場: Shibuya TSUTAYA O-EAST
料金(税込): 1Fスタンディング7,500円 / 2Fスタンディング7,500円
詳細: Crowd Lu クラウド・ルー 日本版オフィシャルサイト

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posted by 研究員B at 21:57 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする